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坪単価について

設計についてのご相談をいただく中で【坪単価】についてのお問い合わせをいただくことがよくあります。
この【坪単価】についてのご相談について、どのように回答すれば良いのか私はいつも悩みます。
なぜかというと【坪単価】についての明確な定義がないと思っており、
(正確にいうと【建築費】の一坪あたりの単価が【坪単価】ということではありますが)
なぜ【坪単価】が必要なのかという目的によりその回答が異なるからです。

坪単価について問い合わせる理由としては、「この建物を建てるためにはいくら必要か」ということ、つまり【総工費】を知りたいためだと私は思っていますが、それは坪単価だけでは言えないからです。

そこで私なりの【坪単価】についての考え方を伝えたいと思います。

◾️平面計画による坪単価の違い

平面計画による坪単価の違い

・平面形状がシンプルな形になる程坪単価は安くなる
・坪単価を安くするためには、いかにシンプルな平面形状で希望の間取りが作れるかを考える
・理想の間取りがシンプルな平面形状で作れるか?
・敷地形状によって平面計画も変わってくる
・ロケーションや方位、近隣の状況によっても平面計画は変わる

このように、さまざまな条件や要因によって同じ床面積の建物でも坪単価は変わってきます。


◾️高さによる坪単価の違い

高さによる坪単価の違い

・同じ形であれば多層階の建物になるほど坪単価は下がる
・建物の高さが高くなるほど基礎の負担は大きくなる(構造上基礎工事費は増)
・杭が発生すると坪単価は上がる
・一層分の高さが高くなれば坪単価は上がる

こちらも平面計画の違い同様坪単価に違いが出てきます。


◾️総工事費から考える坪単価について

総工事費から考える坪単価について

このように坪単価を125万と想定した建物だったとしても、建物以外の付帯工事を含めた総工事費から考えた場合坪単価は変わってきます。


◾️斜面地の場合

斜面地の場合の坪単価について

こちらも、擁壁などを含めた総工費から坪単価を割り出すと、とても高い坪単価になる可能性がある。
擁壁を作らず2層の建物で計画した場合坪単価は抑えられるが、総工費は増す。
メリットとデメリットをどのように捉えるかで、建築の計画は変わってきます。


以上のように【坪単価】についての問い合わせについては簡単に回答することが難しいのです。
設計事務所に設計の相談をする場合

・どのような建物が必要か(用途や目的、そして夢など)
・総予算はどれくらいに抑えたいか
・その総予算には何を含めて考えれば良いか

以上の点について問いかけていただければ、設計事務所はその条件を満たす最適解を提示してくれると思います。

【坪単価】により設計事務所を選ばずに、予算含めさまざまな要望についてどのような回答を提示してくれるかをまずは聞いてみて欲しいと思います。

私は常々、この業界において【坪単価】がある意味での評価の基準になっていることについての違和感があり今回の記事を書いてみました。

是非参考にしていただければと思います。

(畠山)