The 1975 "All I Need to Hear" (BFIAFL) 和訳〜僕が聞きたいのはただそれだけ〜
イギリスのバンドThe1975の5枚目のアルバム、”Being Funny In A Foreign Language"の7曲目、"All I Need to Hear"の和訳です。前回の投稿から一年以上経ってしまいましたが、バンド周りでたくさんのことが起こりましたね。。。(ほとんどがボーカルのmattyに関するものですが)
ただ、1975が好きと言う事実は変わらないので、またぼちぼちBFIAFLの和訳を再開したいと思います。
ところで、この曲はアルバムのここまでの流れからは大きく変わって、しっとりしたバラードです。ただ「素直な歌詞、素直な曲」という点ではこのアルバムのここまでの多くの曲と一致していますし、とても美しい曲なので、これまた傑作ですね。
例によってApple MusicのインタビューでMattyがこの曲について話している(*1) のですが、どうやらフォーク・デュオの「サイモンとガーファンクル」で有名なポール・サイモンの楽曲である”Still Crazy After All These Years(邦題『時の流れに』)”にインスパイアされた曲だそうです。"All I Need to Hear" では随所にこの曲からの「引用」のようなものを感じさせる部分が出てきます。60~80年代あたりの曲からうまく「引用」して自分たちのものにしてしまうというのはThe 1975の十八番ですね。
さて、YouTube上ではReal World Studiosで収録されたライブ映像もアップロードされていて、そちらもとても良いレコーディングになっていますので、ぜひお聴きください!(冒頭ではMattyの語りがありますが、ユニバーサルミュージックの公式チャンネルが翻訳をつけてくれてます)
さて、前置きが長くなりましたが、以下が和訳です。
[Verse 1]
I get out my records
When you go away
When people are talking
I miss what they say (*2)
君がどこかへ去っていってしまい、僕はレコードをかけてみる。
周りの人が話してても、会話が頭に入って来やしない。
[Chorus]
'Cause it all means nothing, my dear
If I can't be holdin' you near
So tell me you love me
that's all that I need to hear (*3)
だって、君を抱き寄せることができないのなら何も意味がないから。
だから「愛してる」って言ってほしいんだ。
僕が聞きたいのはただそれだけ。
[Verse 2]
I sit in my kitchen
With nothing to eat
With so many friends I
I don't wanna meet
キッチンのところに座ってみる
何を食べるわけでもないのにね。
友達もたくさんいるけど
会いたくはない。
[Chorus]
'Cause I don't need music in my ears (*4)
I don't need the crowds and the cheers
Oh, just tell me you love me
that's all that I need to hear
だって僕の耳に音楽なんて必要ないし、
大勢の人や歓声だって必要ない。
ただ「愛してる」と言ってくれればいいんだよ。
それが聞きたいだけなんだ。
[Bridge]
I've been told so many times before
But hearin' it from you means much more
So much more
これまで何度も「愛してる」って言われてきたけど、
だけど、それを君の口から伝えてもらうのが
僕にとってはすごく大事なんだ。
[Verse 3]
Reply to my message
And pick up my calls
You see, I wrote you a letter
It was no use at all
返信してくれよ。
電話に出てくれよ。
君に手紙を書いたんだ。
結局なんの役にも立たなかったけどね。
[Chorus]
Oh, I don't care if you're insincere
Just tell me what I wanna hear
You know where to find me (*5)
The place where we've lived all these years
心がこもってなくたっていいんだ。
ただ僕が聞きたい言葉を言ってくれればそれで十分なんだよ。
いつでも連絡してほしい。僕の居場所はわかるだろう?
そう、僕らが何年も暮らしてきたあの場所さ。
And tell me you love me
That's all that I need to hear
Oh, tell me you love me
That's all that I need to hear
それで「愛してる」と言ってくれればいいんだ。
僕が聞きたいのは本当にそれだけ。
「愛してる」と言ってほしいだけなんだよ。
[注釈]
(*1)
当アルバムの発売時に行われたApple Musicのインタビューではこの曲について以下のように語っています。
(*2)
この曲は「失恋」の喪失感がテーマになっています。ここでは、愛する人が自らの元を離れていってしまい、音楽を聴いて気を紛らわそうとしたり、人と話したりしても結局「意味がない」という様子が描かれています。(音楽に関しては2つ目のchorusの部分で「音楽なんか必要ない」という表現があります)
(*3)
ここはVerse1からつながっているところで、「モノ」や「人」でさえも、君がいなければ無意味、ということが歌われます。Verse2→chorusの流れでも同じような構成・調子で曲が進んでいきます。
(*4)
この部分は先述のポール・サイモンの楽曲からの影響を伺わせます。(動画だと0:50~)
https://youtu.be/Q5Eoax6I-O4?si=MlZD8d9R0JpRDQPT&t=50
"in my ears"という言い回しを使っていることを考えても、Mattyがポール・サイモンを意識をしてこの部分の作詞をしたと言って良いかと思います。「音楽が無意味」というのを「音楽で」表現するのが面白いです。
(*5)
"You know where to find me"は、「いつでも連絡してね」という意味の口語表現のようです。ただこの部分に関しては、前後の文脈を考えると「僕の居場所を知ってるでしょ」的な意味で捉えても問題なさそうなので、両方の意味にとれるように訳してみました。
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