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かなりこ合同誌を作って頒布した記録。(2019年秋〜2021年春)

今はいろいろな環境が変わったので、やってはいないのですが、かつて同人誌を作って頒布する趣味をやっていた時期がありました。
(2006年〜2010年、2016年〜2021年くらい)

現状、世の中の多くの同人誌が個人誌だと思います。
そして私も個人誌をメインに活動していましたが、一度くらいは合同誌の企画主催をしてみたいと考え、2020年に実際に手をつけることにしました。

2024年11月時点で合同誌の企画・頒布から約4年が経過しているので、記憶が曖昧になりつつあるのですが、忘れないうちに記録に残しておきます。
2020年は名前を出すのも忌々しい例の疫病が猛威を振るった年ですが、その際どのように対応したのかも含めて記録として残しておけば、「あの時あんな感じだったなあ」と思い出せますし、企画主催に関する内容はいずれどなたかの参考になるかもしれません。

合同誌を作ってみようかと思い立つ2019年秋

企画立案

私自身が主催した"かなりこ合同誌"を作りたい、という思いは以前からありました。
"かなりこ"ってなんぞや?ですが、2016年〜2021年に私がメインジャンルとしていたラブライブ!シリーズのひとつ『ラブライブ!サンシャイン!!』の登場人物・松浦果南(まつうらかなん)と桜内梨子(さくらうちりこ)のカップリングを"かなりこ"と呼びます。

マイナーなカップリングなので、描いている&書いている人はあまり多くないという悲しい現実。
ましてや同人誌まで制作・頒布している方も決して多くはなく、"かなりこ"で2次創作されている方は漏れなく"神"という世界。

これは私が以前に描いた"かなりこ"のイラスト。

"かなりこ"をテーマにした合同誌は、かなりこ愛の深い方が主催したシリーズが3冊ありました。(ありがたいことに、2冊目と3冊目に主催の方からお誘いいただき、私も寄稿しました)
上記のかなりこ合同誌シリーズを読んだり、寄稿したりするなかで、私もいつかかなりこ合同誌企画を主催してみたいという思いが出ていました。

企画体制

前述のかなりこ合同誌シリーズが一区切りを迎えるとのことで、それなら次は私がやるか、と決意しました。2019年秋くらいだったと思います。

私のサークルは私がメインで活動する個人サークルでしたが、もうひとりメンバーがいて、その人と一緒に何かやるスタイルでした。
私の方からかなりこ合同誌の企画を主催したい旨をもうひとりのメンバーに伝えて、賛成を得られたので、以下の布陣で臨むことにしました。

主催:私
企画立案、各種調整、編集、頒布対応を実施。

副主催:もうひとりのメンバー(以下、本文中では副主催と記載)
企画立案、企画イラスト制作、原稿の複眼チェック、など主催サポートを実施。

頒布時期検討

他の合同誌企画も参考にしつつ検討しました。
企画告知から参加者募集期限のタイムスパンが最速で3ヶ月、最長でも半年というのがよく見かけるパターン。
上記も踏まえつつ、企画告知の対応やイベントスケジュールも勘案して、以下の流れとしました。

2020年3月中旬:企画告知開始
2020年9月19日:参加者募集期限
2020年10月24日:小説原稿提出期限
2020年11月7日:イラスト・漫画原稿提出期限
2020年12月30日:コミックマーケット99にて頒布開始、以降書店委託も併せて実施

ラブライブシリーズのオンリーイベントもあるけど、やっぱりコミケで頒布したいよねー、と。

コンセプト・原稿作成ルール策定

コンセプトは簡単で、主催が「愛の詰まった"かなりこ"のイラスト・漫画を読みたい、小説を読みたい」
全年齢向けの同人誌なので、過度な性描写やエログロ描写、反社会的描写、他カップリングdis、性転換はNGとしました。
上記NG事項に抵触しなければ、コンセプトを踏まえて参加者の好きに描いて・書いてもらうルールです。ね、簡単でしょう。

