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翻訳こぼれ話| Just before | 余談ですけど

こんにちは。
今日は(も?)、オタクな翻訳話。

さて、ほんの小さな言葉が、これほどまでに人に与える影響に差を及ぼすことに、クリーンランゲージを使い出して10年経っても、まだ慣れません。笑

私は、翻訳をしている関係で、おそらくは他のファシリテーターさん達よりも、質問や説明に使われている言葉に対する感想を耳にする機会が多いです。

私が「この質問訳が答えやすい」「これは反応がよくない」となどの意見を歓迎し続けてきたのもあるかもですね。

もしも、クリーンランゲージが物語や小説など、発信者が表現したいものを伝えるための翻訳ならば、私の日本語への翻訳作業はもう終わっていたと思います。

しかし、何の因果か、私が手をつけてしまった題材はそうではありませんでした。
人の心と体が反応するように翻訳する必要がある道具でした。

そして、私がクリーンランゲージと出会った頃、クリーンランゲージを使ったセッションを体験したことがある日本語話者が圧倒的にいなかったのです。

私がまずしなければらいけなかったのは、「その時、クライアントに何が起きているか」を自らで知る作業でした。

日本語で熟練したファシリテーションを提供できる人も、当時はまだいませんでした。
だからまずは、英語でセッションを受けることにしました。
こちらには熟練者がいた。何より、シンボリック・モデリングの開発者が、現役でファシリテーションをしていました。

その後、自分の体験をもとに質問訳に取り組み続けてきましたが!

私を悩ませ続けたのは、その「答えやすい翻訳」がばらんばらんの言葉だったことです。

みなさまは、自分がそうだから他もそうかもと思うかもしれない訳。

けれど、私は知っている...。

それ、あなたの感覚にすぎませんから

だって、意見がバラバラなんだもの!笑

「その」クライアントにどれがよく作用するかなんてわかりませんのでね。

というわけで、もしもあなたが基本の質問はもうしっかり頭に入っているからば、特に今日の話の質問訳は、「私はこれがいい」の訳以外も頭に入れておくといいかと思います。

自分が反応する翻訳が、目の前の人によく作用するとは限りません。

私自身は、ひとつのセッションの中で、いろいろと使います。
経験的に、日本語については、クリーンランゲージの質問は、ひとつの質問に対して、複数訳を頭にいれておく方が、明らかにやりやすいです。

最初はどれでもいいからひとつをしっかり覚えましょう!
でも、日本語のそれ、真言の類じゃないですから。
翻訳ですから!

小難しく書くならば、英語の原文は、セマンティック・プライムで、意味がそれ以上分解できません。
ただし、英単語と日本語訳は、一対一では対応していないことが多々あります。
つまり、日本語のセマンティック・プライムはもっと単位が小さいのです。
そして、だから、これや!という訳に絞りこみにくい。

その中でも、その「これがいい」が意見ばらばらの一二を争うのは、小さな二つの単語の組み合わせの訳です。

JUST BEFORE

質問全文はこちらです。
What happens just before X?

Chatgtはこう訳します。
Xの直前に何が起こりますか?

こちら一見、なんの変哲もない、普通の文章です。

注目してもらう場所や時間帯にフレームをはめこむ質問です。
ここに注目してみてね!という質問。

ところがどっこい。

ちょっと前がいい。
すぐ前がいい。
直前では自分は反応しない。
いや、直前がわかりやすい。

他にもいろいろありますが、まあ、バラバラなご意見の数々。

さあ、このJUST BEFOREをどう訳すか?

これが英語のテストなら、私はちっとも悩みませんでした。

そして、私は最近気づきました。

クリーンランゲージの使い手に、何を教えておけばいいかに。

そして、JUST BEFOREは、実にわかりやすい例だということに。

こういう単語は、他にもいくつかあります。
HAPPENとかね。
HAVEとかね。
Betweenもそうですね。

私は、翻訳に手をつけたことで、人よりも、人の反応の多様さを学ぶことができて、ラッキーだったかもしれません。笑

そのうち、禿げると思います。
知らんけど。

では、また。

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クリーン実験室|クリーンランゲージ|シンボリック・モデリング
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