〈135〉自己研鑽に思う
学童保育に従事して4年目でようやく資格を取ることになり、受講中なわけです。
医療を学んだ者は学童保育業界では用無しな人材のため免除項目無く、全16項目を受講します。
医療と福祉が繋がっているようで繋がっていないことを実感しますよね。
せっかく受講するので、感想でも述べてみたいと思います。
16項目分か、それ以下、それ以上になるかはわかりませんけど。
さて、設備及び運営に関する基準というものがありまして。
その中で、放課後児童支援員としての質についての記載があります。要約すると、
素養があり、かつ、適切な訓練を受けた者である必要がある。
常に自己研鑽に励み、知識及び技能を習得せよ
ということです。
とにかく訓練を受けることが大事らしい。
自己研鑽…ね。
様々な項目の至るところに出てきます。自己研鑽して、自己研鑽してと。
大事ですよ、もちろん。
学びたいと思って学ぶこと、学ばねばと思って学ぶこと、大事。
筆者の放課後児童支援員補助としての3年間で得た知識も、思考も、自己研鑽で積み上げてきたものですし。
でも、それは個人任せではダメなんですよ。
人材として、組織として一定の質を担保しなければいけない時、個人の努力だけを頼っては土台は育ちません。
ましてや低賃金、時給パートの労働で、研修費用や会場までの旅費を捻出するかとなれば、自分はNOです。
家庭の収入のために稼いだ金額を、収入増にならないものへ投入しようとはなりません。
研修費用で数千円、旅費になれば数万円の支出。その金額を時給で稼いで何日分かと考えたら、普通の感情としてアホらしい。
そして、このような人物は、例え資格を取得しても業界を去ります。
有能であっても去ります。
人材の質向上、人材流出の防止のためにも、組織としてコストをかける必要があります。
人材が集まりにくい地方や過疎地域は特に、戦略としてやらないと、どちらも達成できずに、結果として子どもたちの不利益に繋がります。
これと同時に改めて感じたのは、純粋に、無資格(=無知)の状態で子どもたちの命を預かることは、とんでもないことだということです。
資格研修のテキスト、384ページもあるのですよ。
さらに研修教材が2冊、冊子が2冊あるのです。
それで随所で専門性を求められているんですよ。
法的根拠、発達段階、発達課題、神経発達症、障害、連携、安全に関わる事項等々。
先にこれらを学んでから、子ども達と接するべきでしょう。
医療学んでない者が医療行為するのと同じですよ。人の生命、人生かかってるんですから。
この専門性を有資格者だけでなく、無資格者にも求めています。
無資格者も自己研鑽してねと。
これだけの専門性を求めながら、保育士や教員免許の無い者の資格取得には、実質2年分の実務経験が要ります。
自己研鑽したとしても、学童保育の本質を正しく学ぶまでの2年は"どうもこうらしい"という感覚で、子どもたちの大事な2年間に関わるのです。
だめじゃないですか。順番が逆ですよ。
本当に放課後児童支援員の質を向上したいのなら、入口として資格研修を受けてから実務にあたる方が、子ども達の最善の利益になると思います。