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「マエストロ: その音楽と愛と」評 -レニーは偉大だ!

最近映画評などを書いていない。何ならnoteすら書いていないが、書きたい衝動を抑えられず。

最初から、名作の兆し。白黒映像やヨゴシや当時の服装、髪型、タバコ。タバコの文化。指揮台で平然とタバコを吸えた時代。今やったら出禁だね。タバコがひとつのアイコンなのか。時代を象徴、女性の時代の変遷も。

映画のネタバレはしないが、クラシック好きなら絶対に楽しめる内容。音楽絡みでいえば個人的にはマーラー2番の5楽章のシーンと、タングルウッドのベートーヴェン8番の指導のシーンと、最後のタイトルロールであのバーンスタインの名曲(内緒)が流れて胸アツだった。もちろんマーラーのアダジェットも素晴らしい。グッとくるシーンで使われる。ヤニック・ネゼ=セガンとロンドン響のタッグらしい。

デヴィッド・クーパーの演技も指揮も素晴らしい!最後に本人映像が少し流れるが、かなりの再現性だったと思う。最初のシーンなど本人かと思ったくらい。カズ・ヒロのメイクマジック。レニーのあの「男前さ」が、良く描かれていて、良い。男性関係などもう少し踏み込んでも良かったかなとも思うが、映画のもつトーンとテイストを考えれば、妥当なところか。クイーンもそうだが、「ゲイであること」に微塵も悩む様子のないレニーの描かれ方に、安心感すら覚えた。女性側の心情の方が、丁寧に描かれているか?どうだろう。ゲイの旦那を持つ嫁や家族の心境というのを、かなり踏み込んだものになっている気がする。

もう少しオーケストラとかミュージカルとか表に出てくるかなと思いきや、二人の物語の軸から大きくブレることなく、音楽よりも人に集中していた。コープランドとクーゼヴィツキの登場がクラシック音楽ファンからすればあっさり過ぎて物足りない。まあしょうがないかな。レニーの音楽家としてのバケモノっ振りが、あっさり過ぎて、、というのは欲張りか。デヴィッド・オッペンハイムさんの存在は恥ずかしながら知らなかった。クラリネットが出てきたときは、嬉しかったりする。いくつか録音があったりするので、聴き始めてみたい。

高校生の頃、VHSでバーンスタインの音楽教育番組を一生懸命録画して観ていたことを思い出す。やはり、レニーは偉大だ。いろいろ言われるが、大きな功績を残したことは、間違いない。レニーは好きな指揮者だが、作曲家としてのレニーの全容には触れていない。あらためて作曲家としてのレニーに触れてみたいと、思った。とてもとても素敵な映画。

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