見出し画像

2024/12/23(月)地獄谷の猿/戸倉上山田温泉の明と暗

 7:30ごろ起きた。旅館の枕が石のように固く、とてもうつ伏せ寝ができそうもなかったので座布団を枕にして寝た。すると、ここ何年かでナンバーワンの怖さの悪夢を見て3時半頃寝汗びっしょりになって起きた。あまりの恐ろしさにその後はテレビをつけて寝た。8時頃朝ごはんが運ばれてきた。温泉たまごかけご飯がおいしかった。

 窓の外を見ると大雪だった昨日とは打って変わって今日は快晴で、宿の人も「地獄谷今日なら行けますよ」と太鼓判を押してくれたので、元々帰りは湯田中駅に送ってもらうのを変更して地獄谷の麓まで送ってもらった。

 地獄谷は車が入れるのは麓まででお猿さんが温泉に浸かっているのを見るためにはそこから山道を30分ほど歩かねばならんのだ。しかし、思ったより除雪がきちんとされていて、日陰のアイスバーンに少々足を取られる箇所もあったものの割と快適に静寂な道を歩くことができた。10時過ぎについたのでそこまで観光客も多くなかったのも良かった。11時過ぎに歩いた帰り道では、これから向かう客が連なっていてあれでは自分のペースで歩けなかったなと思う。山道も思ったよりアップダウンが少なかったのがよかったね。最後地獄谷の直前で目の前に現れた急な石段とそれに連なる坂道で完全に息が切れて息にならない息を出したものの、そこ以外は快適だった。

 一番びっくりしたのは地獄谷の受付の前にもうすでに山道を堂々と猿が歩いていたことだった。向こうのほうから四足歩行の何かがのっそり歩いてきたぞと思ったらそれはわりと大型の猿で、私の足から20センチくらいのところを全く表情を変えずに通り過ぎていくのだ。肝っ玉が座っているのか、過度に人慣れしているのかどっちにせよなかなかできない経験であった。

 そして受付に行くと「猿からは1m離れてください」と言われ、もうその1/5まで近づいちゃったよ!というか猿の方からこっちに近づいてくるんだって!と少し動揺した。しかし温泉に浸かり湯気の向こうに見える猿はなんとも言えず風情があるし、また可愛らしかった。浸かりながらお互い毛づくろいをしたり、子猿が鳴きながら温泉の縁を走り回ったりしていた。子猿を背中に乗せて歩く母猿もいてこれは微笑ましかったぞ。まあ見る方としては外国人観光客が温泉を取り巻いていて、1人いなくなったらそこにスッと入って見るなり写真を撮るなりするといったもので、そこまでのんびりと見れたものではなかった。私は以前上野動物園に行ったときに1人で猿山を45分ほど観察していたくらい猿は好きなのだが、ここではそこまではのんびりしていられなかった。しかし、ニホンザルというのはこの国に似合った猿だと思う。毛並みも色もモフモフ度合いも犬で言うと柴犬や秋田犬のようだ。もしマンドリルが集団で温泉に入っていたらそれはそれで見たい気もするがやはり奇妙だと思う。

 猿たちに別れを告げ、帰りの山道は楽なもんだった。大概道のりというのは行きよりも帰りの方が短く感じるものなのだ。山を降りてコーヒーと焼き芋を買ってあったまり、湯田中駅行きのバスを待った。ここで少しオーバーツーリズムの弊害。バスのチケット売り場に行くと、英語なんてほとんどわからないおばちゃんが1人でいるのだが、外人の観光客とこのおばちゃんの話が全く噛み合っていない。そんなことをしていれば行列も長くなるし、日本人の俺ですらよく分からないあいまいな案内をされる始末。日本語でこの体たらくなのだからおそらく英語になったらさらに訳がわからない案内をしているのだろう。結局湯田中駅行きのバスを待つ列が別々に2列でき、ハズレた片方はバスが来たらもう片方の最後尾に並び直したりして、ここでの案内は最悪だった。バスの運転手もなんだか過剰な外人に辟易しているようで態度が横柄だし、湯田中渋温泉は観光客のほとんどが外人なのに英語対応できる人が全く足りていない印象を受けた。このあたりの交通を担っているのは主に長野電鉄だろうけど、これはもう少し努力した方がいいと思う。今振り返ると英語が上手かったのは焼き芋屋のおばちゃんが一番だった。

