ことあるごとに読み返したくなる短篇小説――「親友交歓」(太宰治)
*マガジン「読み返したくなる短篇小説」バックナンバー
書く、という仕方で嫌な奴のことを表現するのはすごく難しいと思う。「こんな奴がいたのだ」と友人や家族に話すのであれば簡単だ。周囲が共感してくれるようならその嫌さをどんどん並べていけばいいし、反応がいまいちなら話をひっこめればいい。微調整しつつ話すうちに、嫌な奴のことがますます嫌になったり案外そうでもなかったと思い直したり、いろいろ新たな発見もあるだろう。でも、書くとなると難しい。書く時には誰もが絶対に一人きりだから、とに