雨上がりのひととき
今朝、窓から外を見たら雨が降っていた。それでも学校は無くならない。傘を差して歩き始める。本当は雨なんて好きでもないが、雨の中歩くのだっていいよね、と自分に言い聞かせた。誰もいない雨の中、一人で笑顔を作ってみる。気分はちっとも晴れやしない。
駅に着いて友達を待つ。
「雨やばくない?靴ん中もうびちょびちょ!」
なんて言いながら学校へ向かった。
今日は体育があった。体育の先生は話が長い。毎回、授業時間の1/3ほどは、先生の話で授業が終わる。いつも同じような話しかしないが、今日はいつもと少し違う、アルバイトの話もされた。この学級の担任でもないのに、一人ひとりのアルバイト事情を聞いていく。私は最初の方に並んだため、すぐに話が終わった。
体育は、授業の終わりに先生が指定した課題を、クリアできなければ授業を終われない。今日は、百均に売っていそうなプラスチックのボールを、上の細い通路に乗せるという謎すぎる課題だった。なんとか全員クリアして、授業が終わった。
学校が終わると雨は上がっていて、日も差していた。
友達と一緒にミスドに行き、昼食代わりのドーナツを買った。店内は混雑していたので、近くの公共スペースに移動してから食べた。何の話をしたかさっぱり覚えていない。なんてことない、普段通りの会話だった。
帰宅後、眠気が襲ってきたので、バイトに行くまで仮眠をとった。
あぁ、バイトだ。そう思って起き上がり、支度をして家を出た。
お気に入りの音楽がイヤホンを伝って私の耳に入ってくる。雨上がりのにおい、水たまりに晴れ上がった空。そんな空気の中歩き始めた。なぜかこの曲を聴いてると、この世界の主人公になっている気がする。雨上がりも案外気持ちいいな、そう思わせてくれるのはこの曲のせいだろうか。日が延びたためか、夕方に差し掛かっているのに夕日の雰囲気があまりない。
空がきれいで立ち止まってしまった。写真を撮ろう。撮った写真を見たら、大したこともなかった。まぁいっか。魔法のような言葉で気にしないことにする。もう一回撮ろうとも思ったが、バイトの時間が迫っている。やばい。そう思ってまた歩き出す。
雨上がりのほんのひととき。