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最近の記事

日本の芸能 『江戸時代の歌舞伎、人形浄瑠璃』

仮名手本忠臣蔵と義経千本桜 『仮名手本忠臣蔵』は人形浄瑠璃(文楽)のための作品として書かれたが、それぞれ直ぐに歌舞伎化され、人気作品となった。1701年京都御所からの天皇の使者をもてなす饗応が執り行われるというその日。江戸城中にて饗応役を務めることになっていた浅野内匠頭長矩が、儀式の監督役であった吉良上野介に斬りかかる事件が起きる。この事件は江戸の人々の関心を集め、早くも数年後には近松門左衛門が「碁盤太平記」という作品を書きその後、様々な作品を経過して、 1748年に「仮名

    • 「アフリカ・ニグロ美術の形成」

      今世紀の初頭にフォーヴィスムやキュビスムの作家たちはアフリカの彫刻に目をとめ、熱心に収集を始める。アフリカの造形は、当時、オセアニアの造形と明確に区別されることなくアール・ネーグル、ニグロ美術と呼ばれていた。 このニグロ美術の発見には幾つかの説がある。アンドレ・ドランがモーリス・ド・ヴラマンクからガボン国の民族ファンの仮面を譲り受け、アンドレ・ドランのアトリでそれを見てパブロ・ピカソとアンリ・マティスが「ニグロ美術」を知ったという、モーリス・ド・ヴラマンクが広めた話。アンリ・

      • 「残花と残香 一本柱鳥居と軍艦島」

        一本柱鳥居(二の鳥居)は国指定史跡「長崎原爆遺跡」2016年10月3日指定される。爆心地から南南東約800メートルの高台にあり、この鳥居は貴重な原爆遺跡として評価も高く、原爆資料の一つとなっている。1924年(大正13)、山王日吉神社の二の鳥居が建立され、のち参道に一の鳥居から四の鳥居までが建てられ1945年8月9日の原子爆弾で鳥居も破壊されたが、そのなかで二の鳥居は強烈な爆風(秒速約200m)によって爆心地側の半分が吹き飛ばされ、その折に上部に残っていた「カサ石」が風圧でね

        • 「長崎くんち現状と課題」

          1.「くんち」の語源について 「くんち」の語源については、「宮日」あるいは「供日」などの当て字を書き、重陽の節句9月9日の9日が「くんち」になったとする説が一般的とされており(例えば長崎人は3日を”みっか”ではなく”さんち”と言う事もある。)、「くんち」は西九州北部の方言だと考えらる。 実際に長崎の他に、長崎県内では佐世保くんち、平戸くんち等があり、佐賀県でも唐津くんち、有田くんちがよく知られています。(私が住む長崎市戸石町にも「戸石くんち」があり同じ市内でも町ごとにくんち

        日本の芸能 『江戸時代の歌舞伎、人形浄瑠璃』

          「日本中の田舎を遊び場に"ボーダレスラウンジ NAGAYO"」

          *このレポートは2022年の取材を元に書いたものである。 長与町は、長崎市の中心部から北へわずか10kmに位置し山に囲まれた盆地や丘陵地に市街地が広がり、中心部を長与川が流れ、大村湾にそそいでいる。「シーサイドストリート」や「琴の尾岳」からは美しい大村湾の絶景を一望でき、みかん栽培の古い歴史を持ち、収穫時期には山が美しい黄色に染まりる。 この店のオーナーは佐世保生まれ。大学卒業後就職し27歳で福岡で飲食店のアルバイトを経てマネージャーを行ってい同時に食全体に興味があったの

          「日本中の田舎を遊び場に"ボーダレスラウンジ NAGAYO"」

          「ラテンアメリカ文学とポストコロニアル文学」

          「ラテンアメリカ文学のブーム」と呼ばれる物語文学の黄金時代がはじまったのは、一九五八年前後の事。カルロス・フエンテスの衝撃的な処女長編 『澄みわたる大地』(一九五八)を端緒に、マリオ・バルガス・ジョサの『都会と犬ども』やフリオ・コルタサルの『石蹴り遊び』(一九六三)といった革新的形式の小説を経て、ガブリエル・ガルシア・マルケス(コロンビア)の『百年の孤独』(一九六七)が現代ラテンアメリカ小説の頂点をきわめた。 ラテンアメリカ文学は魔術的リアリズム(マジックリアリズム)がひと

          「ラテンアメリカ文学とポストコロニアル文学」

          「日本庭園と西洋庭園の比較から見る自然に対する価値感と庭の空間構成」

          庭園は日本式のものと西洋式のものでは、特徴に大きな違いがある。 見た目の違いはもちろん、何よりも自然に対する価値観の違いが見られる。  日本庭園は池を中心として構成され、土地の起伏を活かした人工的な山である築山、自然な庭石や草木、そしてこれらから四季折々の景色が鑑賞できるよう、造型されている。 手法として、深山から流れ出した水が大きな流れに変わる様子を表現、石の組み合わせで山や島を表現するというものがあり、あくまで土地の特徴や自然の形を活かすようにして構成される。又、日本庭

          「日本庭園と西洋庭園の比較から見る自然に対する価値感と庭の空間構成」

          「ギリシャ文学」

          ギリシア文学は紀元前800年頃のホメーロスの叙事詩以来今日に至るまで絶えることなく、3000年に及ばんとする長年月の間つづいていており、次の4つの時代に区分するこ出来る。 1番目はホメーロスより紀元前五世紀前葉にアテーナイが政治的にも文化的にも覇権を確立するに至るまでの時代。この時代は東方の叙事詩に始まり、抒情詩の完成によって終る、主として詩の時代である。ついで前5-4世紀のアテーナイ時代があって、 諸所に起った文学が東西よりアテーナイに集中し、ギリシアの文学はここにその古

