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2025年の日本の株式市場

1.はじめに

2025年の日本の株式市場を考えてみたい。日本の株式市場については、①株式市場の構造要因、②為替市場、③日本の政治、④米国と中国の経済と株価が重要になる。その上で2025年の注目を蛇年(SERPENT)にちなんで、以下のように取り上げる。

2.2024年の日本の株式市場

まずは、2024年の日本経済とマーケットの状況をざっくりと振り返っておく。

まず1番についてだが、実質GDPは以下のように推移してきた。赤い丸枠のところが、3四半期に渡り、ほとんど成長できていない期間である。ようやく回復基調にあるものの、力強さを感じさせるものではない。

(日本の実質GDP 前期比年率)

日本の「人手不足」もかなり深刻化している。下のチャートは、日銀短観の全産業の雇用人員DIであり、余剰から不足を引いたものだ。チャートが下にいくと、人手不足を示している。重要な点は、この問題は既に相当前から予想されてきた現実である点だ。下のチャートでも2010年代を通じて、一貫して企業は人手不足を感じている。コロナの一時期だけ余剰になったが、これは日本の抱える構造問題であり、従来からリスクだと騒がれていた問題が顕在化したということだ。ここに日本の大きな課題がある。これから、このような日本の構造問題が次々に顕在化する。高齢化、地方の消滅、認知症問題、後継者不在・・・・これらは2010年代に本来は政府、企業が共に本腰を入れて対策を取らねばならなかった問題なのだ。

(日銀短観 雇用人員DI)

日本の人手不足について、もう少しだけ取り上げる。最近の労働市場は、そう単純でもないからだ。下のチャートは有効求人倍率だ。確かに2010年代は、日銀短観が示す「人手不足」と、企業側の旺盛な「求人」は整合性が取れている。しかし、2023年以降は有効求人倍率は緩やかに低下しており、企業の採用意欲は強まっていないのだ。雇用のミスマッチが生じているのか、人手不足を生産性の向上で補う方針なのか、あるいは企業の人手不足感は国内ではなく海外にあるのか・・・いずれにしても、日本の労働市場は新たな段階に入っている可能性もあり注意が必要だ。

(有効求人倍率)

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