初めての北千住と、朝ドラ「虎に翼」の私的感想
本日は曇天。昼に打った静脈麻酔がまだまだ体に残っているので、なんだかパッと晴れない、若しくは配慮不足な散文になってしまっていたら申し訳ない。
今月あったこと、思ったことを取り止めもなく記録してみる。
人生初、北千住へ
19日には、北千住の病院での血液検査があったので千代田線に乗って1番出口……とスマホ片手に階段を上がっていったところ、この景色が眼前に現れて驚いた。
曲がりくねった道に、昔ながらの居酒屋の看板。なんと複雑に調和した文字と建物の並ぶ景観だろうか!
私は「日本語の看板はダサい」からと横文字をでかでかと提示し、それだと読めないからと説明用のカタカナを添える……というような本末転倒残念看板が本当に好きではないのだけれど、これだけしっかりと縦書きの日本語が揃うと趣がある。北千住まで採血だけに行くの面倒くさ……と思ってた数分前の憂鬱が吹き飛ぶ。降りてよかった、千代田線の北千住駅1番出口。
この道をしばらく歩いていった先に目当ての病院があったのだけれど、採血を待ってる間も街のことが気になってスマホで検索。この日はかなり体調もマシで、腹も減っていたので、採られたぶんの血を補わなければ!と評判の良さそうな店に入る。
かなり濃い酒のアテばかり頼んでしまったことを反省しつつ、いやしかし旨いな……また来たいな北千住、と噛み締めた。私の住んでいる町にはこうした居酒屋が限りなく少ないので、北千住に住むのも楽しそう……だなんて思ってみるも、こんな街に住んでたら肝臓を壊しそうなので、たまーに来るのが良のだろう。あと、ツイートしたらめちゃくちゃバズってしまった。
バズったことにより、たくさんの北千住情報が手に入ったことは良かった。再来週あたり、採血の結果を聞きにまた行くのが楽しみである。最近は体調が芳しくないので禁酒しているのだけれど、味わい深い喫茶店もあったので次はそこを狙っている。
「虎に翼」 強すぎる言葉の力
朝ドラ『虎に翼』が終わった。朝ドラはテーマによって観たり観なかったり……なのだけれど、今作はSNSで話題になっていたのと、シシヤマザキさんのオープニング映像があまりにも素敵なので楽しく見始めた。
朝からこれだけの社会問題を休むことなく日本の隅々までドラマで届ける、というのはなかなかエポックメイキングな作品だし、非常に共感するところもあったものの、いやあったからこそ、言葉、というものの効力を過信しているような作りがどうにも気になってしまった。
本作では女性の苦労、月経困難症の苦労、同性愛者の、旧華族の、ノンバイナリーの、在日朝鮮人の、主婦の、母親の、介護者の、更年期障害の、認知症の、被爆者の、非権力者男性の、性暴力被害者の苦労………挙げきれないほどさまざまな苦労が提示されたのだけれど、それらが物語の壁として登場するも、そのほとんどが「言葉」によって救われ、解決に向かうことが多かった。
さらに「こうした問題はまだ存在している」と示す折に、それもまた言葉で示されることが多かった。その言葉が、物語の世界である相手に向けたものではなく、テレビの前の視聴者……いや、SNSの中にいる雄弁な視聴者に向けて描かれているものではないのか?ということが多々あった。1つ例を挙げるならば、美位子の判決が決まった日の夜のシーン。(以下、性被害や同性愛の問題についての描写を含みます)
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新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。