本講義は、2024年9月27日に行われた千葉県行政書士会千葉支部「令和6年度第2回研修会」で、当職が講義した内容を再現したものとなります。当日の講義時間は1時間でしたが、1時間30分用の内容を参加者の反応をみて割愛しながら実施しており、今回は講義2時間分の内容に加筆してお届けします。
なお、本講義は参考文献・書籍の紹介をアマゾンのリンクを用いて示す上で、「アフィリエイト広告」を利用しています(行政書士法の解説を無償公開するための措置)。
さて、本研修は、①様々な行政書士業務の概要、②業務のポイント及び注意点、③受任する際の調べ方・進め方等を解説する、広範な行政書士業務への理解を深める内容となります。
以下は研修レジュメ(だ・である調)をベースに講義内容(です・ます調)を加筆するかたちで研修を再現しています。
なお、行政書士法と行政書士業務の関係は、行政書士でも理解が浅いまま「〇〇はできる」と結論だけを覚えている方も多く、行政書士法は行政書士試験でも出題されるため、行政書士及び行政書士試験受験生のため、行政書士法の解説については無償公開しています。
以下、研修の再現講義となります。
1.自己紹介及び本研修の意義
当職は企業法務及び学校法務(いじめ対策)を専門とし、「社会生活上の医師」として相続・遺言・離婚等の市民法務も取り組む「街の法律家」として総合的に業務を展開している。
そのことから、本研修においては8個の業務(先例2件を含む。)を取り上げて解説する。
また、行政書士業務は極めて広範であることから、常に行政書士法等を参照し、その業務範囲やあり方を考えることで、自身の特性に合った業務を見つけることにも資することを意識して講義する。
2.行政書士法の確認
行政書士業務には、法定業務と法定外業務があり、法定業務の中でも独占業務と非独占業務があることに注意を要する。つまり、行政書士法に規定された業務(法定業務)とそうでない業務(法定外業務)があり、法定業務においても独占業務(行政書士にしか業として行えない業務)と非独占業務(行政書士以外の者でも業として行える業務)がある。
これは行政書士法特有の構造(難しさ)といえる。
・法定業務 行政書士法1条の2 行政書士法1条の3
・独占業務 行政書士法1条の2
・非独占業務 行政書士法1条の3
※非独占業務を法定する意義としては、守秘義務や依頼に応じる義務その他行政書士に課される義務の対象となるため、市民は専門家である行政書士を信頼して依頼できる点が挙げられる(兼子仁「行政書士法コンメンタール」(北樹出版)。なお、版により該当ページが異なるため、ウェブ公開の性質上、本講義では頁の表記は省略する。)。
法定外業務とは・・・行政書士には法定された独占業務・非独占業務のほかに「法定外業務」もあると解されており、それは「依頼者と委任契約によって個別に設定される業務」であり、法定外業務においても依頼応諾の義務を除き、行政書士法所定の義務が適用されると解されている(兼子仁「行政書士法コンメンタール」(北樹出版))。
行政書士は極めて広範な職域(独占業務及び非独占業務)と相まって、他士業法その他の法令により制限されない限り、あらゆる業務(法定外業務)ができるといわれる所以である。
なお、その合理性を守秘義務で例えると、法定業務に付随した法定外業務がある場合に、当然、法定外業務にも守秘義務が及ぶと解するのが合理的であるし、法定外業務単独である場合にも、守秘義務が課されることにより、市民はより行政書士を信頼して相談・依頼することができると考えられる。
※本記事でも引用した上記書籍は行政書士にとって必読の書といえます。なお、新14版は本記事執筆時点での最新版であり、ご購入の際には書店又はアマゾン等のサイトで最新版かを確認してください(上記リンクからも確認できます。)。
3.各業務の概要及びポイント
目次
(1) いじめ対策(学校法務)
(2) 審査請求(企業法務・市民法務共通)
(3) 生活保護(市民法務)
(4) 就業規則、役員規程その他社内規程(企業法務)
(5) 契約書、合意書及び示談書その他法文書
(企業法務・市民法務共通)
(6) 離婚(市民法務)
(7) 告訴・告発(市民法務・企業法務共通)
(8) 化粧品輸入販売業許可(企業法務)