コロンブスのお話
クリストファー・コロンブス。大航海時代に「新大陸」を発見した探検家・航海者として彼の名前ぐらいは、誰もが知っているでしょう。実はコロンブス。当店Cinqには切っても切れない人物です。コロンブスのおかげで存在していると言っても良い程、偉大な存在です。なぜ偉大なのか。これは、まだ見ぬ世界を追いかけた一人の男の「お土産話」です。
コロンブスの肖像画。
コロンブスは、スペイン王室の援助を受け、合計四回新大陸に航海しています。コロンブス本人はヨーロッパから西廻りに移動するとインドやアジアに着くと考えて船出しましたが、実際はアメリカ大陸やカリブ諸島に着いたのは有名な話です。彼は、新大陸から様々なもの(トウモロコシ、トマト、カボチャetc)をヨーロッパに持ち帰り紹介していますが、「葉巻(タバコ)」などもその一つなのです。
1492年。コロンブス一回目の航海。コロンブス一行はキューバに到着。そしてコロンブスの部下二人が現地の先住民タイノー族と遭遇したその時、彼ら二人は目撃してしまったのです。タイノー族が乾燥した葉でできた筒に火を点けて喫煙しているなんとも風変わりな光景を。習慣的に燃える葉の芳香をからだにつけていたタイノー族から友好の印として葉巻をもらった部下は、船に帰りコロンブスに報告。その後、ヨーロッパに伝わった葉巻は最初はスペインの人々に親しまれ、徐々にヨーロッパ各国、世界へと広まっていきます。
新大陸上陸の様子
もう一つ。これは逆に、コロンブスがヨーロッパから新大陸に持ち込んだものとして、「サトウキビ」があります。当時は、ヨーロッパ列強の中でもスペインとポルトガルの二強時代。スパイスと並び、砂糖が輸出品目の要だった為、各国が大量にサトウキビを生産できる肥沃な土地が必要でした。
1492年の最初の航海。キューバやイスパニョーラ島(現在のハイチやドミニカ共和国)に上陸したコロンブスは、その土地の気候や日照時間がサトウキビを栽培するのに適していると確信します。翌1493年の第二回目の航海時に、彼はサトウキビの苗をイスパニョーラ島に持ち込みサトウキビを根付かせます。その後、カリブ諸国でサトウキビ畑が作られていき、16世紀になると砂糖の生産過程で取り除かれる糖蜜を発酵と蒸留を施すことでラムが誕生しました。「カリブ諸国=ラム」のイメージが今でこそありますが、実はコロンブスがサトウキビの苗を持ち込むまではカリブや中南米にはサトウキビは存在していなかったことを考えると、如何にコロンブスが新大陸の経済や文化の発展に影響したのかがわかります。
さらに、1502年の第四回目の航海。ホンジュラス沖でマヤ人の交易船に大量のカカオをマヤ人が大切にしていた様子をコロンブスは見かけます。そのカカオこそ、チョコレート(当時は飲み物)の原料でコロンブスはカカオを持ち帰ります。チョコレートの作り方がスペインに本格的に入ってくるのは1519年のエルナン・コルテスによってですが、チョコレートの歴史にもコロンブスはその名を残しています。
上述の「コロンブス交換」は、歴史的には負の遺産も残しているものの、世界の食生活に変化をもたらし、今では世界中での人々が毎日当たり前のように口にするものばかりです。葉巻、チョコレート、ラムは当店でも定番の品ですが、それは全てコロンブスのおかげです。冒頭で書いた通り、コロンブスと頭文字が「C」から始まるものの組み合わせがコンセプトの当店は切っても切り離せない理由は、お分かり頂けたでしょうか。(ちなみにコロンブスの名前の表記は'Christopher Columbus'。頭文字、「C」からはじまってます。)
さあ。コロンブスのように、好奇心に舌をゆだねてみませんか。まだ見ぬ世界を目指して航海に出たコロンブスのように、まだ味わったことのない「味覚の冒険」は、好奇心一つで気軽に旅立てます。彼が偶然に発見した一つ一つのピースをつなぎ合わせるとどうなるか。これはコロンブスも発見できていません。そう。それはあなたが発見する番です。グラスに注がれたラム。見た目も美しいチョコレート。心に優しい葉巻の煙。口いっぱいに広がる「何か」を発見した瞬間。振り返れば奴がいる。
Bon Voyage!!
画像①Wikipediaより
画像②シーガーナビより