見出し画像

学校法務(いじめ対策)、企業法務及び市民法務(法文書作成から行政手続全般)に関する概論講義

セール中

〜12月8日 04:30

 本講義は、2024年9月27日に行われた千葉県行政書士会千葉支部「令和6年度第2回研修会」で、当職が講義した内容を再現したものとなります。当日の講義時間は1時間でしたが、1時間30分用の内容を参加者の反応をみて割愛しながら実施しており、今回は講義2時間分の内容に加筆してお届けします。
 なお、本講義は参考文献・書籍の紹介をアマゾンのリンクを用いて示す上で、「アフィリエイト広告」を利用しています(行政書士法の解説を無償公開するための措置)。

 さて、本研修は、①様々な行政書士業務の概要、②業務のポイント及び注意点、③受任する際の調べ方・進め方等を解説する、広範な行政書士業務への理解を深める内容となります。
 以下は研修レジュメ(だ・である調)をベースに講義内容(です・ます調)を加筆するかたちで研修を再現しています。
 なお、行政書士法と行政書士業務の関係は、行政書士でも理解が浅いまま「〇〇はできる」と結論だけを覚えている方も多く、行政書士法は行政書士試験でも出題されるため、行政書士及び行政書士試験受験生のため、行政書士法の解説については無償公開しています。
 以下、研修の再現講義となります。



1.自己紹介及び本研修の意義
 当職は企業法務及び学校法務(いじめ対策)を専門とし、「社会生活上の医師」として相続・遺言・離婚等の市民法務も取り組む「街の法律家」として総合的に業務を展開している。
 そのことから、本研修においては8個の業務(先例2件を含む。)を取り上げて解説する。
 また、行政書士業務は極めて広範であることから、常に行政書士法等を参照し、その業務範囲やあり方を考えることで、自身の特性に合った業務を見つけることにも資することを意識して講義する。
 
2.行政書士法の確認
 行政書士業務には、法定業務法定外業務があり、法定業務の中でも独占業務非独占業務があることに注意を要する。つまり、行政書士法に規定された業務(法定業務)とそうでない業務(法定外業務)があり、法定業務においても独占業務(行政書士にしか業として行えない業務)と非独占業務(行政書士以外の者でも業として行える業務)がある。
 これは行政書士法特有の構造(難しさ)といえる。
法定業務  行政書士法1条の2 行政書士法1条の3
独占業務  行政書士法1条の2
非独占業務 行政書士法1条の3
※非独占業務を法定する意義としては、守秘義務や依頼に応じる義務その他行政書士に課される義務の対象となるため、市民は専門家である行政書士を信頼して依頼できる点が挙げられる(兼子仁「行政書士法コンメンタール」(北樹出版)。なお、版により該当ページが異なるため、ウェブ公開の性質上、本講義では頁の表記は省略する。)。

行政書士法
(業務)
第一条の二  行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の 知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

第一条の三  行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。
二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
三 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
四 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
2 前項第二号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。

行政書士法

<解説>
(1)独占業務

 まず、行政書士法第1条の2第1項が規定する行政書士の「独占業務」として、①官公署に提出する書類(電磁的記録を含む。)、②権利義務に関する書類、③事実証明に関する書類が挙げられます。
 そして、①官公署に提出する書類の例でいえば、いわゆる「許認可」とされる建設業許可等の各許認可申請書類の作成があり、この許認可申請書類だけでも業種に応じて無数に存在します。また、許認可を取得した者に許認可毎に課される各届出(例として、建設業許可業者の役員が変更した際に行う届出等)も当然、官公署に提出する書類となります。
 次に、②権利義務に関する書類の例としては、契約書、約款、相続における遺産分割協議書、法人の定款、内容証明郵便その他多数が挙げられます。
 さらに、③事実証明に関する書類も、様々な事実を証明する書類があり得ますが、一例として条文どおり、実地調査に基づく各種図面類が挙げられます。
 上記のとおり、行政書士の①~③の独占業務は極めて広範なものとなります。
 ただし、行政書士法第1条の2第2項が規定するように、①~③の業務に該当し得る場合であっても、他士業法でその士業の独占業務とされているものについては、行政書士は業として作成することができません。例えば、官公署に提出する書類である許認可申請書類の中にも、社会保険労務士法によりその作成は社会保険労務士の独占業務とされているものもあるので注意を要します(例:介護老人保険施設開設許可申請)。この点の条文の読み方が開業直後の行政書士にはわかりにくいと思うので、いずれ別途、解説したいと考えています。
 なお、弁護士法との関係は、各業務の箇所で解説します。
 