原稿形式は個人誌を作成する際にいつもお世話になっていた株式会社栄光様のテンプレートを参考にしました。
印刷もこちらの印刷会社様に依頼しています。

好きに書いてもらうとは言うものの、ある程度の分量で区切る必要があるので、以下の規定としました。
他の合同誌も大体このくらいの分量が目安になっているようでした。

A5サイズ
本文モノクロ
イラスト:1ページ以内
漫画:2ページ〜10ページ以内
小説:9,000文字以内(2ページ〜6ページ程度)

合同誌を作る仲間たちを募集し始めた2020年春

参加者募集

参加者募集は2020年3月中旬から本格的に開始。
以下の手段としました。

直接勧誘

"かなりこ"で2次創作をされている作家さんに直接参加を呼びかけました。
TwitterやPixivのDMで企画趣旨の説明と、もし興味があれば参加いただきたい旨を記載してメッセージを送っています。
ちなみに合同誌の顔となる表紙のイラストは個人的にこの方に描いていただきたい、という作家さんがおり、直接勧誘しました。
Twitter上でも懇意にしていただいた縁と、"かなりこ"への愛も相まって快諾いただけたことは幸せでした。

Twipla

イベントや飲み会の募集でよく見かけるTwiplaです。
こちらにかなりこ合同誌企画のイベントを立ち上げて、参加希望の作家さんを公募しました。
今改めて見返すと、いろいろ細かく書いてますね。
いろいろ伝えないといけない内容が多く、どうしても長くなるんですよね……。

イベントでの企画告知カード配布

2020年3月開催のラブライブシリーズオンリーイベント(僕らのラブライブ!25)にサークル参加予定でしたので、個人誌の頒布と併せて企画告知カードを配布することにしました。

企画告知カードの表面。副主催にイラストを描いてもらい、デザインは主催の私が担当。
告知カード裏面。2020年3月時点で決定していた参加者と企画概要を記載。詳細はTwiplaページを確認してもらう形式。

企画告知カードは株式会社栄光様のポストカード印刷を利用しました。
ポストカードのテンプレートが提示されているため、そちらに従って作成・入稿し、イベント当日に間に合うよう送付してもらいました。

名前を出すのも忌々しい例の疫病が流行り始めました2020年春

2024年現在では季節性インフルエンザと同等の5類感染症の扱いとなっている例の疫病。
今ではすっかりないことになっていますが、2020年春先から数年続いた混乱はこのかなりこ合同誌企画にも大きな影響がありました。

2020年3月といえば、国内外でも感染が広がり、各種イベントにも自粛要請が広がり、私が趣味にしているJリーグも2月末の開幕戦を消化した時点で次回の試合を4月に延期するなど、混乱が広がっていた時期。
3月25日のオンリーイベントへの参加をどうするか迷った結果、感染対策をした上で参加することにしました。
とはいえ、やはり世情が世情なので、2020年1月の前回開催時から大きく参加者は減っている状況で、告知カードを作った意味とは?みたいな状況でした。

その後は、皆さんもご承知の通り、緊急事態宣言の発令に伴うステイホームの徹底など、同人活動どころの話ではなく、そもそも頒布を予定していた冬のコミックマーケット99の開催すらも怪しくなってしまうという、なんとも悪いタイミングでした。
(余談ですが、参加を予定していたラブライブシリーズのライブイベントもことごとく吹っ飛んでしまい当時はかなりのダメージを受けました。今はとなってはそんな時代もあったねと)

結局、コミックマーケット99は延期、書店委託での頒布をメインとする方針に切り替えて、企画を継続することにしました。
前述の参加者募集のTwiplaを見ると、当時の状況の一端が分かる更新内容が残っていて興味深いです。

例の疫病で企画内容に変更が生じた旨を都度更新していたのを思い出しました。

合同誌の原稿を集めて編集して本にする2020年秋

原稿締切の考え方

頒布時期検討の節でも記載しましたが、小説原稿とイラスト・漫画原稿の締切を2週間ずらしています。

2020年10月24日:小説原稿提出期限
2020年11月7日:イラスト・漫画原稿提出期限

頒布時期検討の節より

小説原稿の提出期限が早いのは、
・小説で参加する方から原稿データ(txt形式ファイル)受領後に、主催・副主催で小説テンプレートに流し込んで組版対応をすること
・誤字脱字等のチェックを行う必要があること

