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ガパオの栽培に失敗した話

(2020年にブログで散発的に書いていた栽培記録をリライトしました)

タイの屋台で出てくる料理を自宅で再現する際、ハーブやスパイスが料理の印象に与える影響の大きさを痛感します。メインの野菜や肉よりも、むしろ風味づけのために少しだけ入っているハーブの方が調達が難しく、なおかつ存在感が大きいのではないかと思います。手近なもので代用すると「見た目は似ているが、何か違う」という結果になることも。

スーパーに行けばレトルトやシーズニングがあるとはいえ、せっかくなら材料調達から完成品が出来上がるまでの過程を楽しもうということで、コスパ度外視でちょくちょく栽培に挑んでいます。

とはいえ飛騨地方ですから、熱帯のハーブやスパイスは気候や土が合わず失敗することも。ただ、「失敗するパターンと対策」をストックしていけばどこかでブレイクスルーが見つかるかもしれないので、記録はしておこうと思います。

ガパオとホーリーバジルは同じ植物

2020年に栽培に挑戦したガパオも、タイ料理には頻繁に使われますが、日本では調達しにくいハーブのひとつ。ガパオ の名を冠するガパオライスでさえ、バジルで代用しているレシピの方が一般的かもしれません。

「ガパオ」はタイ語での呼称であり、標準和名はカミメボウキといいます。さらに「ホーリーバジル 」という通称も広く使われているため、名称の混乱やバジルとの混同がしばしばみられます。そこで、名称をいったん整理しておきます。

ガパオ

ガパオの種の包装。バジルより葉が細く、鋸歯があるように見える。

標準和名:カミメボウキ
学名:Ocimum tenuiflorum
分類:シソ科メボウキ属
通称:ガパオ 、ホーリーバジル、トゥルシー

バジル

2019年に栽培したバジル

標準和名:メボウキ
学名:Ocimum basilicum
分類:シソ科メボウキ属
通称:バジル、バジリコ、スイートバジル

ガパオの葉はバジルよりも細く、細毛が生え、赤紫色を帯びることもあります。味はバジルに比べ苦味・辛味がやや強く、生で食べるより炒め物に適しています。

「メボウキ」は「目箒」

バジルの標準和名は「メボウキ」、ガパオの標準和名は「カミメボウキ」ですが、この「メボウキ」は漢字で「目箒」と書くのだそうです。

「目箒」の由来は、目に入ったゴミを取り除くのに使ったこと。後述しますが、バジルやガパオの種皮は水分を吸ってゼリー状に膨れ上がります。そこで、バジルの種を目に入れて、涙を吸って膨らんだものを拭い取ると、ゼリー状の部分に目のゴミがくっついて一緒に除去される・・・という療法が江戸時代に伝わったのだとか。

・・・絶対に真似しないでください。

播種から植え付けまで

吸水したガパオの種子

3月下旬、ガパオの種子を一晩水につけて吸水させてから育苗用土に播種しました。吸水させると種皮がゼリー状に膨張してカエルの卵のようになりますが、正常な現象なので安心してください。ちなみに、ガパオやバジルの種を吸水させたものを「バジルシード」と称して食べることもあります。

吸水した種子を育苗用土に撒く(2020年4月19日)
子葉が展開(2020年4月28日)

播種後1週間くらいで発芽しました。発芽したての頃はとにかく乾燥に弱いため、目の届く場所で管理。ポットに種子を複数撒いた場合は間引きながら育てるのですが、間引いた芽をかじると既にガパオの味がします。

畑に定植(2020年5月25日)
本葉が開いた苗

5月下旬、畑の土に腐葉土と草木灰を混ぜて耕し、化成肥料を加えてから畝を立ててシルバーマルチを敷きました。その畝に、本葉が展開した苗のうち4株を試しに移植しました。数日様子を見ましたが特に問題なく生育し、無事に活着したのではないかと判断しました。

ところがどっこい

3日後、ポットから畝に植え替えたガパオが消滅していました。

ものの見事に何も残っていません。

原因はなんだったのでしょうか。地植えせずにポットのまま置いていた苗は健在だったため、乾燥や低温が原因とはあまり考えられません。すると、植え替え作業に何か問題があったのだと思われます。

そこで思い当たる節がひとつ。植え替えの際、根をほぐしてしまったことです。

本来は1ポット1株になるまで間引くべきなのですが、中には丈夫な芽が2本生えたため間引くのが惜しいものもありました。そこで根をほぐし、2つの苗に分けて植えてしまったのです。このとき根が傷つき、定植後の活着がうまくいかず枯死した可能性があります。

植え替え時に根をほぐして良いか否かは植物の種類によって異なりますが、ガパオは根をほぐしてはいけないということですね。1ポット1本まで間引くのを厳守し、植え替え時は根をほぐさない。良い教訓が得られました。

2023年追記

いや、そもそも定植が早かったのでは?写真見返すと、本葉がようやく出たくらいのタイミング。まだ植え替えに耐えられるほど根圏が発達していなかったという可能性はないかな。

苗が小さい状態で畝に植えているので、マルチシートが陽を遮ってしまっているようにも見える。ただでさえ5月の飛騨地方はまだ朝晩冷えるので、マルチシートの影になると余計に地温が下がってしまいそう。しかも根を崩して植え替えてるし、そりゃ傷んで枯れちゃうよ・・・。

露地に植え替えることで、乾燥しにくくなったり根圏が広がって株が丈夫になったりといったメリットがあるけれど、さすがに植え替えを急ぎすぎたか。


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