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「最初の質問」の考察(1)|クリーンランゲージの質問
こんにちは。
余談ですけど・・・
本日はクリーンランゲージの最初の質問「そして、あなたは何が起きてくれたらいいのでしょう?」について深堀り考察してみます。
余談中の余談で、これは仕事というより趣味の世界の話です(笑)
この考察は、トレーナとしてというより、クリーンランゲージ関係の記事や著作を翻訳する翻訳者&ファシリテーターとしての立ち位置から考える内容です。
「あんた、どこまでオタクやねん!」と突っ込んでいただいて差し支えありません。・・・オタクというかね、よく言えば探究者。言葉一つで変わるイメージの恐ろしさよ(笑)
私は翻訳する関係で、言葉を探し追求し続けていますが、普通にクリーンランゲージやシンボリック・モデリングを使うのに、オタクや探究者である必要はありません。ファシリテーターであればいいです。両方揃えると、オタク街道まっしぐらになります。念の為。
よい、または、いい。
かしこまった場所以外では、「いい」を使用することが多いかもしれません。
いい1日。いい人など、日常でもよく使われていますね。
「それ、いいやん」が、私個人が日常で最もよく使用する「よい/いい」かな。
クリーンランゲージで使われる最初の質問の翻訳にも、この「いい/よい」が含まれた翻訳が使用されることが多いです。
最初の質問の原文
”And what would you like to have happen?"
私が採用している翻訳はこの2つ。
「そして、あなたは何が起きてくれればいいのでしょう?」
「そして、あなたは何が起きてくれたらいいのでしょう?」
「たられば」のところは、本当は、「たられば」という仮定をしているのではありません。ここの部分は、「have」という使役動詞の翻訳にあたるのですが、この部分、ぶっちゃけその珍妙さとその効果をいかに翻訳すればいいか、世界中で翻訳者が頭を抱えています(笑)
私がこの訳を考え始めてから、はや8年以上の月日が流れておりますが、私もまだ「これだ!」には辿り着いていません。
さて、今日の話は、そこではなく、「いい」のところ。
これは「漢字・カタカナ・ひらがな」という3種類の文字を駆使する日本語だけに関係する話です。
そして、「質問って耳で聞くよね?」というところに関係する話です。
ちょっと声に出して「あなたは、何が起きてくれたらいいのでしょう?」と呟いてみてください。そして、この「いい」にちょうどいいなと思う漢字を当てはめてみてください。
あなたの頭の中に浮かんだ「いい」は、どんな漢字だったでしょうか?
浮かんだ漢字によりけりで、この質問は意味が変わります。
よい、いい、に当てはめられる漢字は・・・
良い/善い/好い/吉い/佳いなど。
下のリンクをポチッと押していただけばわかりますが、そりゃもう、すごい数の意味の「よい/いい」が登場します。
人が思う「いいこと」には、わかっているだけでこれだけの種類があるんですね。
余談中も余談ですが…
クリーンランゲージの質問は「意味の原子要素」(つまりそれ以上、意味が分解できない言葉)とも言われるセマンティックプライムから構成されています。翻訳者が頭を悩ませるのには、そこもあるかと思います。
本日のテーマ、「よい・いい」は、まだ意味が分解できるんですね。
翻訳する際には、「言葉ではなく、その質問の”機能や作用”を翻訳するように」というのが、この場合、ジェームズ(私の師匠。シンボリック・モデリングの開発者)から言われている私のミッション!なのですが、まあ、でも、意味も近づけたいよね、言葉なんで!というのもあります。
先にリンクを貼った動画を見たドイツ人のやはり翻訳もするクリーン仲間が「むっちゃわかる!」と喜びまくっていましたので、あっちこっちで同じような努力を続けている人たちはいるかもしれません。
興味がある人は、どんどん自分でもいろんな翻訳を試してみてくださいね!日本語は、状況に応じた工夫がより必要だということは、すでにさまざまな人が気づいています。安心して色々実験してみてくださいね。
そうすると、この質問を投げかけると、千差万別の答えが返ってくることが推測できます。そして、本当に、千差万別の答えが返ってきます!(笑)
私自身は、シンボリック・モデリング用に翻訳するときは、「好い」という単語を使用するようにしています。原文中にある「like」と対応させています。
これは、シンボリック・モデリングの中で使用されている「望む結果(望むアウトカム)」や「資源(リソース)」の定義の関係で、ファシリテーターがそれをしっかり認識しておく必要があるからです。
対して、幅広くクリーンランゲージについて書くときは、「いい」とひらがなを使用するようにしています。クリーンランゲージという言語モデルを使用する技法は、使う質問は同じですが、使用用途やその技法の根底にあるそれぞれの技法の開発者の考えによって、その質問に与えている役割が多少異なる場合があるからです。汎用性が高いのは、ひらがなのため、ひらがなを使用しています。
どのような使い方をしたとしても、クリーンランゲージの根底には、善悪という判断基準は採用されていないため、「良い」という漢字は当てはめにくいわけですが、ここで・・・
話は・・・
質問を問いかけられた相手は、「いいという音」でそれを聞く!
そこなのです。
そして、いくら「相手の好み」を追求するシンボリック・モデリングであったとしても、その人が「(社会通念上の)良いこと・善いこと」が、「好いこと」よりも好きだった場合、「好いこと」を問いかけて返ってくる答えは「(社会通念上の)良いこと・善いこと」である場合もあるということなのです。
どうでしょう?
少し、頭がこんがらがり始めせんか?(笑)
だから、相手の答えの意味をファシリテーターが理解できるなんて思うことが、そもそも無理!って思いません?
私は思います。
どの「いい」が登場したかすら、わからないんです。(笑)
もう、なんでしょうか、目の前に現れた一見普通の「望み」は、その人にとって、良いものなのか、善いものなのか、佳いものなのか、好いものなのか?
そして、もしも、現れたものが「良いもの」や「善いもの」というように、身体的な感覚よりも、思考や認識が多く関係していそうなものだった場合、それは本当にその人にとって「好いもの」なのか?!
ファシリテーターとしては、毎回、私はなんの変哲もない望みが、相手の口から登場した時ほどワクワクしてしまいます。(笑)
そして、「いい何か」をイメージしやすいために、「どういう音でこの質問を問いかけたらいいかな?」と実験に励んでいます(笑)
質問を問いかける音や声のトーンで、相手の反応や、相手から登場する内容はかなり変わります。いろんな音や声のトーンを使って実験してみると面白いです。練習の時にでもお試しを。
続く。
この珍妙な質問から始まるちょっと変わったスマートでパワフルな対話方法をゼロから学ぶチャンス。
ホームページもリニューアルしました。チラリと覗いてみてくださいね。
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