上記2点の対応があるため、2週間余裕を持たせました。

また、12月30日開始予定の書店委託に間に合わせるために、遅くとも1ヶ月前には印刷会社様に入稿する必要があり、12月上旬に間に合うように1ヶ月と少しの編集期間を設ける考え方で10月下旬から11月上旬に締切を設定しました。
慣れている方だともう少し編集期間は短いかもしれませんが、初めての合同誌主催、また小説原稿編集も初めてということで余裕を持たせました。

参加者の皆さんも期限よりも余裕あるタイミングで原稿データを提出してくださったので、とても助かりました。
当時の参加者の方でこのnoteを読まれることがあるかは分かりませんが、その節は大変お世話になりました。ありがとうございました。

漫画原稿編集

漫画原稿編集は私にとってサッカーで言うところのホーム戦みたいなものなので、特に苦労はなく進みました。
私は2018年くらいからCLIP STUDIOを利用してイラストや同人誌を作り始めましたが、プロも利用するソフトなので合同誌制作でも大いに役立ちます。

CLIP STUDIOでの編集画面。ページ数が多いので一覧で見ると壮観。

漫画原稿はPSD形式ファイルの完成原稿で提出していただいたので、簡単な内容チェックの後に、CLIP STUDIOの編集データに読み込むくらいで済みました。

どシロウトがやる小説原稿編集

ここまで、個人誌制作の経験があるので、イラスト・漫画原稿だけでなく、小説原稿の編集もスイスイよ、的な雰囲気があったかもしれませんが、小説原稿の編集はどシロウトでした。
そんなんでよく合同誌企画を主催したな(苦笑)と言われそうですが、「何事も初めはみんなどシロウト」という心持ちで挑戦しました。

コンセプト・原稿作成ルール策定の節にも記載していますが、株式会社栄光様の小説原稿テンプレート(Microsoft Word)を利用したので、初めてでもそこまで大変ではなかったです。
基本的に、小説原稿テンプレートに原稿データを流し込んでPDF形式で書き出し保存、内容確認後にCLIP STUDIOの編集データに読み込む、という流れです。

なお、私のPCはMac、かつOffice MacのWordを導入していたので、OSが違えど互換性があるかなと思って小説原稿テンプレートでの編集を始めたのですが、OSとOfficeソフトが異なると、微妙にレイアウト崩れを起こす課題がありました。
Windowsもデュアルブートできる環境だったので、小説原稿編集はWindowsで実施しましたが、Mac利用している場合の要注意事項でした。
このあたりは実際に編集作業をしてみないと分からないですね。

あとは、主催・副主催の2名での誤字脱字等の複眼チェックは有効でした。
ひとりで読んでいると気づかないことも、別の人が読むと気づくあれです。誤字脱字チェックを終えた後に指摘事項をまとめて、参加者の方にも確認してもらい、原稿内容を確定させました。
このあたりをかなり細かく対応したので、印刷後に気づく誤字脱字等の不具合はなかったはず。

掲載順序の検討

すべての原稿が揃った後、内容を確認して掲載順序を検討しました。
主催・副主催で作品傾向をまとめて、掲載順序の案出しをして確定させました。
このあたりの作業は個人誌ではできない、合同誌だからこその作業で、パズルを組んでいるようで楽しかったです。

掲載順序検討のためのスプレッドシート。これを元に掲載順序の案出しをして確定。
この記事を書くにあたり、作者名と作品傾向詳細の掲載要否について、参加者の皆さんの承諾を得ていないので、主催と副主催以外の部分は隠しています。

参加者コメントも集めました

原稿本体とは別に参加者コメントも集めて、冊子の後ろにコメントページを作りました。
参加者コメントがない合同誌も多いですが、主催の趣味でコメントページを見たかったので、参加者の皆さんにご協力をいただきました。
以下の参加者コメントテンプレートを用意し、イラストを描きたい方にはコメントと併せて直接編集して提出してもらい、コメントのみの場合はコメントデータを受領し主催・副主催で編集するという形式です。