          「ギリシャ文学」

          「フランスのロマネスクとゴシックにおける西洋建築様式について」

          「サン・ピエール大聖堂」と「サン・ドニ修道院聖堂」  ロマネスク建築の美は、 その地方特有の材料と技術が優先され風土にマッチして建設されている。パリ近郊の採石場から運ばれた石材, 東部の特有の砂岩, 中部地方の火成岩、花岡岩,凝灰岩などが利用され, 石材の乏しい南部付近では煉瓦が多用されされる。 次にフランスのロマネスク建築を身廊天井の構造から3つの類型に分けてみる。第一のタイプは,身廊天井にトンネル・ヴォールトまたは交差ヴォールトを架け,側覧上にトリピューンのあるもの

          「フランスのロマネスクとゴシックにおける西洋建築様式について」

          「インド音楽とポピュラー音楽」

          東南アジアの音楽の中でもインド音楽ほどポピュラー音楽とともに発展した音楽はないであろう。インド音楽と言えばシタールとタブラーという組み合わせがインド音楽というイメージは日本でも欧米でも広く流通している。 その原因は、ビートルズのジョージ・ハリスンがインド人シタール奏者のラヴィ・シャンカルからシタールを習い、それを自らの作品に取り入れ、ビートルズのアルバムに収録されて世界中で売り出されたからだ。 ビートルズのなかでも、特にインドに関心を持ったのはメンバーのジョンとジョージだっ

          「インド音楽とポピュラー音楽」

          「印象派とその周辺における伝統への挑戦」

          ジャン=フランソワ・ミレー《落ち葉拾い》 1800年半ばにパリを中心に生まれた文学や美術の芸術様式が写実主義である。 写実主義絵画の考え方は、人々と社会の現実を正面からとらえて、ありのままに描くことで真実にせまり、表現していく事であった。 この頃イギリスで起こった産業革命がヨーロッパ全土に広がり工場労働者が急増すると同時に豊かな市民と貧しい労働者の間に対立を生んでいった。 美術の世界でも、宮廷や貴族の力のあるものだけが絵画を購入し鑑賞する時代から、 一般の市民たちが絵画

          「印象派とその周辺における伝統への挑戦」

          「伝統工芸 長崎刺繍とは」

          長崎刺繍は、長崎くんち 注)に登場する傘鉾や奉納踊の衣裳・装飾品に組み込まれることによって、 その歩みとともに発展を遂げたと言われる。 このことは、その代表的な作品が、 くんちに奉納される傘鉾の垂や 衣裳に多く見られることからもわかる。長崎くんちに登場する代表的な長崎刺繍の作品としては、いずれも長崎市指定有形文化財となっている「桶屋町傘鉾及び十二支 刺繍」の「十二支の垂」、「諏訪町傘鉾 垂及び下絵」のかつての「諏訪法性の 兜の飾」に合わせて刺繍を施した「諏訪伝説の垂」、「万

          「伝統工芸 長崎刺繍とは」

          「栄光のウエストコーストサウンド 1  イーグルス」

          ホテルカリフォルニアとアメリカの斜陽ウエストコーストサウンドを語るうえでイーグルスは外せない要因だ。 中でもの「ホテルカリフォルニア」で歌われている歌詞は1960年代前半の古き良きアメリカから変貌していくアメリカを象徴した代表曲である。 砂漠のハイウエイから迷い込んだホテルカリフォルニアはアメリカの象徴。 歌詞の中で出てくるこの歌詞は変貌したアメリカを表している。 So I called up the Captain “Please bring me my wine” H

          「栄光のウエストコーストサウンド 1  イーグルス」

          「偉大なるアメリカンミュージック 2」

          カントリーミュージック アメリカ合衆国は、イギリスを初めとしたヨーロッパやアフリカからの移民によって形成された多民族国家だ。 中でも、イギリス(イングランド系、スコットランド系、アイルランド系など)からの移民が、初期のアメリカの政治、経済、文化形成において圧倒的な影響力を持っていたためアメリカ音楽のルーツとしてイギリス音楽は極めて重要な位置を占めている。 イギリスからもたらされた民謡の類は、19世紀の間続いた新天地の開発と発展の中で民衆によって揉まれ、だんだんと変容して

          「偉大なるアメリカンミュージック 2」

          「レコードジャケットに見るポップアートの世界」

          私は音響マニアの兄の影響により洋楽をひたすら聞く毎日を送っていた。月に1度は中古レコード専門店へ行き何時間も眺めるだけの生活を送っていた。当時マイブームだったのが「ジャケ買い」と言う言葉だ。音楽の内容に惹かれ買うのではなくジャケットデザインのインスピレーションで買う事だ。その影響のためか私はヒプノシス、ロジャー・ディーン、ロバート・フィッシャー、バリー・ゴッドバー、アンディー・ウォーホル、横尾忠則など、当時の現代アートを代表する名作家たちが手掛けた作品のジャケットを買い集めそ

          「レコードジャケットに見るポップアートの世界」

          「ジャパンブルー」

          歌川広重の『諸国六玉川 武蔵調布 衣叩き』は安政4年・1857年の作品。 六玉川は、歌枕に使用される全国の六つの玉川(野路の玉川(近江国)、三島の玉川(摂津国)、野田の玉川(陸奥国)、 調布たづくり の玉川(武蔵国)、井手の玉川(山城国)、 高野の玉川(紀伊国))の総称である。 この玉川は、かつての武蔵国の東京都などを流れる多摩川であり「調布(ちょうふ)」、または「調布(たづくり)」は、昔の税金である租庸調のうちの、その土地の特産物を納める「調」として官に納めた手織りの麻布

          「ジャパンブルー」