人が会社を選び、従業員が会社を評価する時代に。CINRAの「グリーンカンパニー」認証制度とは?
こんにちは、CINRA, Inc.代表の杉浦です。
今回は、2021年10月にフルリニューアルした自社メディア「CINRA」の目玉の一つをご紹介します。
「CINRA」には、「JOB」というクリエイティブ業界に特化した求人サービスがあります。これまでに約1,000社のクリエイティブ企業が求人を出してくださっているのですが、そのなかに「グリーンカンパニー」という認証制度を新たに導入しました。
【JOBのグリーンカンパニー認証制度】
https://job.cinra.net/green
まず、認証制度の紹介に入る前に、導入に至るまでの経緯を共有させていただきます。これからの企業はどのような存在であるべきなのか、世界ではたくさんの動きが生まれています。
企業の公益性を認証する制度、B-Corp
アメリカ発の認証制度「B-Corp」のことはご存知の方も多いのではないでしょうか。「ベネフィット・コーポレーション」の略であるB-Corpは、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際的な認証制度です。
株主だけでなく、環境、従業員、顧客などあらゆるステークホルダーに包括的に有益な企業が認証されます。世界では、パタゴニアやガーディアン、ダノンなど3,821社が認証を受けていますが、日本ではわずか6社にとどまります。
それでも、ここ最近メディアではB-Corpを目にする機会が増えてきたように思いますし、現在、日本版ガイドブックの刊行が準備されているとも聞きます。
また、企業による環境配慮やジェンダーイクオリティー、人権DDなどの動きも国内外で次々に促進されてきています。これまでの、企業が稼いだ利益を社会に部分的に還元するという20世紀のCSR的な価値観ではなく、事業そのものが社会的であり公益的であることが求められるようになり、若者の消費行動自体にも影響を及ぼすようになってきました。
ミレニアル世代・Z世代が「働き方」で重要視することは?
Fast Companyの調査によれば、ミレニアル世代の70%が「サステイナビリティーに配慮した企業で働きたい」と考えており、そのうち4分の3の若者が、そうした企業で働くためなら給与を下げても構わないと考えているようです。
また、デロイトの調査では、Z世代の約半数が、「自分たちの価値観に沿った仕事をしたい」と、自身の倫理観が職業選択に影響を及ぼしたと回答しています。給与などの待遇や業種職種が重んじられてきたこれまでの求人・転職市場においても、新たな潮流が生まれてきているのだと思います。
これからの社会を支えていくミレニアル世代やZ世代の価値観を考えたときに、これまで通り「企業が人を選ぶ」という感覚は、(そのすべてではないにしても一部は)アップデートされることを待ち望んでいるのではないかと思います。
こうした世界的、社会的な動きのなかで、日本のクリエイティブ業界の求人情報を扱ってきた「CINRA」にできることは何かを考えました。そこで生まれたのが、「グリーンカンパニー認証制度」です。
従業員が会社を評価する「グリーンカンパニー認証制度」
冒頭お伝えの通り、これまで私たちは1,000社近くのクリエイティブ企業の採用をお手伝いしてきました。経営者、人事担当者の方々とお話をさせていただくなかで、これからの人と企業のあり方がどのように変化していくのか、していくべきなのかという問いに対する、いま私たちが打ち出せる一つの答えがこのグリーンカンパニー認証制度です。
これからの時代にふさわしい企業のあり方を「CINRA」が定め、「サステイナビリティー配慮」「パーパスドリブン経営」など9つの項目に落とし込みました。
求人企業にはまず、この9項目のなかから自社がコミットしていると思うテーマを選択していただきます。次に、その項目に対して実際にコミットできているかを自社の従業員に評価していただき、その評価が一定以上であれば認証バッジが「CINRA」から与えられる、という制度です。このバッジを獲得した企業の求人には、社会的意義の高い企業として「CINRA」メディア内での露出度が高くなる設計にしています。
ちなみに、「グリーン」と聞くと環境配慮の印象が強いですが、それ以上に、ブラックでもホワイトでもなく、企業がより社会的、公益的な存在となっていく社会を目指し「グリーンカンパニー」という名前にしました。
リアルな情報をミレニアル世代・Z世代に届ける
次に、求人事業を提供していた我々がなぜこのような認証制度をつくったのか?
