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「事業承継での買収金額の妥当性を見極め方」

それでは実際に「3,000万円」を用意して宿泊業を始めよう!というわけにはいきません。なんせ資金が圧倒的に足りないのです。私の全財産をメルカリに出品しても、とても調達できる金額ではありません。いくらやりたいという気持ちと行動力があっても、『大事なのは資金』です。

そこで考えた資金調達方法は、「宝くじを当てる、競馬で増やす、銀行から融資を受ける」などでした。まずは、ざっくりと売上の予想を立て、事業計画を作ることにしました。

事業承継のマッチングサイトにも掲載されていましたが、現在の売上や利益が○○○万円から○○○○万円と記載されていました。実際に過去3期分の数字を見せてもらったところ、売上は予想よりも低く、下限に近い数値でした。さらに、オープン当初の30年前の売上を見せてもらったところ、現在の売上の5倍ほどありました。当時はリゾートエリアが賑わい、全室を開放して予約を受け付けていたため、ある程度の売上があったようです。現在は部屋数を半分以下に制限しているため、売上もほとんどない状態です。

オーナーには「30年前に1億円以上かけたので、3,000万円というのはかなり安い」という認識があるようですが、一般的なM&Aでは【営業利益の3年分くらい】が相場だと言われています。しかも今回の場合、「土地はリゾート開発会社の所有物、建物や営業権が対象」となっています。そう考えると、不動産が含まれていないため、営業利益の3年分程度で考えるのが妥当かもしれません。しかし、その金額ではオーナー夫婦が納得せず、売却に応じない可能性が高いです。ここが難しいところで、買収代金の妥当性を理解してもらい、いかにオーナーが納得できる価格で取引を進められるかが鍵となります。

私が事業承継で大事にしなければならないと考えているポイントは『コミュニケーション』です。これは実際に自分がいくつか事業承継を経験し、さまざまな事例を見てきた結果、『確実に必要』だと感じたことです。次回は、このポイントについて詳しく説明していきたいと思います。

つづく。。。

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