行かなきゃならない展覧会、5選
芸術というものを紹介するときは、まず自らの足を運び、この目で、耳で、できる限りを体感してから書く……というのが私の中の原則ではあったのだけれど、どうにも身体が動かない。しかし、元気になってから……と身体の都合を待っていると、あれもこれも会期が終了し、なんなら美術館まで休館してしまうようなこのご時世。
……というのを言い訳にして、行ってもいない展覧会のことをいくつかここに寄せ集めておくことをお許しいただきたい。とは言え数多の情報の中から厳選した、必ず行きたいものばかり。関東中心になってしまう点はご了承を。
DIC 川村記念美術館 『西川勝人 静寂の響き』
まずはやっぱり、休館を発表した川村記念美術館の『西川勝人 静寂の響き』。
現状の発表を見る限りだと、これが休館前最後の展覧会になってしまうらしい。静寂を表現し続けた作家・西川勝人が、川村美術館の最後を飾り、その後は長い休館が訪れる……という悲哀。
会期は1月26日まで……と長いけれど、これが最後になるのであれば、「また今度」と先延ばしにする理由がない。近いうちに必ず足を運びたい。
東京都国立博物館 『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』
気がつけばあと1ヶ月もせず終わってしまう……のは、東京都国立博物館で開催中の『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』。国立博物館で現代美術家の大規模個展……というだけでも珍しいが、中でもこの本館特別5室では、長年開けられることのなかった鎧戸が開け放たれ、自然光が入っている。博物館に自然光が降り注ぐ姿を観られる機会もそうそうない。
事前予約制なので、とくに休日に行かれる場合はご計画的に。
伊勢丹新宿本店 「ロナン・ブルレック~この手が覚えていること The hand remembers~」
こちらは伊勢丹新宿……あの綺羅びやかなばかりの場所で? と思ったのだけれど、空間設計が三澤デザイン研究室、と聞けば期待が高まる。
9月17日までは、ショーウィンドウも三澤デザイン研究室が手掛けた空間構成になっているのだとか。三澤遥さんは、国立科学博物館での「WHO ARE WE 観察と発見の生物学」の企画構成でその仕事の素晴らしさに惚れ込んでしまった方。百貨店の中がどのような空気になっているのか、とても楽しみ。
保良雄 個展『くだ』
展覧会情報は美術手帖やTokyo Art Beatで探す、という方も多いだろうけれど、やはりなによりも頼れるのは、信頼できる筋の方の口コミ。
ここから先は
新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。