やちむんとコンクリート
南城市にあるやちむんのギャラリーで出会ったお気に入りのコーヒーカップ。
あらやち(荒焼き)という焼き物で、釉薬を塗ったやちむんとは違い、釉薬は塗らず素焼きで仕上げたものだそうです。原料はクチャ(泥)。
黒や緑、赤茶などさまざまな色味をしていて、それは鎌で焼く際の位置によって熱のあたり具合が変化することによって色味の違いが現れるそうです。
色やサイズ、肌触りなどが若干違い、それぞれの個性が愛着となって感じられるところが手作りの良さにあります。面白いですよね〜
建築にも似たような点があります。
私たちが手がける建築のほとんどはコンクリート造で、特に打ち放し仕上げが多く、コンクリートで建物を作る時に使用する型枠によって、同じコンクリートでも仕上がりにさまざまな表情が現れます。
その型枠は大きく分けて2種類あります。
①パネコート
→オレンジ色の剥離剤塗装が施された合板を使用する打ち放し
②普通ベニヤ合板
→無塗装のベニヤ合板を使用した打ち放し
どちらの打ち放しも素晴らしい仕上がりになりますが、
特に普通ベニヤ合板を使用した打ち放しは独特で温かみが感じられます。
普通ベニヤ合板を使用したコンクリートの打ち放しは、パネコートと比べると光沢はほとんどなくマットな質感になり、場所によっては合板の木目が転写されたり、時には合板によって濃淡のあるグレー色に仕上がります。
これは、コンクリートを流し固め、型枠(合板)を解体し、初めてその仕上がり具合を目にするため、どのような打ち放しの仕上がりになるか毎回ワクワクします。
好みには人それぞれではありますが、焼き物が窯から取り出し冷やされた後にしかその出来上がりの表情がわからないのと同様、コンクリートもその時の環境などの条件によってさまざまな表情を見せてくれます。
長年住み続ける家にとっても、愛着がわき、素材の質感や人の手で作り上げられたものの温かみなどを日々感じることができる、そんな魅力がコンクリートには詰まっています。
YM