Web記事を飽きずに読んでもらうために必要なのは、方言・リズム・個性・読了感・表情・本音…他。ノウハウ公開中。
こんにちは!塩谷舞(@ciotan)です。milieuというメディアの編集長をしております。
さて。先日公開したこちらの記事ですが…
すごかった……
いつものnoteの数倍は反響がありました。Webメディア関係の方だけではなく、幅広い方から反応をいただけて嬉しかったです。
ということで! 今回は後編です。私がWeb記事で気をつけている
「スター性」「現実」「現象」「方言」「リズム」「個性」「尊重」「対等」「空気」「空白」「声」「読了感」「表情」「本音」
について、ボリュームたっぷり公開していきたいと思います。
前編がまだの方はコチラからどうぞ。
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「リズム」
読みやすい記事ってどんなものかな〜と思うと、だいたいこの「リズム」が良いんですよね。
たとえば、サンプルとして以下の文章を見てみましょう。
milieuの『生まれてこのかた、ずっと不況。「ゆとり世代」は、知恵を出して仕事をつくる』という記事を、一部改変したものです。
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生まれてきてから、ずっと不況でした。
そして、受け継ぐべき家業は、斜陽産業でした。
それでも、知恵を出して仕事を作りました。
まっすぐな熱意で、地に足をつけて、仲間を増やしていきました。
そんな宮﨑さんたちの姿は、人を元気にしてくれるだけの力がありました。
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……いかがでしょうか? 「でした」「ました」のオンパレードで、なんだかしつこいですよね。
あと「そして」「それでも」「そんな」と、「そ」のオンパレードで、これもしんどい。
私は原稿を書いた後に必ずブツブツと「音読」しているのですが、そのときに「あれ、なんかリズムが変やな」と気づいて、地味に修正してます。
そして。実際のmilieuの記事では、以下のようになっています。
↓
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生まれてこのかた、ずっと不況。
受け継ぐべき家業は、斜陽産業。
それでも、知恵を出して仕事をつくる。
まっすぐな熱意で、地に足つけて、仲間を増やしていく。
そんな宮﨑さんたちの姿は、人を元気にしてくれるだけの力があります。
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……はい出た! 体言止め!!!
小学校現代文レベルの話ですが、「体言止め」は文章にテンポを出すのに超・効果があります。かつ「ずっと不況」「斜陽産業」の部分は地味に韻を踏んでいたりするんですよね……ラッパーかな。
かつ、この記事のタイトルは『生まれてこのかた、ずっと不況。「ゆとり世代」は、知恵を出して仕事をつくる』です。引用した部分は記事の締めなのですが、タイトルに出ているフレーズを記事の一番最後に出すことによって、物語が「締まる」感じがするんですよね。
あと「生まれてこのかた」とかは、喋り言葉ではあんまり使わない言い回しですが、「生まれてきてから」と書くよりも、テンポ感が良いですよね。
原稿執筆にも音声入力がブームですが、そこに頼りすぎてしまうと、この「喋り言葉では使わないけど、文字だと素敵な表現」が失われてしまう気がするので、私は常にタイピングで原稿を書いています。
他には……「ですます調」と「である調」は混ざらないほうが良いとされていますが、私は「冒頭のピリっとさせたいところ」では「である調」を使うし、ふわっと空気を変えたいところから「ですます調」を使ったりしますね。
長くなりましたが。
とにかく、原稿は音読してみること。その上で、体言止めにしてみたり、韻を踏んでみたり、テンポを良くしていくと、するするする〜〜と読みやすくなりますよ。
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「本音」
よくオウンドメディアとかでは、その会社の広報スタッフが、社員をインタビューしていたりしますよね。
そこで(小さなスタートアップの同僚であるにも関わらず)あらたまった距離感で
「**さんがチームをマネジメントする際に心がけていることは?」
「**さんの1日のタイムスケジュールを教えてください」
と質問していたりするのは……
…… 違 和 感 し か な い !
って思っちゃいます。うーん、やりたいことはわかるのですが、絶対本音じゃなさそうだし、予定調和にしか見えません……。だって取材
新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。