〈121〉情報収集の苦労②
子どもについての調査票を、親が書けないのなら保育士に聞くしかない。とのことで、翌年、保育所や幼稚園宛に質問項目を作成し、依頼します。
それを見た保育士が一言。「学校へ提供する情報と同じですよね。」
でしょうね…と心の中で思いながら、それが学童には提供されないので、お手数おかけしますがお願いしますと頼むのです。
保育士からの情報は有益です。子どもや保護者のことを本当によく見ていて、やはり専門職なのです。
そして3年が経ち、とうとう放課後児童支援員の手元にも個別支援計画が届く状態になりました。
子ども達の情報など何もなく、どことも連携せず行われていた状態から、やっとここまできたのです。
…すごくないです?自分と仲間を褒めましたよ。
個別支援計画は、保護者との間で、小学校等への引き継ぎ、情報提供することへの同意を得る必要があるものです。
きちんとその手順を保育士が踏んでくれて我々の手元に届くようになったので、自分たちがくれくれ言っただけではなく、その必要性等を理解してくれた方々のおかげであることと実際に提供してくれることに、本当に感謝しています。もちろん、同意してくれた保護者にも。
正直、キャパシティの無い学童保育で個別支援計画を手に入れても、ただの情報過多です。
何なら学童保育は保育計画や支援計画なんて作成しませんから、ここからさらにどうしていくかということは、実務としてはありません。
矛盾してますよ。それが学童保育の理想と現実です。
その中でも、何とか、目の前の子ども達への人間理解を深め、育成支援を意義あるものにするために。
学童保育が託児ではなく、育成支援に重きを置く意義を証明していくために。
本来当たり前に必要な情報を得る。
そういうことです。
そして、その仕組みを構築するのに3年かかった、ということです。
そもそも事前情報が要るか要らないか、方針や程度は人によって二分しがちです。
学童保育連絡協議会の者ですら、不要とする人は少なくありません。
知りすぎてレッテルを貼ることになり足かせになるため不要とする人と、発達課題や家庭環境、療育情報をきちんと知ってアセスメント、介入しながら継続的支援するために必要とする人がいます。
元医療従事者としては後者の考えがありますから、子ども達の心身の健康のためにも、得た情報にしっかり向き合っていきたいと思います。