参加者コメントテンプレート。副主催が"かなりこ"イメージのいい感じのアイコンをデザインしてくれました。

そして入稿・書店委託頒布へ

すべての原稿編集と確認作業を終え、いよいよ入稿です。
何度やっても入稿作業はドキドキします。
印刷会社様での確認でも特に大きな問題はなく、順調に印刷・納品に進みました。

正式な注文確定から2週間弱での納品開始。とても早い。

「名前を出すのも忌々しい例の疫病が流行り始めました2020年春」の節でも記載しましたが、コミックマーケット99は中止となったため、書店委託での頒布対応となりました。
4年前の合同誌なので既に委託対応は終了していますが、メロンブックス様の通販サイトで取り扱っていただきました。

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=758925

印刷会社様から委託先書店様に直接納品が可能なので、12月30日頒布開始に間に合うように対応してもらいました。ありがたいですね。
完成版の冊子が主催の手元にも届き、嬉しくて"かなりこ"のぬいぐるみと記念撮影。
個人誌ではなかなかない厚さの背表紙。真ん中にうまく収まってくれて良かった。

ようやくオンリーイベント現地で頒布した2021年春

書店委託での対応は済ませましたが、どのタイミングで同人イベントに参加し頒布するか検討していました。
タイミング悪く2021年に入り名前を出すのも忌々しい例の疫病のピークがまた始まってしまいましたが、ある程度の対処方法等も立ちつつあったため、2021年3月20日に開催のラブライブシリーズオンリーイベント(僕らのラブライブ!29)に参加してイベント現地で頒布することにしました。

2020年9月沼津でのイベント以来、半年ぶりのイベント参加。例の疫病のピーク直後であったため、人は少なめでしたが……。
自サークルスペースに貼られたサークルカット。

イベントへのサークル参加自体は何度もやっていたので、慣れた作業でしたが、直接手渡しで合同誌を頒布できて、企画から1年以上経ってようやくすべてに一区切りついた、そんな心境でした。

ちなみに、2021年春から生活の環境が大きく変わってしまい、同人活動をする余裕がなくなり、これが最後の同人イベント参加でした……。

参加者の皆さんに完成版の冊子を送る2020年冬

今回は日本国内に限らず、海外(香港、韓国、タイ)在住の作家さんにもご参加いただいたため、国内向けのレターパックに加えて、初めて国際郵便EMSでの発送対応を行いました。

祝杯をあげながらEMS伝票を記入。
2020年12月当時は手書きでも問題なかったのですが、2021年1月からはアメリカ・ヨーロッパ宛の荷物は手書き不可、2024年3月からは全世界で手書き不可になったようなので注意が必要です。
日本国内の作家さんにはレターパックで、海外の作家さんには小さな段ボール箱で、それぞれ発送。主催・副主催を除き17名の作家さんにご参加いただいたため、すごい量になりました。

完成版の冊子と、寄稿にご協力いただいた感謝の気持ちを込めて、ささやかながらお礼のお菓子も同封しました。
発送先がたくさんあったのですが、国内海外ともに事故なく届き、ホッと胸を撫で下ろした2020年〜2021年にかけての年末年始でした。

やるべきことはたくさんあるけれど充実感がある合同誌企画

ここまでつらつらと合同誌企画の話を書いてきましたが、いろいろなことをやったんだなあ、と改めて思います。
関係する人がとても多いプロジェクトなので、最後まできちんと管理をやりきる気概が必要で、趣味の同人活動ではありますが、もう仕事ですね、これは。
大変なことは多いですし、やりきる責任もありますが、最後までやりきると充実感でいっぱいになりました。

私としては再び合同誌企画を主催することはないと思いますが、良い思い出ですし、この記事が今後合同誌企画を主催しようと考える方の何かしらの役に立つことがあれば幸いです。

おしまい。

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