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#8:2024年8月スリランカ旅行記(2)

旅行記(1)はこちら


アダムス・ピーク

スリランカに来た目的の1つは、「Sri Padaya(アダムス・ピーク)と呼ばれる山に登る」ことだった。

詳細はwikipediaに任せるとして、アダムス・ピークは、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、4つの宗教の聖地となっていて、巡礼シーズンにはスリランカ中から巡礼者が訪れる、スリランカ人なら誰でも知る山。日本人にとって富士山のような象徴的なものかもしれない。

この山に向かうべく、スリランカに到着した日の翌日、朝から移動を開始する予定となっていた。

バスターミナルへ

朝起きてカーテンを開けるとコロンボの街並みが目に入り、改めて異国の地に来た実感が強くなる。海外の累計滞在期間はおおよそ1年半あるが、コロナが始まってから海外へ行く機会はなかなかなく、こういった旅行は本当に久しぶりだ。朝ご飯を食べ、ササッとパッキング、チェックアウトしてホテルを出る。高級なホテルやレストランの集まるエリアなのでタクシーの勧誘がすごい、全てお断りして向かうはバスターミナル。

コロンボの街並み

アダムス・ピークの麓、ナラタニヤという村にゲストハウスを予約している。そのため、ナラタニヤに向かう経由地、ハットンにまずは向かわないといけない。

コロンボ(左)から、ハットン(右)へ。ハットンのすぐ左側がナラタニヤ

そのため、最初の難関と想定していたのは「コロンボのバスターミナルから、ハットン行きのバスを探し出す」ことだった。発達したバス網を観光客もあまり利用しない中、丁寧な配置図や路線マップがあるとも思えなかった。

フォートからバスターミナルへ大きな荷物を持って歩いて向かう。間にある「ペター」にはコロンボでも最も賑やかな市場があり、ここを歩くのが本当に大変だった。

フォートからバスターミナル。「ペター」は巨大な市場。
ペターの市場。大きな荷物を持って進んでいく

旅の始まりから高負荷…!と思いながら進んでいるとバスターミナルと思わしき場所へ着く。まるでコンクリートのダンジョンのような見た目のバスターミナル。見渡すと、発着点と思われる場所に番号と地名が書かれている。と思ったら、あった!Hattonと書いてある!

コンクリートダンジョンのようなバスターミナル

Hatton、Nallathaniya(ナラタニヤ)。これだ。念の為、列に並んだ人に「ハットン?」と聞くとその通りと。並ぶとすぐにバスが来た。最初の難関と想定していたイベントは、思わぬ偶然で非常にスムーズだった。おそらく現地の方々はなんとなくバスの配置を理解していて、困ったら聞いてみると良さそうとも思った、旅を通じてスリランカの方々はどこでもとても親切だった。バスに乗り込む。もう一度、改めて運転手にハットン行きであることを確かめた。変に用心深い。

ローカルバスの内観

スリランカのバス事情

水や食べ物、よく分からないお菓子を売る青年が数人大きな声を出して乗り込んできたあと、バスが出発。スリランカのローカルバスは、窓も扉も閉めずに走り始める。エンジン音は大きく、運転手のマニュアル運転操作は荒く男気に溢れ、なかなかに揺れる。そして気付けばバスは超満員、大きな荷物を足で固定し、郊外へ向かうバスの車窓を楽しんだ。

今回の旅行を通じたバス旅感想概要はこんなところ。

  1. 安い。ローカルバスの移動とはいえ100kmを超えたりする、それでも500円ほど

  2. 暑い。窓も扉も空いていて、渋滞や信号を待っている間はとんでもない熱気に襲われる

  3. 狭い。座席のサイズ感は日本より狭く、2人用の席に男性が2人座ると間違いなく密着することになる。暑さも合わさり、なかなかの感覚

3K?と思わせる劣悪さはあるが、結局ツアーでも通る道は同じだし、金額も何十倍と払うことになる。バスの中ではたくさん現地の人も話しかけてくれ、自分が現地に少しでも溶け込めているような旅情も味わえた。総じて悪くなかった。

ハットンへ

コロンボからハットンは、海沿いの低地からセイロン島中部の高原地帯へ向かうことになる。要は山道で標高を上げていく。整備の行き届いていない道がとにかく曲がりくねり、運転の荒さ男気と共に大きな横揺れ&縦揺れとなって乗客を襲ってくる。現地人たちは慣れているのかと思いきや相当に堪えているようで、前の座席に頭をあずけて耐える方、「俺を窓際に座らせてくれ!」と叫び窓際に座って嗚咽する方、泣く子ども、と意外と阿鼻叫喚だった。

そんな中バスが停まってしまった。聞くと、どこかで誰かの荷物が振り落とされたらしい。えー!
慣れない土地の旅を開始したばかりの僕にはそこまでの気持ちの余裕もなく、「引き返したら嫌だなあ」等と自分のことばかり考えていたが、数分して何ごともなかったようにバスは動き始めた。騒いでいた乗客も何だか落ち着きを取り戻している。荷物はどうなったのだろうか。自分のことばかり考えていたくせに動き始めるとそれらしく人の心配をする。僕は現金な性格なのだ。

激しい山道が落ち着きしばらく経つとハットンに近付いていることが分かった。長時間足で重い荷物を挟みながら揺れに耐えていたので、他の乗客に漏れず僕もなかなかグロッキーである。とりあえず少しハットンをお散歩し、腹ごしらえすることにした。

ハットンのバスターミナル。行き先表示などはなく、完全にカオス
ランチに食べた焼きそば(辛め)
ハットンの街並み。スコールが降った

ハットン、田舎町と思っていたらなかなかの人の多さと賑わいである。スリランカは首都への人口集中率が低く、「国中に人がいる」状態らしい。納得。

地球の歩き方には「ナラタニヤ行きのバスはハットンのバスターミナルでなく駅の前から出る」と記載があったので駅へ向かったが、バスが出ている様子はない。街行く方に聞くと「バスはバスターミナルから出るよ」と、「電車は駅から出るよ」レベルの当たり前すぎることを教えられてしまい、バスターミナルへ戻ることに。

上に載せた写真の通り、ハットンのバスターミナルはとてもカオスでナラタニヤ行きのバスを見つけるのに本当に難儀した。どこに停まっているのかも、今停まっているのかも、分からない。数人に「ナラタニヤ行きのバスは?」と聞くと「このターミナルのどこかで」と。分かっとるわー!これは難易度が高かった。

なんとか見つけ出し、また激しい横揺れに耐えてナラタニヤへ。着いたらもう夕方手前だった。

(3)へ続く


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