コンプレックス、プレッシャーから解放せよ
こんにちは、塩谷です。
人はいろんなコンプレックスを抱えていたりするかと思うのですが、私もたくさんありました。滑舌が悪い、運動が苦手、一重まぶた、注意力散漫すぎる、食べるのが遅い、ワインが飲めない……etc..
そして、「コンプレックスを上手に隠しましょう」「みんなと同じようになりましょう」みたいな感じで、弱みを刺激してくる商品や広告はたくさんあります。コンプレックス商材、というジャンルもありますね。
コンプレックス商材とは、ダイエットや薄毛治療、美容、整形といった人間が抱えるコンプレックスや劣等感に訴求する商材、サービスのこと。「痩せたい」「モテたい」「きれいになりたい」といった消費者の欲求、感情を解消することを謳っている。悩み解決型商材。
https://makitani.net/shimauma/complex-shouzaiより
もちろん、人の悩みを助けてくれる商品やサービス……というのは素晴らしいもの。「目が悪い」という悩みが、眼鏡やコンタクトやレーシックなどで解決出来るというのは、単純にとても生きやすい。
ですが。
もともとなかったはずの「心配事」をわざわざ「みんなこれが心配です」と煽って、コンプレックスやプレッシャーを与えて、それを補うように商品を売る……というのは、マーケティングやPRの世界では常識にもなっています。
日本の、特に東京の電車の中はプレッシャーをかける広告ばかり。毎日目にするだけで、気持ちが殺伐としてしまいます。
しかし。
個の時代と呼ばれる今。「みんなこれを気にしてますよ」「周りの目が気になりませんか?」という圧力をかける訴求方法は、どんどん支持されにくくなるんじゃないのかなぁ、と思っています。
コンプレックス、プレッシャーからの解放
2019年。今現在、注目を集めている広告や商品に共通しているのは「コンプレックスや、プレッシャーからの解放」です。
もちろん、プレッシャーからの解放を商品にする……というのは今に始まったことではありません。ココ・シャネルはジャージー素材でゆったりとした服をデザインしたり、クラッチバックにチェーンを付けて両手を自由にしたりと、女性を解放することで大きな支持を得ていました。
ですが、SNS時代となり、より個の声や不満が届くようになった今。私たちは抑圧に対してとても敏感になっています。
これまで、メディアや広告の力で「こうするべきである」と一方的に与えられていた価値観から、SNSパワーに乗って「実は、これも良いのでは?」「これだって素晴らしいじゃん!」と、様々な正解、多様な価値観が発信され、それが商品や広告となり、新たな時代を作っています。
たとえば……
1. 「新築を建てなければいけない」からの解放
まず、「結婚して子どもを生んで、ローンを組んで郊外に新築一戸建てを建てなければいけない」というプレッシャーからの解放を促進している存在として、(株)ツクルバが運営しているカウカモという中古リノベーション物件のプラットフォームがあります。
カウカモに関しては私も記事広告を作成させていただいたことがあるのですが、彼らのミッションを私は「プレッシャーからの解放」と受け取り、私は「ブランド物だから、みんなと同じだから、素晴らしい。そんな前時代的価値観からの脱却を果たせるか?」というタイトルの記事を作りました。
そしてつい先日、代表の村上さんがインタビューで以下のように話されていました。
村上:2016年に新築と中古の流通量が戦後初めて逆転し、着実に中古市場は盛り上がりを見せています。(中略)我々が今いるのは、圧倒的な成長市場なんです。
https://www.fastgrow.jp/articles/tsukuruba-murakami より
中古市場は成長産業。
私自身彼らの仕事を知ることで「あぁ、新築を買わなくても良いのか」という大きな価値観の変化がありました。
2.「下戸コンプレックス」からの解放
お酒が飲めない人は、食事会などで「とりあえずビールでいい?」「ワイン、ボトルで入れちゃっていい?」というプレッシャーを地味に受けてます。
「私、お酒は飲めなくて……」と断ると「え、飲めないの?人生損してるね〜」なんて言われちゃったりも……。ですが飲めないというのは体質であり、個性です。
また、高級フレンチなどでは膨大なワインリストがあるのに、ノンアルコールはお子様向けのジュースだけ……といったお店も少なくはありません。欧米の大人は日本以上に「子どもっぽい」行為を避けるだけに、この選択肢の少なさは悲しいですよね。
そんな中。「飲めない派」たちのプライドを取り戻すような商品がイギリスから生まれました。
主に欧米のワイン専門店やセレクトショップなどで、一際目立つお洒落なパッケージで目立っているSeedlip。
こちらお酒ではなく、ノンアルコールなんです。ですが1瓶のお値段が37ドル(4000円くらい)ということで、お子様向けではありません。
私も何種類か飲んでみたのですが、繊細な料理を更に引き立てるような味。
Seedlipの創業者のベン・ブランソン自身、アルコールが飲めない体質だったそう。彼自身のコンプレックスを解放するかのように生まれたのがSeedlipなんですね。今は多くのレストランで「ノンアルコールペアリング」の代表格として扱われています。
私の夫は本当にお酒が飲めないのですが、Seedlipに出会ってから大きく価値観が代わり、「お酒が飲めないコンプレックス」から見事に解放されていました。NYやヨーロッパではノンアルコールペアリングを提案しているお店や、ノンアルコールバーも増えています。私も夫とバーに行きたいので、そういうの日本でも増えて欲しい!
3.「欧米コンプレックス」からの解放
新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。