それは、企業側が求職者に一方的によいメッセージを打ち出すだけでなく、そこで働いている従業員が会社を評価することで、各社のリアルな情報を届け、求職者に企業選びの判断材料の一つにしていただきたいからです。
企業と求職者を媒介し、一定の基準を設けた認証制度として運営しています。そのため、求職者は求人企業のリアルを知り、安心して情報を受け取ることができます。
企業が自社の魅力を伝える手段として、労働環境や福利厚生などを推しポイントとして発信しますが、求職者が気になるのは「実際どのくらい実現されているのか」ということではないでしょうか。その、実際の現場はどうなの? などの疑問を「入社してみないとわからない」でしか解消できなかったところを、この制度では「従業員の太鼓判」として証明できると考えています。
次に、JOBのプランナー坂本から、この制度が社会や求職者のためだけのものではなく、ご利用いただいている企業様にとってもメリットになることをご紹介します。
社内でしっかり評価されたことは、企業にとって誇れる価値である
この制度は求職者側のためだけのものではありません。社内でしっかり評価されている取り組みは、企業にとって誇れる価値であり、求職者に向けた説得力のあるアピール材料にもなると考えています。自社のアピールポイントをどのように打ち出したらよいか悩んでいる企業にとっても、9つの項目に自分たちの取り組みを当てはめてみることで、新たな自社のアプローチが見つかるきっかけとなるかもしれません。
この制度では、バッヂの認証にあたり、従業員に向けてサーベイを実施します。匿名で行なうことで自社に対する率直なフィードバックを得ることができます。
企業が新しい制度や施策を走らせる際に、「(企業からの)一方通行になってしまう」「社員を巻き込むことがむずかしい」という課題は起こりがちです。新しい施策に対して、従業員への浸透具合や満足度を図ることがないまま、気がつけば形骸化していた、なんてことも少なくありません。
こうした課題を持つ企業が、普段ヒアリングの機会を持ちにくい現場社員からの率直なフィードバックを受け取ることで、施策のブラッシュアップや、制度の見直しにつながるきっかけにもなるのではと思っています。
グリーンカンパニー認証企業の声
2021年10月に生まれたグリーンカンパニー認証制度ですが、すでに多くの企業がバッヂを獲得しています。制度を導入いただいた企業様からのお声を紹介します。
これから企業が持つべき、「選ばれる側」としての緊張感
自社の取り組みを社外に公開することのメリットは、横のつながり(同業他社)はもちろん、業界全体の「働き方」に対する価値観をアップデートしていける可能性もあります。
認証制度を通して、企業同士がインスパイアし合い、よい取り組みを取り入れていく企業が増えることで、クリエイティブ業界に変化をもたらすことができると信じています。
たくさんの素晴らしい企業があるなかでも、労働時間の長さやハラスメントが問題視されることもある日本のクリエイティブ業界。この制度が、「企業が持つべき、選ばれる側としての緊張感」のようなものになればと思っています。
その緊張感が、企業と人によりよい関係を生み出し、業界に素晴らしい人材を迎え入れることにつながり、結果として社会により多くのクリエイティブな仕事を届けるお手伝いができればと願った制度です(当然これは、他人ごとでなく、我が社にとっても重要で大切な課題であり、今後重視していきたい方向性です)。
グリーンカンパニー認証制度、または
JOBの求人サービスに関するお問い合わせはこちら(企業様向け)
CINRA, Inc.の最新情報はこちらから!
Twitter Facebook