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一心二用
オンライン授業中なのにも関わらず私はnoteを開く。音声とずれて届く映像が心なしに耳と目から素通りしていく。床にはアジの開きならぬ箱の開き、大小各一つ。隙間なく必須品が詰め込まれている。残りは歯ブラシと歯磨き粉、か。
明日の今には生まれた土地に戻れるの、今だから普通なことだけど、空の旅以前は海陸しかなかったから、9872kmを一日以内で移動するのはあり得なかった。今を生きている私は幸せなんだ。リアルタイムで返事が返ってくるのも、声が何度でも聞けるのも、映像で繋がることできるのも、今だから。
タイヤが走路から離れる瞬間、浮かぶ顔はやはりあなたのだった。私の声が似合うと言って突然送ってきた曲も、毎度いつ帰国するか聞いてくるのも、歌詞と関係してるの?友達以上じゃなかったら私の負けだね、って言えたらいいけど。私はその前にあなたと真夜中散歩プランを立てるから、月明かりに心の戸、開いてよ。
目的地よりもそこまでの道のりで観察する過程が好きなの、私も一緒だよ。トプ画は皮膚科へ向かう途中で発見した雨粒が美味しそうな一品。傘さすか躊躇させる微妙な霧雨が多いロンドンでなきゃ、みることは難しいんじゃないかな。
敢えて伝えない言葉、見せない一面、聞かない質問。そろそろ会わせてください。そして潔く私を叱って、白昼夢から叩き起こして、静かに笑って去ってください。