 それでやっとの思いで湯田中駅まで山を降りてきて、とりあえず腹ごしらえ。ラーメンでも食べようと思って近くの食堂に入ると、なんとそこには「ベトコンラーメン 900円」の文字。ベトコンラーメン!?と私は驚愕した。私は初めて存在を知ったのだが、これは長野県では一般的なのだろうか?ベトコンの肉が入っているのかと怖いもの見たさで頼んでみたら、揚げニンニクがどっさり入ってニラともやしの野菜炒めが乗っかった割と優しい塩味のラーメンが出てきた。これのどこがベトコンなんだ?調べて見ると岐阜か一宮市が発祥で主に中部地方で食されるラーメンらしい。新潟も一応中部地方だと思うのだが、これは全く持って伝来していない。やはり信州は中京地区との繋がりが深いのだろう。ちなみに、なぜ「ベトコン」かについてはwikiに載っていなかった。私は今日これを初めて食べたわけだけど、おいしくいただくことができた。それから駅前の喫茶店でブレンドコーヒー400円(安い!)を飲みながらタバコを吸って電車の時間を待って、昔の成田エクスプレスの車両を使った特急スノーモンキーに乗って長野まで帰ってきた。

 そこからしなの鉄道小諸行き普通電車で戸倉駅までやってきた。今日は戸倉上山田温泉に泊まるのだ。駅前からタクシーで約10分、今日のお宿に到着した。今日の宿は昨日の宿とは打って変わって「歓迎 〇〇様」という札が玄関にいっぱい掛かっていて、フロントのおばちゃんもきちんと着物を着ていた。またしても迷路のような館内(カーペットの色で自分がどこにいるか見極めろと言われた)を案内してもらってようやっと今日のお部屋へ。そこで目に飛び込んできたのは!!机に置かれた灰皿である!キター!部屋は昨日より部屋も狭いし天井も低めで伸びをすると照明に手が当たってしまうけれどそんなことはどうでもいい!部屋でタバコを吸える温泉旅館についに出会えたのだ!私は感動した!!もうこれだけでリピートしようかなと思ってしまう。感動冷めやらぬ中ひとしきり部屋での喫煙を楽しんだのち、浴場へ向かった。ここも地下深くマントルまで到達するんじゃないかってくらい階段を下ってやっとこさたどり着いたのだが、脱衣所に入っただけでゆで卵のような匂いがして、入ってみると泉質もとろとろで私の好きなお湯だった。今日は地獄谷で寒いなか雪道を何キロも歩いたので体力は落ちていたけれど足を伸ばして湯に浸かるとすーっと疲労が溶けていくようだった。戸倉上山田温泉は最近は少し元気がない寂れていると言われているようだけど、俺はすごくいい温泉だと思う。長野市内からも近いしまだインバウンドにも見つかっていないようだし温泉街も旅館も静かだ。夜はぜひとも渋い居酒屋で一杯やってスナックにでもしけ込んで水割りかハイボールでも飲みながら少し歌ってこようと思う。

 さて、一軒目の居酒屋。めぼしいところは宿の女将さんに聞いていて、Googleマップの評価と照らし合わせて第一志望を決めたのだが、運悪く貸切とのことだったので第二志望にした。結果的に言うとこれが大正解で、席でタバコは吸えるし常連さんも優しいしメシも美味いし大当たりだった。そこで信州の地酒やビールやハイボールを飲んで楽しくなってしまったので、二軒目にスナックに行くことにした。

 しかし、スナックまでの道のりでこの戸倉上山田温泉の課題が分かった。なんと立ちんぼというかやりてババアというかそんな女が道に立っているのだ。男一人で横丁を歩いていると「お兄さん飲まない?」とか「かわいい子いるよ?」とかそんなことを言いながら女がするすると近寄って来るのだが、これが交差点ごとに立っていてなかなかの特殊性を感じさせる。一軒目の居酒屋で一緒に飲んでいたお兄さんにも言われたけど、この温泉街ではタイ人か韓国人がスナックをやっていて、そこにいる女の子がホテルに男を誘い体を売って金を稼いでいるという。二軒目のスナックのママには具体的な金額も教えてもらったけど安くない金額でこれなら東京でそれなりのお店に行ったほうがよっぽどいいと思った。

 でも、やっぱりこれはここの温泉の暗部だよなあ。家族連れで夜ご飯食べに行ってそんな怪しい女が立ってたらやっぱり気まずいだろうよ。この温泉は良いところがいっぱいあるのにイマイチ知名度が上がらないというかブランド化に至らない理由はこれがあるからではないかと思ってしまう。でも私も正直いうと大学生のころの風俗狂時代なら間違いなく買っていただろうなと思ってしまうけど、もう性欲も枯れた今となってはちっともそんな気にもならない。今年はいまだに童貞で、もしかしたら今日が今年童貞の喪失最後のチャンスかもしれないけど丁重にスルーした。25,000円で年増のタイ人と一発なんて割に合うはずがない。それなら吉原なり〇〇なり行って楽しむよ笑。そんなわけで立ちんぼの客引きを避けながら旅館まで帰ってきた。もうひとっ風呂浴びて寝るつもりである。おやすみなさい

いいなと思ったら応援しよう!