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【トランプ関税と米国市場でのメキシコ産アボカド】「スーパーボウルにはワカモレ!」の文化に影響必至。

2025年1月20日にトランプ2.0政権が誕生し、米国第一主義が国際協調や国際ビジネスに大きな影響をもたらす様相です。関税引き上げを交渉材料(ディール)とする手法に、各国は対応に追われるでしょう。今回は関税を引き上げることで、米国一般市民の食生活や国民的スポーツのアメリカンフットボールにまで影響を及ぼしかねない、メキシコ産アボカドを取り上げます。

米国で消費されるアボカドの82.5%がメキシコ産

米国の農業系データサイト「アグロノメトリクス(Agronometrics」によると、米国は世界最大のアボカド輸入国で、12カ国から輸入している。アボカドの1人当たり年間消費量は4.1キログラム。米国の人口3.35億人で乗ずると、総消費量は137万3,500トンとなる。他方、メキシコ国家税関庁(ANAM: Agencia Nacional de Aduanas de México)がメキシコ農業・地方開発省(SADER)に報告したデータによると、2023年に米国へ輸出されたアボカドの数量は1133,202トン。つまり、米国で消費されるアボカドの82.5%がメキシコから輸入されたものと推計できる。

メキシコでは「緑の金(Oro verde)」と呼ばれるアボカド(メキシコシティにて筆者撮影)

アメフトNFL年間王者決定戦(スーパーボウル)にワカモレ(Guacamole)が欠かせない!

米国内でアボカドが最も消費される時期は、ナショナルフットボールリーグ(NFL)の年間王者決定戦(スーパーボール)が開催される2月上旬。2025年は2月9日(月)にルイジアナ州ニューオーリンズで開催される。スーパーボウルを観戦しながらアボカドをペーストにしたディップ「ワカモレ(Guacamole)」を食べる文化が、一般市民に定着している。メキシコ・アボカド生産輸出業協会(APEAMの報告によると、スーパーボウルだけの需要で、2024年12月には約11万トンが米国に輸出された。

メキシコ料理に欠かせないワカモレ(ティファナにて筆者撮影)

トランプ関税(メキシコ産品の輸入にプラス25%の追加関税率)がメキシコのアボカド農家に影響も

アボカドのHSコード(米国ではHarmonized Tariff Schedule(HTSコード)と呼ぶ)は0804.40.00で、米国輸入時の一般税率(MFN)として重量税が課される(1キロあたり11.2セント)。ただし、メキシコと米国の間には米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が2020年7月に発効しており、同協定を適用すれば米国輸入時の関税率は0%となる。しかし、トランプ政権はメキシコ原産品の輸入にあたり、25%の追加関税率を課す予定だ。米国のアボカド市場の8割以上を占めるメキシコ産に対しての追加関税措置は、消費マインドへ直接的な影響を与えると考えられる。メキシコにとっては、アボカド関連業は農産品のGDPの約35%を占める非常に重要な産業である。そのため、農業従事者や輸出関係業者の不安は尽きない。

米国にアボカドを輸入する際の関税率(出所:USITC)

価格上昇もセレブには関係なしか

米国農務省のコモディティ価格を見ると、米国輸入キロ単価の年平均価格は1.1~1.3ドルで、小売キロ単価は2.0~2.3ドル程度(アボカドの収穫年期は、7月に始まり6月に終わる)。一般的に、輸入品に課される関税は輸入国の最終消費者まで価格転嫁されていく。米国消費者が、価格が上がったアボカド商品を、これまで通りの量で消費するのであれば問題ないが、買い控えがあればメキシコからの輸入量が減少に転じる可能性がある。

他方で、ロサンゼルス発祥の高級スーパー「エレウォン(Erewhon」に、筆者が2022年冬に筆者が訪れた際、メキシコ産オーガニックアボカドが1個3.99ドルで売られていた。20252月時点でも3.49ドルと市場価格より遥かに高価だが、健康志向のセレブには値段は関係がないものかもしれない。

ロサンゼルスの高級スーパーErewhonで販売されているメキシコ産オーガニックアボカド(2022年冬に筆者撮影)

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