紙の請求書はもう送りません #平成に置いていきたいもの
・請求書を紙で送らなければいけない場合
・チャットツールでのコミュニケーションが難しい場合
私は今後、上記の条件にあてはまる会社とはお取引をしないようにしたいと思います。これ、かなりの機会損失かもしれません。別にお前なんかいらないよ、という話で終わるかもしれません……。
ですが、「ルールだからしょうがない……従うか……」とルールに負けていては、ルールのために働くことになってしまいます。
「雑務はスタッフを雇ってお願いすれば良いじゃない」とも言われますが、相手のルールを守るためだけに人を雇うということにも、少し疑問を抱いています。
「お金をいただいて仕事させてもらってるんだから、紙の請求書くらい送りなよ」という意見もあるかもしれませんが、私の仕事はストーリーを描いたり、文脈を作るお手伝いをすること。紙の請求書を送ることは仕事じゃないです。かつ、freeeで作った請求書をPDFで送るだけで受理してくれるクライアントが、現状ほとんどです。
一人のフリーランスの人間によるささやかな社会への抵抗ですが、やってみようと思います。
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バルセロナの小学校では、「小学校からの配布プリントは0枚」という記事がありました。
Edmodoというアプリで連絡がすべて管理されているそう。すごい!
ちなみにNYで子育てをされている清水カンタさんは「息子の通ってる小学校はGoogle Classroomですよ。Googleアカウントに紐付いていて、宿題とかも全部これで出ます」と教えてくれました。Google帝国は何でも作っている。
私の住んでいるブルックリンのコンドミニアム(日本で言えばタワーマンション)も、管理アプリ「BuildingLink」を入居者全員がダウンロードしていて、ドアマンへの伝言、入退出管理、管理人からのお知らせ、届いた荷物の有無、住民同士のコミュニケーション、スペアキーの貸出、大雪や強風のお知らせ……ほか全てがアプリ内で完結します。便利すぎてもう……。
あと、コンドミニアムの入居契約をしたときも、書類はほぼデジタル。サインはDoccument-Signingというアプリが使われていました。
日本でもこうしたアプリを活用しているマンションや学校はあるかと思います。が、まだ一般的には、掲示板やポストへの投函、連絡帳、プリントされたお手紙などがバリバリ現役……というところが多いですよね。
私は根本的に、日本のカルチャーや雰囲気が大好きで、特に海外に出るようになってからは日本の文化のポテンシャルに感動しまくっている……ということは、日々SNSやnoteでもよく書いています。日本はすごい。
ですが、形骸化したルールだけはどうしても、納得いかないことが多いです。
友人が
「日本はエンジニアのレベルは高いのに、抜本的な効率の悪さを見直さないから、エンジニアの技術の無駄遣いになっていて泣ける……」
と言っていて、まさにそうだなぁ……と思いました。
たとえば、FAXをネットから送信するためのWebサービス。
そもそもネット環境があれば!!!メールに添付で良くないですか!!!なんでわざわざ解像度落とすんですか!!!……と突っ込みたくなるのですが……。「FAXでお願いします」という相手を思いやった結果、このようなサービスが爆誕してしまっているんですね。
そして、小学校などで配布されるプリントをスマホのカメラでスキャンし、アプリで管理するサービス……というものもあるそうです。
いや、確かに便利なアプリかもしれないけど、最初から小学校側がデータ発信してくれればそんなことには……
また、エクセルの書類上に、自由な色で印鑑(風)のスタンプを捺印できるアドオンもあります。地味に便利、なのですが、そもそも印鑑を使わなければいけない日本文化がそういう技術を生み出しているんですね。
こうした「既存のルールに合わせて、不便を解消するサービスを作りました」というものがとても多い。
一概には言えませんが、アメリカ、とくに都市部では「速い人に標準を合わせる」みたいな文化があり、便利なものがあればどんどん取り入れちゃいます。
一方で日本は、「スマホがない家庭もあるから」という理由などでデジタル化が進まない側面も。これは日本人の「思いやり」や「協調性」を感じる一面でもあり、いつまでたっても根本的な前進をしない、「その場しのぎ」の技術を生み出している現状でもありそうです。
(ちなみに「和を以て貴しとなす」というのは、みんなで仲良くしなさい、といった同調圧力的な意味合いではなく、和(やわらぐ)状態を作って話し合いをしましょう……という意味だそうですよ。)
また、紙に対しての愛着や、物質を愛する想いも人一倍強い国民性のように思います。(もちろん一概には言えませんが)日本人が人に物を渡すときや、机に何かを置く時、とても丁寧に「そっ……」と置くことが多いです。
八百万の神、という、森羅万象に神様を感じる国民性だったり、「かわいい」と小さなものを愛でる心が、とても秀でているんだなぁ、と。
その結果、素晴らしい職人技や、繊細な芸術などが生まれています。かわいいキャラクターもいっぱいいます。そこは本当に、本当に素晴らしい側面です。
アメリカでは多くの人が「ドンッ!」「ガンッ!」と物を置くので、モノはただのモノなんだなぁ……と感じることがあります。
Amazonなどで飲み物を頼むと、日本だと過剰包装が気になるところですが、アメリカでは包んでなさすぎて割れていることもしょっちゅうです(リンゴジュースでベトベト……)。
こういう日常は普通に落ち込むので、アメリカ最高!アメリカが全部素晴らしい! ……とは全く思わないのですが、良いところは学びたいなぁ、と思うわけです。とくにデジタル化の部分では強く思います。
ただ、配車アプリが一般的になりすぎた国では、流しのタクシーが本当に捕まらず、観光客が困る……という話もあります。デジタル化することによって、困る人がたくさん出てしまう……というのは、優しい社会じゃないなぁとも思います。
ITツールが増えすぎて、その管理コストがかかりすぎる……という本末転倒すぎる話もよく聞きます。
ただ、既に「あちらの方が便利なのに……」という状況が見えているのであれば、はやくその世界に行きたい。そしてデジタルを活用した上で、本質的な仕事をしたり、心を通わせる時間をもっと豊かに持ちたい。そう思っています。
そのファイル、スマホでも開ける?
毎日デスクワークしている人からすればちょっと意外かもしれませんが、「パソコンを使わずにスマホだけで仕事している」ビジネス人口も年々増えています(私もパソコンを開かない日のほうが多いです)。
そんな中で、以下のようなことは頻発なんですね……。
・スマホで開けないzipファイルが送られてきてしまった……
・firestrageなどのリンクを送られてもダウンロードが出来ない……
・めちゃくちゃデータの重い企画書だと、開くまでにすごく時間がかかるし、ギガが減る……
・「このエクセルに記入した上で返信してください」などは、スマホから限りなく操作が難しくて詰む……
などなど。ということで、私は
・画像はGoogle photoなどで共有。(メッセンジャーで送ると画質が下がるので)
・重い企画書は送らない。そもそも長い企画書を作らない。テキストの概要と、参考URL、イメージビジュアルをメッセンジャーで送ればOK。
・エクセルなどではなく、Googleフォームなど、スマホからもフォーム形式で回答できるもので情報を収集する。
などを使っています。
ちなみに以前、Twitterで「形骸化している面倒なルールを教えてください!」と募集したところ、以下のような声が寄せられました。
新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。