妻の歌詞まちがい百選
妻は言い間違いのプロです。オリンピックを観ながら「柔道男子 無重力級ってさ~」と、足技が全て無効化された新しい柔道様式をつくるぐらい絶妙な言い間違いをします。LINEの書き間違いは、日常茶飯事です。
そんな妻が最も得意とするのが、歌詞の言い間違い。ご機嫌だとすぐに何か口ずさむんですが、大谷翔平も顔負けな打率で歌詞を間違えます。ぼくは歌詞を割と覚えている方なので、妙な曲が聞こえてくるとツッコまずにはいられない。もはや言い間違いか替え歌かすらわからない。
今日は、そんな摩訶不思議な世界へ皆さんをお誘いします。
ドラえもんと言えば、つるっとした丸い頭がチャーミングですよね。でも彼の胴体の側面の質感に着目していたのは、おそらく全人類のうち妻だけではないかと思います。
正しい歌詞は「さえてぴっかぴか」です。頭が冴えているんです。横から見たドラえもんが眩しく光り輝いているわけではありません。買ったばかりの洗濯機を横から見て「サイドぴかぴかだね」なんて言うんですかあなたは。そもそも何故「頭」の次が「サイド」って英語なんですか。それがどうしたとか流さないでちゃんと考えてください。
アルプスの少女ハイジのオープニングソングとして有名な曲も、妻が歌うとオープニングからまったく違う曲になります。
正しい歌詞は「口笛は何故~遠くまで聞こえるの」です。ハイジは、呼気を口から吐き出す際の空気の振動が遠くまで到達する理由を尋ねているのです。祖父が徘徊してしまう理由がわからず途方に暮れているわけではありません。というかそんな物語じゃありません。
牛乳とお酒のベストミックス。おそらく日本国民の多くが口ずさめるであろう有名なCMソングが混ざり、新曲が爆誕しました。
正しい歌詞は「ミルキーは、ママの味」と「ウイスキーが、お好きでしょ」です。ママが酒豪なわけではありません。「ミルキ~は」と口ずさんだ後に「ママの味」と繋げない人がいるなんて衝撃でした。歌詞だけ見ると違和感ないあたりは高得点だと思います。なんですか高得点って。
誰ですかねマサハラって。全然知らない人なのでさっさとバイバイしてほしいです。ぼくは「マサラタウン」から冒険を始めたもんだと25年間ぐらい信じ続けてました。
見知らぬ人の名前を冠した街から旅を始めたと思いきや、そのゴールが「人であるのを諦めること」というのは、あまりにも意外な展開でした。ポケモンと触れ合ううちに、ポケモンそのものになることが願望と化してしまったようです。小学生には少々レベルの高すぎる問いだと思います。
ゆずの名曲。爽やかな夏を舞台にした恋の歌だと思っていたのに、サビの最後でいきなり業務感が出てきてサラリーマンの歌になりました。
正しい歌詞は「ゆっくり~ゆっくり~ 下ってく~」です。直前の歌詞で「この長い長い下り坂を~」と言ってるんだから、急に腰を据えて業務に着手しないで坂を下りきってください。って妻にツッコんだら、わざと歌詞を間違えてみたと言われました。ぼくはもう誰も信じられません。
スピッツの名曲も、妻の手にかかればダメ男の物語に早変わりです。
本当は「君を忘れない」し、行くのは「曲がりくねった道」です。なんでAメロ冒頭から恋人を忘却してるんですか。戻りすぎた道ってのも意味がわかりません。車の運転へたくそかよ。
別の日に妻から「黄色い砂~って歌詞の曲なんだっけ」と聞かれたことがあります。チェリーのこの後に出てくる正しい歌詞なので、「スピッツの曲だよ」とヒントを与えたら「チェリ~マイラブ~ソースウィ~ト」とサザンの曲まで改変してきました。愛しのチェリー?うるさい。
「この島は」です。口悪すぎだろ。何が「ドーナツ!」だよ。
張り詰めてください。
2時です。そんな時間じゃもう日が昇ってて星が見えません。あと、担いでったのは望遠鏡だよってツッコもうとしたら正式名称は「天体望遠鏡」でした。あながち間違ってない。やめてそういうの。
これ、ぼくの青春の思い出の曲なんです。なのに妻がたびたび口ずさんでは華麗に間違いを炸裂させてくるので、夜も眠れません。
「雨は降らないらしい」のであって、きみの希望的観測は聞いてません。え、天体観測?ちょっと静かにしてください。
その程度のことで嘔吐しないでほしい。泣き出すんです。
今度は正しく望遠鏡を出せたと思ったら、いきなり使い込まれてしまいました。ほうき星を見る前に壊れそうです。ちゃんと覗き込んでください。
生まれたのは声です。不朽の名曲を安直なラブソングにしないでください。
どんな状況ですか。正しい歌詞を書き起こす気にもなれません。見えないモノを見ようとしたり、見えてるモノを見落としたりと、青春時代の様々な葛藤を描いた曲のはずなのに、見えないモノを勝手に増やさないでください。
正しい歌詞がわからなくなった方は、こちらへどうぞ。
妻に聞かせたら「"雨は降らないでほしい"の方がいいと思う」と、とうとう反撃されました。
心落ち着かせて妻のハミングを聞ける日は、まだまだ遠そうです。