黒人問題映画4選ーアメリカでさえ150年経っても解決していない事実
立て続けに映画評。週末はバス移動で映画を2本も観れた。よきよき。さて、こちらは麻薬王より重い内容。見応え充分。確か、有村昆さんのYouTubeで題名を聞いて、観たいと思っていた溜まっていたリストの中の映画。重い映画だけに、ダウンロードしてから観始めるまで時間がかかった。データが重いわけではない。
それでも夜は明ける
進んでいるのか、進んでいないのか分からないくらいのスローテンポで、映画は流れる。これはすごい。テンポが、遅い。音楽記号ならLentoだ。話は、ソロモン・ノーサップという実在の黒人が主人公で、まだ奴隷制があった時代、自由黒人であった彼が間違って奴隷になってしまったストーリーだ。あと、ブラピがかっこいい。
実際は是非とも映画を観てほしい。「Black Lives Matter」運動など、まさに今の問題である黒人差別について、理解が深まること請け合いだ。構造的な問題は150年では解決しないということだ。アメリカという国をよく知るわけではないが、それ相応の努力をしているにも関わらず、だ。私自身も、差別の問題には敏感だ。どうしても、自身の問題とオーバーラップしてしまう。
併せて、私が最近観た黒人問題映画その他3つを、下記にまとめてみた。
グローリー
とても人間味のあふれる、黒人映画。ご存知マーティン・ルーサー・キング牧師の一代紀。ある意味、日本でも神格化されているキング牧師の、人間らしさが出ていて、私は大いに涙した。結構、人が死ぬ。でもそれが当たり前なのだ。これを観ていなければ、「それでも夜は明ける」は理解が出来なかったかもしれない。キング牧師の人間のところに光を当てた、素晴らしい映画。
ゲット・アウト
久しぶりにブルーレイを買ってしまった。ブルーレイには別バージョンのエンディングもある。アマゾンにレビューを書くぐらい、とても良い映画。ネタバレしないで観るべし。エンターテイメントとしても、社会派としても、とても良い。現代アメリカ社会の持つ黒人差別をえぐる、つくり手の考えの深さを垣間見る。
グリーンブック
逆差別ではないが、貧乏白人と金持ち黒人という少しちぐはぐな設定の映画。記憶がかなり古いが、とても面白かった。黒人のいけすかなさが良くでていて、かつ、白人の純朴さが際立っており、ちぐはぐなのが整っていく感じ。年代的には1960年代とのことなので、ちょうどグローリーの時代と近いのかも。
黒人問題を語れるほど勉強が十分ではない。繰り返しになるが、私は自分自身の問題と勝手にオーバーラップさせているために、感情移入がしやすい。だからこそ、見えてくるものもある。差別というのは、表面化すると、解決しやすいのかもしれない。一番厄介なのは、隠然と、不文律で、でも差別する側の大多数の想いである場合のような、表面化しない、表面化しづらい部分なのだ。「もしかするとこの人が言っていることは本当かもしれない」と、思った白人もいただろうに、それが表面化することなく、12年もの歳月を奴隷にさせられた、その思いたるや。ブラピ扮するカナダ人サミュエル・バスこそが、光のような存在だ。そのような存在が、必要なのだ。