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嬉しくなる映画

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さいきんみた映画、何かの折りに思い出した映画のレビュー。
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すがすがしすぎる力技と不誠実――『アナと雪の女王』

2014年6月3日  先日、ディズニー映画最新作『アナと雪の女王』を娘といっしょに見た。日本では『ポニョ』以来の動員数だそうで、確かに近所の子どもたちも幼稚園の同級生もみんな見ててみんなあの歌歌ってて、娘もすでに2度目の観賞。とにかくものすごい話題になってて『ドラゴンボール』見逃すと木曜の朝仲間ハズ レ、 ワールドカップ盛り上がらないと非国民、みたいな雰囲気。  さて、実際見てどうだったかというと、やはり ”歌” だった、歌がすごい。あと雪。  話題の「Let It G

〝彼女〟のいない特殊部隊はもはや信用ならない

 『ローグ・ワン』や『この世界の片隅に』が巷を沸かせるなか、今日劇場公開された『バイオハザード:ファイナル』。「ファイナル」すなわちシリーズ最終作、もう金輪際続編は作られないらしいのでほっとした。2作目から5作目がとてつもなくつまらなすぎて、一刻も早い幕引きをずっと心から願っていた。「つまらない」と言い切るからには私はしっかりこれまでのシリーズ全作を見たわけで、「つまらないなら見るのをやめればいいだろバーカ」とか「わざわざつまらない映画のつまらなさをブログで書くなバーカ」とか

私が『スネークフライト』を見た理由、あるいはクラリスブックスの愉快な仲間たち

 『スネークフライト』(2006)という映画をご存じだろうか。ご存じじゃなくて全然いいと思う。私だって見なきゃよかったと思ってる。  その名のとおりヘビ×飛行機のパニック映画で、事の発端はハワイでのギャングによる殺人事件。目撃者の青年とその護衛のFBI捜査官が乗る旅客機を墜落させようと、ギャングたちが大量の毒ヘビをこっそり貨物室に仕込んだせいで、機内は阿鼻叫喚の地獄と化す。 ■ まずはネガティブな感想を  ネットでざっと検索してみたら、好意的な評価が多くて驚いた。正直い

「いつまで続けるつもりか」と「いつまでも続けてほしい」両方

※ なぜかノートが消えてしまったので、メモをコピペして以下再アップ。ちなみに今、Hule でシーズン7を鑑賞中です。見終わったらあらためてレビューしようかと。 2016.11  Amazon プライムビデオでの『ザ・ウォーキング・デッド』シーズン6 配信がとんでもなく忙しい時期に開始されてしまい、苦しい。深夜、仕事に一応とりあえずの区切りがついたときなど、あれを見るべきか見ざるべきかで相当悩む。見たら見たで睡眠時間が2時間とかになってつらいし、我慢したらしたで続きが気になり

あれからずっと、デニス・ネドリーの復活を待ち望んでいる

 前回のブログ「全力の『ジュラシックパーク』ごっこ」であげた全4作の名場面のなかで、私の息子がもっとも気に入っているのが1作目『ジュラシックパーク』中盤の「デブのネドリーがディロフォサウルスの毒をくらう場面」。私自身が子どもの頃好きだったシーンでもある。というか私はこのデニス・ネドリーそのものが好きだ。『ジュラシックパーク』について語り始めたからには、彼に触れないわけにはいかないだろう。 ▲ ウェイン・ナイト演じるデニス・ネドリー ◆ 映画を動かすために一番がんばった男

全力の『ジュラシックパーク』ごっこ

◆ 巨匠への愛と敬意と感謝を込めて  さいきん、幼い息子が頻繁に恐竜ごっこ、というか『ジュラシックパーク』シリーズごっこに興じ、周囲を巻き込みたがる。残念ながら彼の母と姉は恐竜に興味がなく、ティラノサウルスの腕の小ささをあざ嗤い「パラサウロロフス」も「コンプソグナトゥス」も覚えられない体たらくなので、どうしても父がごっこ遊びに参加することになってしまう。 ▲ パラサウロロフス(左)とコンプソグナトゥス(右)  思えば私がはじめて自分の意思でレンタルビデオ屋へ行って借りた

『シン・ゴジラ』

 前情報がすくなすぎて、胸の内には期待もワクワク感も大して育ってなかった。「まあ見とこう」というほどの気持ちで仕事の合間に映画館へ飛び込み、結果ボコボコに打ちのめされた。  たぶん生まれて初めて、映画のエンドロールを見て泣いた。映画の余韻に浸ってではなく、エンドロールそのものに泣かされた。巨大なスクリーンを上から下へ流れていった人・団体・機関・施設・作品その他いろいろの名前の羅列は、まさにこの映画が成し遂げた偉業を簡潔に、そして堂々と要約した超名文だった。 「これはもう一回映

