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来週の相場見通し(10/28~11/1)ダイジェスト版
1.米国市場
・今週も米国金利は上昇傾向で推移した。現在の米金利は、下の2つの力学が同時に発生している。
① 米国経済の強さに伴う、FRBの利下げ見通しの後退
② 米国大統領選後の財政拡張を見込んだ、タームプレミアムの上昇
・米国経済の好調さが継続しており、第三四半期のGDPも潜在成長率を大きく上回る高成長が見込まれている。IMFの最新経済見通しでも24年は2.8%、25年も2.2%と前回の7月時点から上方修正された。
・こうした米国経済の強さを反映して、市場の先行きのFRBの利下げ見通しが後退しており、年内には2回の利下げも完全には織り込まれていない。9月中旬の段階では来年末までに8回程度の追加利下げが見込まれていたが、現在は5回程度に後退し、その結果として米国2年金利は9月の3.5%台から4%台へと上昇している。
・同時に米国大統領選では、トランプ氏が優勢度合いを強めており、トランプ減税の延長などによる米国財政収支の悪化、国債増発を見込んだタームプレミアムの上昇から、長期金利の上昇圧力も強い。
・但し、米国の2年金利の上昇は継続しないだろう。一方で長期金利はまだ上昇余地がある。大統領選でトリプル・レッドの状態となれば、タームプレミアム上昇リスクは更に高まり、30年金利は4.7%程度、10年金利は4.5%を目指す展開になるかもしれない。
・しかしながら、2022年に英国で発生した「英国債ショック」のような無秩序な長期金利の急上昇は想定しない。それは、FRBが利下げサイクルに入っているからだ。長期金利が上昇すれば、債券投資家は喜んで米国債を購入することだろう。
・米国大統領選は、リアル・クリア・ポリティクスなどの調査によれば、ハリス氏とトランプ氏は激戦州で僅差の接戦だ。しかし、賭けサイトでは激戦州でトランプ氏はハリス氏に対して圧勝する状況になっている。
・米国株式市場は大統領選前のポジション調整が優勢でリスクが取りにくい。S&P500採用企業の181社が決算発表を出した時点では、8割弱の企業が予想を上回る決算で、第3QのEPSの伸びは4.4%程度が見込まれている。来週は非常に多くの決算発表が予定されている。特にマグニフィセント・セブン銘柄が次々に決算発表を行うことから、要注目となる。
2.日本市場
・今週の日本株式市場は、上値が重い展開が継続した。ローソク足チャートでは、11日連続の陰線という珍しい状況も発生した。「衆院解散から選挙日までは買い」というアノマリーは、今回は完全に外れたことになる。
・来週は週末の衆院選挙の結果次第では、大荒れの展開も見込まれる。現状では石破首相が自ら設定した「自公で過半数獲得」という甘い勝敗ラインを割り込みそうだ。今のところ、下のようなシミュレーションが想定される。
(自民党単独過半数確保)
可能性:極めて低い
自民党内:石破政権、それを担ぐキングメーカーの権力アップ
政策運営:
石破政権の変節作戦が成功体験となることから、来年の参院選挙までは同じ戦略で臨む。つまり、市場フレンドリーな政策を継続。但し、政権基盤が強まったことで、石破首相が12月の与党税制大綱で、増税路線を打ち出せば、株式市場は上値が重くなる。
市場動向:初動は株高、日経平均は3万9千円台回復、ドル円は147円台
(自公で過半数確保、自民単独では過半数割れ)
可能性:高い
自民党内:自民党内の権力闘争活発化、参院選前には石破降ろしも。
政策運営:
来年の参院選を鑑みると、やはりポピュリズム的な政策を志向。補正予算の規模は可能な限り大きくし、バラマキ政策を実施。石破首相の勝敗ラインはクリアーするも、自民党内では石破降ろしも含めて、権力闘争が活発化。
市場動向:株式市場は今週の下落分を取り戻す動きで、日経平均株価は3万9千円台回復も、4万円台を積極的に買い進む材料に乏しい。為替市場は上下に乱高下しつつ150円台で膠着感を強める。
(自公で過半数割れ)
可能性:非常に高い
自民党内:石破政権はレームダック化、首相、幹事長は辞任。
政策運営:
石破首相の勝敗ラインを割り込むため、引責辞任の可能性。但し、今回の選挙は岸田政権への国民の審判であり、石破政権はまだ何も実行していないため、新たな連立政権の枠組みによっては、石破首相が当面は継続する可能性もあり。
市場動向:最も荒れるシナリオ。株式市場は、日経平均株価で3万6千円台前半まで一気に売られるイメージ。リスクオフの中で円高も同時に進行して、145円近辺へ。その後は連立政権への思惑が高まる。国民民主党との連立となれば、高圧経済への期待から急速に株高、円安、金利低下となる可能性。すなわち、高市トレードと同じような展開が、「玉木トレード」として起こる。維新の会との連立の場合は、マーケットの反応は難しくなる。
だいたいこんなイメージだろうか。自公で過半数割れとなった場合は、どこと連立を組むかがポイントだ。現実的には国民民主党が最有力候補だろう。
国民民主党の政策は以下のようなものだ。
(国民民主党の政策)
・名目賃金上昇率が4%になるまでは積極財政と金融緩和の「高圧経済」路線で経済を回復させる。
・消費税を実質賃金が持続的にプラスになるまで一律5%に減税
・NISAの非課税制度の拡充で家計の金融資産形成をサポート
・最低賃金は全国どこでも自給1150円以上
・トリガー条項の凍結解除、電気代値下げ
・原発推進、SMR、新た発電、送電、蓄電、核融合技術の研究開発加速
・玉木代表は日銀の過去2回の利上げも反対姿勢
・国民民主党が連立政権入りすると、同党への失望から参院選で惨敗するリスクがある。従って、連立を組む場合には、玉木党首は「首相の座」を要求する可能性もあり得る。
・来週のマーケットは、日曜日の選挙次第で大きな展開となりそうだ。自公過半数割れの場合には、めまぐるしい展開となるだろう。新たな連立として、国民民主が入ると、リフレ政策がイメージされやすい。
・いずれにしても、日本の選挙が終わっても、その後に米国大統領選が控えている。あまりに不確定要因が多過ぎるため、イメージは持ちながらも、臨機応変に状況を織り込んで調整していくしかないだろう。