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セミファイナル、室内楽はどちらが選ばれるか(リーズ国際ピアノコンクール2024)[4]

リーズ国際ピアノコンクールは、9月15日から3日間にわたるセミファイナルがスタートします。
セミファイナリストとなった10名はこちら。

Kai-Min Chang(カナダ)
Xuehong Chen(中国)
Junyan Chen(中国)
Jaedan Izik- Dzurko(カナダ)
Elizaveta Kliuchereva(ロシア)
Khanh Nhi Luong(ベトナム)
Callum Mclachlan(イギリス)
Julian Treveleyan(イギリス)
Tomoharu Ushida(日本)
Ryan Zhu(カナダ)

コンクールの定番の感想ではありますが、それぞれに納得の人、意外な人がいたりと、いろいろなご感想があることでしょう。個人的にはベトナムのKhanh Nhi Luongさんが通ったのがうれしかった。
前回の記事で触れたジェンダーバランスのことでいうと、男性と女性の比率は7:3となりました。

前回のショパンコンクールに出場していたダン・タイ・ソン門下のカイミン・チャンさんや、モントリオールなどで優勝しているJadenさんもいます。日本からは牛田智大さんが通過!

高松やパデレフスキ優勝のフィリップ・リノフさんや、ショパン国際ピリオド楽器コンクールで入賞していたAngie Zhangさんも注目していたのですが、残念です。日本の丸山凪乃さんも素晴らしく集中力の高い演奏を聴かせてくれたのですが…次も聴きたかった。

二つのプログラムから選ばれるセミファイナル


先の記事で紹介したとおり、このコンクールでは基本AとBの2タイプのプログラムを提出して、次に進むことが決まった時点で、審査員の選択によりどちらを演奏するかが伝えられます。

室内楽は、A:グループ1(ピアノ三重奏、四重奏、五重奏)または、B:グループ2(ヴァイオリンソナタ、チェロソナタ)を入れるという設定。
そのため、「デュオの演目とトリオ以上の演目を交互に登場させたい」という事務局の意向で、ここまでの演奏オーダーはなんとなく保ちつつ、交互になるように入れ替え、という調整がなされました。

そんなわけで、ゆっくりめに公開された演奏順と演目がこちら

コンテスタントも翌日の午後くらいになってやっと自分の演奏順を知った模様です。

みなさんそれぞれに、こっちが選ばれてほしいなあというプログラムがあるようで。
赤い髪が印象的だったJunyan Chenさんは、Xにあげたコメントでも、エイミー・ビーチの作品に思いいれがあるのでBプロが弾きたい!とおっしゃっていましたが…結局選ばれたのはAプロでしたね。
ちなみにこれが彼女の両方のプログラムなのですが(これってどこかネット上にも載ってるんでしょうか?)、たしかにBプロちょっと聴きたかったかも。

エイミー・ビーチといえば、牛田智大さんもAプログラムで、室内楽作品からエイミー・ビーチのピアノ五重奏を選んでいます。
エイミー・ビーチは19-20世紀の女性作曲家で、ベルリンフィルで作品を演奏された最初のアメリカ人かつ女性の作曲家、という人。ジェンダーバイアスの問題に取り組むこのコンクールにはシンボル的な存在といえるかもしれません。
ちなみに、最近の牛田さんはコンサートなどで別の室内楽作品を演奏していたようですが、今回は初めて舞台にのせることになるエイミー・ビーチを選択。理由は、「最初に予定していた作品がなんとなくしっくりこなくてこれでいいのかなと思っていたら、まだ変えてもいいよと事務局に言われたので変えた」とのこと。やっぱり心からしっくりくる作品を演奏するほうがいいよね。

空き日のホールを覗いてみると、そんな牛田さんがリハーサル中でした。
いろいろとリクエストをしつつ、同時に共演者のみなさんがどう演奏したいかを尋ねながら、75分間みっちり合わせをしていました。
ちなみに、牛田さんに合っていてとっても良かった!ので、今夜の演奏をどうぞお楽しみに。すごくいい曲。
本日15日19時スタートの夜の部で2人目に登場します。
日本時間はまた午前4時とかで大変だと思いますが…がんばってください。

ライブ配信のあるYouTubeチャンネルへのリンクはこちら

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