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2024年9月~12月の重要スケジュール

今回は、9月から年末までの重要なスケジュールを取り上げる。下の表において赤字が米国関連、青字が日本、紫が世界、黒色が欧州地域だ。

まず9月だが、9月1日はドイツで注目されている州議会選挙が2つある。この選挙がなぜ注目されているかと言えば、ドイツの極右政党であるAfDが第一党になる可能性が極めて高いからだ。ナチスの反省の歴史を受け継ぐドイツで極右政党が第一党になることは、州議会とはいえ重いものがある。
今年の欧州は政治に揺れている。6月の欧州議会選挙では極右政党が台頭した。AfDは得票率が15.9%とCDUに次ぐ第二党の地位を獲得した。特に旧東ドイツにおける支持の強さは際立っていた。AfDは、7月には欧州議会に「主権国家の欧州(ESN)」という新たな政党を立ち上げた。8加盟国から25議席が集まったが、そのうちの14議席がAfDである。但し、欧州の極右勢力は一枚岩ではない。7月8日にはハンガリーのオルバン首相が、フランスのマリーヌ・ルペン党首を巻き込み、「欧州の愛国者」という政党を立ち上げた。こちらは84議席の勢力があり、欧州極右勢力の主流である。

フランスのマクロン大統領は、極右政党の勢力拡大を恐れて、6月に下院を解散するという賭けに出た。7月のフランス下院選挙では、左派連合が手を組んだことで、政治的なテクニックにより極右政党の躍進を抑えた。しかし、選挙のための左派連合であり、選挙が終われば対立している。マクロン大統領は、未だにフランスの新首相を指名して、新政権を樹立できずにいる。9月20日は欧州委員会へ中期財政計画を提出する期限となるため、ここまでに新首相が誕生している必要がある。また、フランスの左派政権が、財政放漫的な財政計画を出すようだと、フランス国債の格下げリスクが浮上するだろう。
その間、ドイツでは与党連合のSPDの凋落が目立っている。ドイツはメルケル長期政権の後、いまだに「ポスト・メルケル」に悩み続けているようだ。欧州の政治的なリーダーとして、すぐに名前が浮かぶのはフォンデア・ライエン欧州委員会委員長であったり、政治とは関係ないラガルドECB総裁だったりするのだ。ドイツは来年総選挙を迎える。その前哨戦として、9月の3つの州選挙の状況は非常に重要視されているのだ。

9月6日は、米国の雇用統計だ。この雇用統計は非常に注目度が高い。先月の雇用統計は失業率が4.3%に急上昇して、いわゆるサームルールが点灯して、市場では「景気後退懸念」が吹き荒れたことは記憶に新しい。今回の雇用統計で失業率が低下すれば、前回の失業率上昇は一過性ということになるが、仮に4.5%に一段と上昇することになれば、市場はざわつくだろう。そして、その瞬間に9月のFOMCの初回利下げ幅は50bp以上になるだろう。

9月10日は、カマラ・ハリス氏とトランプ氏の初のテレビ討論会だ。直接対決は初めてだ。カマラ・ハリス氏は、大統領候補になって以来、ほとんど記者会見も取材も受けていない。原稿なしで、アドリブで対応する姿を多くの国民に見せるのは初めてであり、注目されるだろう。カマラ・ハリス氏については、カリフォルニア州の司法長官の経歴や、上院議員時代の舌鋒鋭い質問などにより、「攻めに強い政治家」として知られている。しかし、女性大統領に求められているのは、そういう攻めだけではない。例えは不適切かもしれないが、日本の女性政治家でも蓮舫氏は、野党時代は鋭い質問で評価された。しかし、東京都知事選挙で惨敗したように、攻めの女性政治家は、トップに立つ選挙では苦しむものなのだ。これは、有権者の勝手な期待だが、女性政治家には、包み込むような優しさや、慈愛みたいなものも求めているのだろう。つまり、カマラ・ハリス氏が激しく、トランプ氏を糾弾しても、やり過ぎると「反感を買う」可能性もあるのだ。いずれにしても、この9月10日のテレビ討論会以降に、本当の意味でのカマラ・ハリス氏とトランプ氏の有利不利が見えてくるはずだ。
10月1日は米国副大統領候補のテレビ討論会だ。激戦州の動向に影響する可能性が高い。この民主党のウオルズ氏と、共和党のヴァンス氏の討論会はかなり面白いと思う。10月は「オクトーバー・サプライズ」と呼ばれ、過去には大統領選前に怪事件が色々と起こっている。11月5日の大統領選に向けて、動きが激しくなりそうだ。
9月17日~18日はFOMCだ。利下げサイクルの開始は既定路線だ。問題は、その先の利下げサイクルの「深さと長さ」である。これについては、また別途詳しく取り上げる。

日本では9月12日に自民党総裁選挙の告示、27日の投開票という日程で重要な選挙が始まる。今のところ、海外の報道を見ていても、海外は自民党総裁選に注目している様子は見えない。つまり、サプライズになる可能性があるという点は注意しておきたい。ところで、27日の投開票の日程に後ずれしたのは、岸田首相が24日からの国連総会とクアッド首脳会議に参加するようだ。退陣する首相が、こうした国際会議に参加することに意味があるとは思えないのだが、とにかく岸田首相の最後の外遊により、日本の政局の空白期間は長引くことになる。9月9日は北朝鮮の建国記念日がある。過去には、こうした記念日にミサイル実験や挑発的な軍事行動がとられたことがある。先般は中国が初めて領空侵犯という非常に危険な挑発行為を行った。これは領海侵犯とは別次元の挑発行為である。日本の政治空白、米国大統領選という権力の移行期には、これからもこうした挑発行為は継続する可能性もある。岸田首相の意味のない外遊は、自民党のイメージをまた悪化させるだろう。
この間、立憲民主党の党首選挙も23日に行われる。野田元総理は総理経験者ということもあり、立憲民主党の立て直し役としての期待は高い。健全な2大政党政治のためにも、立憲民主党には強力な党首を樹立してほしいものだ。さて、9月の日銀金融政策決定会合は無風だろう。

10月以降の重要スケジュールは、また近づいてから取り上げるつもりだ。
とりあえず9月分は以上だ。

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