大規模修繕工事の事前準備
大規模修繕工事を進めるにあたり、管理組合主体で進められる事前準備や体制作りについてご紹介していきます。
マンションの現状を管理組合にて把握しておきましょう
建物の現状を把握しておきましょう。
確認する方法として、まず新築時からの竣工図書、修繕工事や点検の記録を確認する事が第一歩です。
特に修繕工事履歴は大規模修繕工事を検討する際に非常に貴重な資料となります。部品の交換時期、部品の故障個所、故障頻度等についてチェック項目を作成し、精査できる仕組み を作っておくことも大切です。
また、工事ごとの点検報告書、各社からの見積書、工事完了報告書などが ファイリングされていると今後の長期修繕計画を策定する際にも有益な情報となります。一覧表の作成やファイリングについては、管理会社に依頼するのも一つの方法です。
大規模修繕工事にてマンションの価値を高めていくためには、工事の質を上げていくことが大切です。工事発注時に適性な競争原理を働かせることにより、長期修繕計画に記載された工事費見積りよりも工事費が下げられる可能性が大きくなります。
余剰分の予算を『改良工事※』に充てることも視野に入れながら、現状のマンションについて管理組合にて把握しておくことが 大切です。
【解説※】 大規模修繕工事では、新築時の機能まで原状回復することを『修繕』と呼び、初期の水準より機能向上させることを『改良』と呼んでいます。マンショ ンの性能や資産価値を長期に維持していくためには、社会のニーズに対応して求められる性能や水準に対応したマンションに改良していく必要がありま す。後述の改良工事の例をご参照ください。
改良工事の例 【マンション性能の総合的な改良】
◆ 耐震性能・バリアフリー・防犯・省エネ・情報通信性能改善等 【既存性能の改良】
◆ 玄関ドアや窓・給排水設備・エレベーター・インターホン等の性能向上
◆ 共用施設の拡充・転用・廃止(機械式駐車場を平面駐車場へ変更する等)
書類等の内容確認後は、実際に建物の状況を目視で確認していきましょう。
例えば工事の実施について検討段階の時期であっても、理事会の中で改良工事に繋がるような日常の困り事や劣化箇所等について意見交換をしながら、建物内をツアーする等の取り組みも一案です。また、不具合がある箇所や修繕、改良工事の要望について、居住者向けにアンケートを実施し、事前調査することもお勧めします。