なぜか夜中に読み返したくなる不穏で律儀な名篇――「変種第二号」(フィリップ・K・ディック)
*マガジン「読み返したくなる短篇小説」バックナンバー
「変種第二号」、原題は "Second Variety" 。目次に並んでいた、シンプルで無骨かつミステリアスなこのタイトルに惹かれて『ディック傑作集』を買い求めたのをよく覚えている。内容もまた実にシンプルで、テーマや世界観、ムード、物語の展開も含め、SFにあまり詳しくない私でも知ったかぶって「これぞ王道」とか頷きたくなるような、短いながらも土台のしっかりした濃厚な作品だった。
調べてみると、初出は1953年。52年か