蜘蛛に学ぶ仕事術
飛騨に移住してまる6年たち、7年目になった。
はやーーーーー!!!!
早い、早すぎる。。。
子どもがいれば小学校入学であった年に移住したらもう中学生、ってことだよね?
子どもがいないので自分の老化でしか年月を感じられないが、確かに、自分、すさまじく老化しているな…。
というわけで、これを機に、飛騨の暮らしで感じたことシリーズ。
もう6年たってしまったので、初期のころほどすべてが珍しく新鮮!ということもなくなってしまったが、こちらにきて感じた幾万もの珍しいこと、の一つが、虫の多さ、であった。
家の中に虫が多い。
緑が多い=虫が多い、ということなんだなと感じさせられる。それだけ生き物が豊かに存在しているということなのだろうけど。
私が住んでいるのは、ゆうても街中なので、もうちょっと「奥地」に比べたら虫はそんなにいない(というか全然いないレベル)なのだが、それまでいわゆる首都圏や都市圏にしか住んだことがなかったので、来て当初のころは、蜘蛛の巣の多さにいちいちびっくりしていた。
ちなみに11月過ぎたら虫なんていなくなるのだが(寒くて)、移住してきたのは7月だったので、虫出没の最盛期であった(ちなみにその後暑くなりすぎると今度は不活発になる。人間と同じ)。
初めに住んだのは築40年程度の古い家(古民家という風格はないけど)で、一軒家をシェアして住んでいた。で、自室として使っていた部屋についていたベランダ(上がるたびに窓のさんに頭をぶつけ、上るとみしみしいうやつ)に、当時の私から見たら「ものすごい勢い」で蜘蛛の巣が張られていた。当時の、あまり自分の生活圏にどひゃっと張られている蜘蛛の巣に慣れてなかった私は「ぎゃー!!!」と思って蜘蛛の巣を壊し、いわゆる蜘蛛の巣駆除を行った。
そしたら。
何食わぬ顔ですぐ蜘蛛は巣を作り直す。
そして私はそれを壊す。
また蜘蛛は何食わぬ感じで巣を張りなおす。
私はそれを壊す。
蜘蛛はまた巣を張りなおす。
私は…
抵抗をやめた。
根負け…。
というわけで、蜘蛛とは共存することにした。
ここで学んだこと…。
いくら自分より強い相手が邪魔してきても、気にせず淡々といつものことをやっていたら、先に相手が根負けする。
粘り強さは何よりも強い。
蜘蛛、すげえ。
蜘蛛には勝てない。
さて、その後その家は越してアパート(コーポ?)を経て一軒家に移り住んで、現在は三軒目。
もう家の「外」側の蜘蛛とは戦わないことにしている私である(小さいやつで家の中に巣を作っていたら潰す!)。
相変わらず蜘蛛は良く出るが、窓から見える蜘蛛は観察対象にして、巣作りを眺めたりしている。
これがまた、巣作りの手際が良くてほれぼれ感心するほどだ。
一定のリズムでしゃーっと糸を出して、迷いなくしゃーっと巣を張っていくのだ…。
すごいね。これは職人技。
人間の織物や編み物はこういう、生き物から学んで作られたのだろうな…と思う。
蜘蛛の巣張り行動がおもしろいことを発見して、機会があると私は蜘蛛の巣張りを眺めるようになった。
さて、現在、仕事は90%以上が在宅で、机の前に窓がある。
ある時眺めていたらまた、蜘蛛が巣を張り始めた。
体長1センチくらいの小さめのやつだ。
奴が現れるのは、もう日が沈んででもちょっと空はまだ完全に暗くなっていない、「黄昏時」くらいの時間帯だった。
蜘蛛の巣が出来上がると、真ん中で蜘蛛は獲物を待つ。
これは幼稚園のころから知っていることだ。
獲物が来たら、シャーッと寄って行って、糸でぐるぐるにするんだよね…。
ということで暇暇になんとなく観察していた。
すると…
体長1ミリくらいの、小さい羽虫はたくさん、蜘蛛の巣につくのだが、蜘蛛はびくともしない。
蜘蛛が動くのは、少なくとも5ミリ以上くらいの、「大物」レベルが引っ掛かった時だけ。
蜘蛛よ、大物しか相手にしないのだな…。
(単純に巣が揺れないからなのだろうけど)
なるほどねぇ、小さいものも大きいものも同じように手間をかけていたら、体力も時間もいくらあっても足りないもんね~。
これは仕事で言うならば、小銭にしかならん目の前の仕事に労力をかけるのではなく、大物の仕事を優先し手をかけている、ということだ。
蜘蛛も同じなんだな~…。
と思って就寝。
次の日の朝、見たら蜘蛛は巣ごといなくなっていた。
つまり撤収していた。
!!!!
こりゃーすげえ。
つまり、蜘蛛は最終的に、巣を撤収しながら、「小物」も全部回収していたということだ。
小物には手をかけないが、でもちゃんと回収していたということだ。
小物には手をかけず、でも無駄にせず収入の足しにする!
例えばLINEスタンプみたいな感じで、手をかけない方法で収入を得られる仕組みを作っているということだ。
大物に対してはマグロの一本釣りの如く、自分で手を下していたのはもちろん、小魚も定置網でとっていたのだ。
蜘蛛すげえ!
ということで、蜘蛛、めっちゃ仕事できる。
その後しばらく、おなじ蜘蛛と思しき輩が「黄昏時」にやってきては巣を作り、次の朝は消えている、ということが続き、私もちょっとテンション上げつつ眺めていたが、涼しくなるといつの間にかいなくなった。
あれから、同じところに巣はできないので奴はもう死んだのだな…さみしい。。。
また巣を張りに来ないかな(机の前、外限定)。
(写真は、珍しい巣の貼り方をしていた蜘蛛。美しいね~)