現役時代×退職後 第15回 ■将来の選択肢を増やすために今できることを考える
私は働き始めてまだ干支一回りしたくらいで、これまであまり具体的に「退職後の生活」を考えたことはなかった。そもそも我々世代が60代になる頃には「定年退職」という概念はなくなっている可能性もある。すでに、定年年齢の引き上げや撤廃、再雇用制度の充実などにより、周囲の先輩方を拝見しても、定年年齢とともに完全にリタイアされる方は少なく、どのタイミングで、どのような形でリタイア(もしくはセミリタイア)するかというのは個人の希望により選択できる環境になってきているように感じる。
では、私にはどのような選択肢があるのだろうか。一番イメージしやすいのは、再雇用等で現在の仕事を続けるということだ。現在の業務の経験や知識をそのまま活かすことができ、人間関係含めて大きな変化を伴わず仕事を続けることができると思われる。一方で、全く異なる分野の仕事に就くという選択肢もある。数年前、会社の同期からプライベートで通っていたヨガスタジオの広報に転職するという話を聞き、そんな全くの異業種・職種に転職する選択肢があるのか!と驚いた。翻って、私にはこれといった趣味もなく、自信をもって好きだと言えることがない。このまま年齢を重ねていけば、将来働き方・暮らし方を考え直す局面が来た時に、「これしか選択できない」という消極的な考えになってしまうのではと思い当たった。
そうならないために、今の私ができることはなんだろうか。まずは、新しいことに挑戦するフットワークの軽さを身に着けたい。興味があって情報を調べはしても、いざ実行するとなるとあれやこれやを考えると腰が重くなりがちなため、気になったことはまず始めてみるなど、意識的に外の世界に踏み出す訓練を今のうちから積み重ねていきたい。
また、「土木」の領域はハード面からソフト面まで幅が広く、技術革新等により今後さらにその領域は拡大していくと考えられ、将来的に今の仕事の経験が思ってもみない形で役立つこともあるだろうし、逆に今は関係ないように思える経験が土木業界とリンクしてくる可能性もある。そういった意味でも難しく考えず、まずはやってみる精神が大事だと思っている。
今気になっていることの一つは、親子地方留学である。農業や漁、畜産など全国様々な地域の一次産業を子どもが1週間程度体験しながら、親はその間ワーケーションもできる体験サービスなのだが、子どもの経験だけでなく、私としても今とは違う環境での暮らしや働き方を見たり体験するよい経験になるのではないだろうか。
他にも、数年前から「リスキリング」や「副業・兼業」という言葉が浸透してきて、私が勤める会社もこれらの支援制度等ができてきた。せっかくのこういった制度も活用し、今の業務に直接関係ない仕事をしてみるなど、自分の可能性の幅を広げることに挑戦していきたい。
いざ、シニア世代になり働き方・暮らし方を見直す局面に来た時に〇〇しかできないから…と消去法で考えるのではなく、いろいろな選択肢を自分で考え、選択できる自分になるために、今から一歩踏み出す訓練をしていこう。と日々の生活に手一杯になっている自分自身に言い聞かせ、小さくとも何か1つでも行動に移せたらと思う。
2024.10.31 unico