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2025年の米国株式市場 

1.はじめに

2025年の日本、米国の株式市場のポイントを考えてみたい。トランプ政権の不確実性や、インフレの再燃リスクなどが心配される一方で、米国の景気後退を懸念する声は小さい。日本では日銀の利上げ、為替相場、政局など、こちらも不透明な要因は大きいとされる。しかし、私の見方は異なる。
2025年は、ここ数年では稀に見る不確実性の小さな年になると思うのだ。まずは、2024年のマーケットの振り返りからスタートする。

2.2024年のマーケットの振り返り

マーケットには連続性がある。2025年は急に新たに始まるわけではなく、2024年の流れの延長線上にある。まずは、2024年のマーケットの特徴的な出来事を振り返ろう。

① マーケット

米国株好調、主要3指数は史上最高値を更新
・S&P500は昨年に続き、2年連続で20%超の上昇
FRBなど、多くの中央銀行が利下げサイクル開始
・FRBは24年に100bpの利下げを実施
・米国の10年と2年の逆イールドが解消
・サームルールのシグナル点灯も米国経済は絶好調
日経平均株価が34年ぶりにバブル時の高値を更新し4万円台へ!
為替相場で円安が進行し160円を超える。
・神田財務官は、新たな「ミスター円」と呼ばれ、4月~5月に約10兆円、7月に5.6兆円の円買い介入を実施。
・日銀はマイナス金利を解除し、政策金利を25bpへ引き上げ
・日銀は複雑な金融政策を正常化
・日本の賃上げは5%を超え、33年ぶりの高さ(春闘)
・日本のGDPが米国のカリフォルニア州に抜かれる
・欧州ではドイツ、フランスの景気が低迷
・金価格が史上最高値を更新
・トランプ氏の大統領選勝利で、ビットコインが初の10万ドル超え

② 社会・政治・その他

・世界で選挙YEAR、各国の与党に厳しい民意
・極右勢力の更なる台頭
・BRICSプラスの拡大(パートナー国)
・米国大統領選は異例の選挙戦(バイデン撤退、トランプ氏の暗殺未遂)
・トランプ氏の圧勝、上下両院を制す
・台湾総統選挙では頼清徳氏の勝利(民進党連続3期目)
・中東ではハマスがほぼ壊滅
・イスラエルのレバノン侵攻、ヒズボラ弱体化
・イスラエルとイランの初の直接的軍事行為
・シリアのアサド政権の崩壊
・イランのライシ大統領が事故死
・英国で14年ぶりに労働党に政権交代
・フランスの政局不安(1年で4人の首相)
・ウクライナ戦争はエスカレート
・ウクライナによるクルクス地方の占領
・北朝鮮兵士がロシア軍に協力し参戦
・韓国大統領に弾劾裁判
・日本ではほぼ派閥の解消(政治とカネ)
・岸田首相の総裁選不出馬、異例の自民党総裁選
・石破政権下における衆院解散と歴史的大敗
・日本では32年ぶりの少数与党政権
・日本の選挙でSNS旋風(石丸減少、国民民主党)
・日銀が20年ぶりに新札発行(渋沢栄一)
・日本のGDPが世界4位に後退
・石川県能登で震度7の地震災害
・探査機SLIMの月面着陸成功
・イーロンマスクのスペースXが初の使用済みロケット回収成功
・中国の嫦娥6号が月の裏側からのサンプル回収
・イーロンマスクが何かと話題(個人資産、DOGE)
・エヌビディアの時価総額が一時世界第1位
・クラウドストライクの大規模障害
・インテルの凋落、ゲルジンガーCEO退任
・米国で原発投資加速、スリーマイル原発再稼働決定
・動画AIの衝撃

いろいろあり過ぎてキリがないので、この辺にしておこう。
下の表は、ここ最近の市場のテーマを私の独断と偏見で整理したものだ。2017年~2020年はトランプ政権の1期目だ。2024年のテーマは、「各国与党の凋落、そして米国一強へ」とした。25年のテーマは、「トランプ2.0への期待と不安、着地点の模索」である。

(マーケットのテーマ)

そして、私は2025年は最近では珍しく、不透明要因が小さいと考えている。それが下の7つのポイントだ。

まず、よくトランプ次期大統領は予測不能であるとか、政策の不透明感が強いと指摘されるのだが、本当にそうだろうか?確かに2017年に登場した際は、トランプ氏の政治家としての行動は不透明だった。しかし、あれから長い時間が経過する中で、トランプ氏はいつも話題の中心人物であり、その性格や行動原理は世界中に知れ渡っている。ある意味で、これほど知られている政治家もいないだろう。有権者との公約に忠実であること、マッドマンセオリーを利用して交渉を行うが、割と現実的な路線に落ち着くこと、自分が王様であることを好むこと、大局観で判断し細かい政策はスタッフに丸投げるすこと、権威主義国のリーダーを尊敬し、彼らとの対話を好むこと、トップ交渉による2国間外交を好むこと・・・非常に分かりやすい人物ではないだろうか。今頃、トランプ氏が予測不能だと騒ぐ必要はない。私には石破首相のほうが、よほど予測不能に思える。

2番目はこの後に取り上げるが、FRBの金融政策の見通しと市場との乖離が小さいことである。22年はFRBがどこまで利上げするか分からず市場は怯えた。23年も同様だった。24年はFRBがいつ利下げサイクルを開始するのか、そのペースがどうなのかで、市場は右往左往した。25年はFRBは利下げサイクルを緩やかに継続するのがメインシナリオだ。インフレ再燃のリスクはあるとはいえ、コロナ後のように10%に跳ね上がるわけではない。でこぼこと上がったり、下がったりして、なかなか目標の2%に届かないと騒いでいるに過ぎない。従って、FRBの予測もそれほど外れようがない。25年は1回~3回程度の利下げが実施されると想定しておけばいいだろう。

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