ナメクジ vs 素っ裸の地球人、そして読書の喜び ―― ロバート・A・ハインライン『人形つかい』
* 2016年は「たくさん読む年」に
私が初めて「小説」というものに激しく感動したのは、中学校の授業で読んだ「伊豆の踊子」(川端康成)だったと思う。「子供なんだ。私たちを見つけた喜びでまっ裸のまま日の光の中に飛び出し、爪先きで背いっぱいに伸び上がるほどに子供なんだ」に心を射抜かれた。言葉ってすごいんだな、と。以来、文学部、文学系大学院、古本屋、記者業と、振り返ってみれば十数年間にわたって「言葉」と関わる道を一貫して(=偏って)歩んできた(=流されてきた)。ただ、「言葉」に