(2)非独占業務
 次に、行政書士法第1条の3第1項各号では、行政書士の非独占業務が規定されています(同条項本文において、「業とすることが『できる』」と規定されていることから、独占業務ではないと解されます。)。つまり、非独占業務においては、行政書士以外の者が業として行ってもよいこととなります。
 具体例として、建設業許可申請書類の作成は行政書士の独占業務ですが、その申請書類を管轄行政庁に提出する行為は非独占業務です。
 条文に沿って確認すると、行政書士法第1条の2第1項の「官公署に提出する書類・・・を作成」から、建設業許可申請書類の作成は行政書士の独占業務となりますが、同法第1条の3第1項1号の「前条の規定[行政書士法第1条の2]により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続」に建設業許可申請書類を管轄行政庁に提出する行為は該当し、非独占業務となります。
 なお、繰り返しになりますが、非独占業務でありながら行政書士業務として法定する意義は、独占業務との関連性から、「守秘義務や依頼に応じる義務その他行政書士に課される義務」の対象とすべき業務だからです。
 さらに、非独占業務であっても法定することにより行政書士業務として確立し、根拠付けることができる点も重要と考えられます。

安平講義

 法定外業務とは・・・行政書士には法定された独占業務・非独占業務のほかに「法定外業務」もあると解されており、それは「依頼者と委任契約によって個別に設定される業務」であり、法定外業務においても依頼応諾の義務を除き、行政書士法所定の義務が適用されると解されている(兼子仁「行政書士法コンメンタール」(北樹出版))。

<解説>
 依頼者との委任契約により個別に設定されるのが法定外業務であるため、法定外業務が設定された段階においては、「委任契約の成立=依頼の応諾」となるので、「依頼に応ずる義務」を規定する行政書士法11条(下記参照)を適用する必要はなく、委任契約に基づいて考えればよいこととなります。また、法定外業務が設定される前の相談段階においても、行政書士に依頼応諾義務を課すとなると、あらゆることを受任する義務を課すに等しくなりその範囲が広範過ぎるため、行政書士法11条は適用されないと解します。なお、当然ながら、行政書士は法定外業務においても、他の法令で制限された業務を行ってはなりません。
 「依頼に応ずる義務」(依頼応諾義務)についての根拠条文は下記のとおり。

行政書士法
(依頼に応ずる義務)
第十一条  行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。

安平講義

  行政書士は極めて広範な職域(独占業務及び非独占業務)と相まって、他士業法その他の法令により制限されない限り、あらゆる業務(法定外業務)ができるといわれる所以である。
 なお、その合理性を守秘義務で例えると、法定業務に付随した法定外業務がある場合に、当然、法定外業務にも守秘義務が及ぶと解するのが合理的であるし、法定外業務単独である場合にも、守秘義務が課されることにより、市民はより行政書士を信頼して相談・依頼することができると考えられる。

※本記事でも引用した上記書籍は行政書士にとって必読の書といえます。なお、新14版は本記事執筆時点での最新版であり、ご購入の際には書店又はアマゾン等のサイトで最新版かを確認してください(上記リンクからも確認できます。)。

3.各業務の概要及びポイント
目次
(1) いじめ対策(学校法務)
(2) 審査請求(企業法務・市民法務共通)
(3) 生活保護(市民法務)
(4) 就業規則、役員規程その他社内規程(企業法務)
(5) 契約書、合意書及び示談書その他法文書
   (企業法務・市民法務共通)
(6) 離婚(市民法務)
(7) 告訴・告発(市民法務・企業法務共通)
(8) 化粧品輸入販売業許可(企業法務)

 さて、以下では上記8業種の概要からポイントまでを解説していますが、現在、執筆中であるため講義レジュメを掲載しているのみであり、研修における「講義解説(再現+加筆)」は記載されていません。今後、1業種ずつ解説等も書き足し、そのつど、note及びX(noteのアカウントページにリンクがあります。)でご案内します。予定としては、1週間に1業種ずつ程度、完成させたいと考えております。
 よって、1,650円(税込)の価格を「本記事完成までの期間限定」で1,100円(税込)での割引価格で販売します(購入後、追加記事を読むのに追加料金は一切かかりません。)。もっとも、1,650円は研修2時間分の価格なので、執筆完了後、研修3時間分となっていれば、2,200円となります。その場合も、完成までは1,100円です。
 また、本研修は各業務の概要から対応のポイントまで(どのように各業務の学習をすればよいかも含みます。)を解説することで広範な行政書士業務の可能性を示しつつ、行政書士法の解釈を各業務に当てはめて基礎から応用・発展まで理解できるよう工夫されています。
 なお、(8)化粧品輸入販売業許可(化粧品製造販売業許可+化粧品製造業許可)については、他の許認可の経験があれば、本記事を読むことで実際の申請にあたり、注意すべき点は理解できる内容となっていると考えます。

安平コメント


ここから先は

12,348字

セール中
¥1,650
¥ 1,100

11月8日 04:30 〜 12月8日 04:30

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?