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この世界を生きぬく人のために

「感情のデザイン」映像メイキング

「感情のデザイン」は、2016年からスタートした「シチズンらしさ」を探るプロジェクトから生まれたシチズンのデザインフィロソフィーです。


腕時計は感情とともにある。

一目見たときの「ワクワク」
触れて気づく「やさしさ」
腕につけたときの「安心感」
ふとした瞬間に眺める「喜び」
共に時を重ねることで感じる「愛おしさ」
心の奥にある言い尽くせない感情

身に着けるひとの心の動きに共鳴し
潜在的な感情を呼び起こす。
それが私たちの目指すデザインです。


この言葉の映像化をHIROBAに依頼しました。HIROBAはシチズンと10年以上に渡る関係がある映像スタジオです。建築家の田根剛氏と共に作り上げてきたインスタレーション「Light is Time」の映像制作からその関係性ははじまっています。


映像の構成はまずデザイナー全員を対象としたアンケートとヒアリングからはじまりました。アンケートをもとにHIROBAの宮部一通氏と田川咲貴子氏がインタビュアーとなって数日間にわたるヒアリングが実施され、そこでの会話のなかから「感情のデザイン」という言葉のもとに私たちが何を感じ、何を大切に時計をデザインしているのかというそれぞれのデザイナーの想いが引き出されていきました。

映像ではこの時に録音されたデザイナーの声が実際に使用されています。デザイナーの声が一つの流れとなって、そこに現代を生きる人たちの様々な日常が織り交ざっていく構成となっています。

デザイナーのインタビューやスケッチを描くシーンは、本社敷地内の最も歴史ある 「中1号棟」という建屋で撮影されました。いまは未稼働となっている場所ですが「CITIZEN」のロゴを冠した最初の時計(16型懐中時計)の製造ラインがあった私たちのものづくりの原点とも言える場所です。工作機械が稼働していた時代の工業油の匂いが今もなお残り、格子状のガラスフレームから柔らかい光が差し込む印象的な空間です。

インテリアスタイリストの岩佐知布由氏によって、その中1号棟に普段デザイナーが使っている道具やサンプルなどが持ち込まれ、長い歴史のなかで継承してきたシチズンのものづくりへの想いを象徴するような空間にアレンジされました。

映像に使用されているBGMはharuka nakamura氏が作詞・作曲を手掛けた「カテリーナの讃美歌」という楽曲です。haruka nakamura氏にはこれまでにもHIROBA制作のシチズン映像に楽曲を提供いただいています。その音楽性はシチズンの時計づくりに対するひたむきで静かな情熱とも重なるように感じます。映像中にもある「その手に祈りを」という歌詞は、私たちの想いとその時計を身に着ける人たちとの架け橋となる役割を果たしているようにも思います。

映像中随所にデザイナーが時計を着けた腕を上げる仕草が挿入されています。この仕草についてディレクターの宮部氏は「デザイナーの方々にとっては時計を作ってきた決意と意志の象徴であり、また、この映像を観る人、この世界を生き抜いていく人々にとっては灯台やエールとなるように、人々を勇気づけるイメージが伝わればと思っていた」と語ります。

当初依頼した時に思い描いていたイメージをはるかに超えて、この世界を生きぬいていく人たちへの祈りに満ちた奇跡的な映像が生まれました。

本編はこちら

映像クレジット
Planner&Director: 宮部一通 (HIROBA)
Camera: 宮部一通 福井崇志
Interior styling: 岩佐知布由
Hairmake: 板垣佳子
Production Support: 清野利佳(HIROBA) 堀哲朗 佐藤俊介
Producer: 田川咲貴子(HIROBA)
Color Grading: 大西悠斗(L'espace Vision)
MA: 齋藤亘(Studio Interfield)
MUSIC: baobab + haruka nakamura 「カテリーナの讃美歌」 作詞・作曲:haruka nakamura
Cast: 夏梅茜 本折最強さとし 根岸寛 下島ハイリ 下道千晶 野上詩織 細貝光司 
衣装協力: suzuki takayuki
機材協力: 株式会社シグマ
※ほぼすべてのシーンは株式会社シグマより機材協力をいただいたシネマレンズによって撮影されています。独特な優しい色合いと現代的なテクノロジーの融合から生まれるその描写はシチズンのものづくりの姿勢とも重なるようで、私たちの歴史や想いを柔らかく包みこんでくれているように感じました。

記事中写真(黒帯無し)
宮部一通 (HIROBA)/佐藤俊介

Writer:Naoaki Okamura