私はJ.J.エイブラムスを心底信じてきたし、これからもずっと彼に身を委ねてゆこうと思った2015年末――『スターウォーズ/フォースの覚醒』

 謹賀新年。さっそくだが昨年末、『スターウォーズ/フォースの覚醒』を見た。すごかった。最高すぎた。あまりにもおもしろくて「こんなにおもしろくていいのか」となぜか涙が止まらず3Dメガネが曇って困ったので、ぜひ近いうちにもう一回2Dで見直そうと思っている。  私はスターウォーズに関しては〝にわかファン〟でしかない、と正直に告白するところから始めたい。出会いは今から18年くらい前、高校生の時のこと。当時約20年ぶりに製作される新3部作が話題になるなか、慌ててエピソード4~6(特別

思い浮かべてばかりの映画

 年末が近づくと〝年末っぽい映画〟がすごく見たくなる。といっても、慌ただしく日々を送るうちに気づけばもう晦日もう正月、当然「さてだらだら映画でも見るか」と手に取るのはもはや〝年始っぽい映画〟のDVDなので、実際に〝年末っぽい映画〟を年末に見ることは少ない。私にとって〝年末っぽい映画〟は見るものというより、思い浮かべるものなのだ。  具体的には『或る夜の出来事』『お熱いのがお好き』『アパートの鍵貸します』『未来は今』――いずれもスクリュー・ボール・コメディとその周辺。「ストレ

いつか誰かにおっぱじめてほしかった〝その先〟の物語――『ザ・ウォーキング・デッド』

 Amazon のプライムビデオのせいで(おかげで)この数カ月間、睡眠時間を削りまくって海外ドラマ『ザ・ウォーキング・デッド』5シーズン分を一気に駆け抜けた。めっぽうおもしろいのだが、これに多くの人々が夢中になっていることを不思議にも思う。ゾンビ(※)だらけの世界を舞台にした連ドラが5年も続くだなんて、かつて誰が想像しただろうか。本国アメリカではシーズンを重ねるごとに視聴率が高まっており、すでにシーズン7の製作も決定済み、さらには同じ世界の前日譚を描いたスピンオフシリーズまで

「スターシップ・トゥルーパーズ」イヤー は、こない。

 2015年11月、PS4・Xbox One・PC向けソフト「Star Wars バトルフロント」発売。そして12月、「スター・ウォーズ ep7 フォースの覚醒」劇場公開。いまさらながら、すっかり「スター・ウォーズ」イヤーだ。映画はもちろん楽しみだけれど、それ以上に「バトルフロント」公式サイトのゲームプレイトレーラーを見て胸と目頭が熱くなった。約10年前、暇な大学生の自分にこれが与えられていたら間違いなく没頭しただろう、と。まだいまの時点では冷静でいられるが、発売が近づいてき

“ 終わること ” と向き合う誠意の直線――『アメリカン・スナイパー』(クリント・イーストウッド)

2015年4月 ■ 夕日、草原、キャスパー、紙幣  私の人生初のクリント・イーストウッド体験は、小学生の頃に見た『パーフェクト・ワールド』(1993)だった。舞台は1960年代テキサス、脱 獄犯と彼に誘拐された少年のロードムーヴィー。路傍でのいくつかの出逢いと別れ、サスペンスとコメディ、やがて二人の間に芽生え始める感情、それぞれのト ラウマと願望、期間限定の父子関係、悪者の知性とヒューマニズム、二人を追う老練な刑事の葛藤。そして舞台に転がる無数の可能性のなかから、たったひ

「まずは粉を練るんだ!」とジャムおじさんは言った。

2015年2月  子どもと楽しさを共有できるたくさんの作品のなかで、『アンパンマン』ほどシンプルかつ本気で誠実なものを私はあまり知らない。  頭部が交換可能なアンパンでできたヒーロー、アンパンマン誕生の背景にやなせたかしの従軍経験があるのは有名な話だ。戦場で「正義」という言葉のキナ臭さ と飢え苦しむ人々の実態を思い知った彼は、強い力で敵を倒すだけのヒーローに、そしてそれが「正義」として描かれることに違和感を覚えた。その後 “ 売れない作家 ” として長らく不遇の時代を送る

「君の様子がおかしかったから、後をつけたんだ」とドラえもんは言った。

2015年1月  このところ、子どもといっしょにドラえもん映画をたくさん見ているのだが、新劇場版にはやっぱりいまだに馴染めない。どうしたって1980年代作品がすばらしすぎていちいち比べてしまって、あれらのおかげで世界の不思議に目覚めた少年時代を思い出す。VHSの磁気テープが擦り切れるほど「ドラえもん」を見まくったあの頃。  思い入れが深いだけに、2005年の全面リニューアルにはかなりの衝撃を受けたものだった。ハイビジョン制作への移行、声優陣と製作陣の一新、キャラクターデザ