金食い虫の機械式駐車場

「金食い虫」と言われる機械式駐車場。
最近の新築マンションでは機械式駐車場は敬遠され、平置きの自走式駐車場などが設置された大型マンションをよく見かけるようになりました。
「国土交通省・マンション総合調査」(令和5年度)によれば、都市圏では40%ほどのマンションに機械式駐車場があり、令和2年以降に作られたマンションに限れば、全国で55%近くのマンションに機械式駐車場があるそうです。そしてマンション購入のタイミングで、十数年ごとに行われる大規模修繕工事や機械式駐車場の設備更新についてまで考え及ぶ人はなかなか居ないのが現実です。

  本当に恐ろしいのは2~3回目の大規模修繕工事です。
なぜならば2回目以降には、大規模修繕工事の費用も不足する可能性に加え、給排水管、エレベータ、機械式駐車場などの設備更新のタイミングが「重なって」くるからです。
機械式駐車場を、その先も維持するためには設備更新しか手はなく、そのための原資までを積み立てている管理組合は恐らく皆無と言えるでしょう。
一時金徴収や、借入となると、更なる修繕積立金の値上げが必要となってきます。 満車でフル稼働していれば、その合意形成も不可能ではないかもしれませんが、現在、都市部のマンションを中心に機械式駐車場の空きが目立っています。原因として車を手放す方が増えていることに加え、若い世代の車離れも進んでいるからと指摘されています。

駐車場収入の減少で、耐用年数経過後の設備更新はおろか、電気代や保守管理費、故障時の修理代や部品取替え費等の維持費ですら大きな負担になってきます。そうなると一部の組合員しか利用しない機械式駐車場のために、区分所有者全員が機械式駐車場設備の維持費や設備更新費用を負担することに疑問の声も更に大きくなってくることでしょう。そうなると理事会が設備更新を提案しても総会は紛糾しかねません。

あなたは自宅マンションの駐車場設備の現状を正しく理解していますか?
車を持つ者と、持たない者が、機械式駐車場の永続的な維持保全に関して合意することが、どれほど困難なことか、想像頂けるでしょうか。

機械式駐車場の空きが多くなってきている場合には、機械式駐車場の更新時にパレット数を検討して車高や車幅の広い自動車が停められる箇所を増やしたり、平面化を検討しては如何でしょうか。但し駐車場には附置義務が存在するため、数を減らす場合には事前に行政への確認を忘れずにしましょう。また、台数を減らさずに収入を確保するためにサブリースを活用しているマンションもあります。

まずはお住いのマンションの機械式駐車場の現状を把握して、そのマンションに適した対応を行っていきましょう。


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