『漁港口の映画館 シネマポスト』では現在上映中『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』が6月21日まで公開となります。
上映決定に至るプロセスとして、事前にスクリーナーで確認させていただくケースがあります。いわゆるパソコン画面です。そこでは音の良し悪しは分かりません。あくまでも内容重視になります。しかる後に上映用原盤が届き、劇場での通し試写を行います。
映像の良さは当然の如く際立ち、加えて音。通常5.1chに音響設定されているケースが殆どなので、違いは各作品のミックス時における音のレベルの違いのみで、強力な音の迫力を体感できます。
今回の『エドガルド・モルターラ』の素晴らしさはその映像と音響がずば抜けて優れている点にあります。
監督は『シチリアーノ 裏切りの美学』『肉体の悪魔』を手掛けたイタリア映画の巨匠、マルコ・ベロッキオです。
フェリー二やヴィスコンティといったイタリアの往年の巨匠が持つ品格を継承している作風は大いに感じ取れます。
試写後の気づきとして、やはり映画は映画館で観てほしいと手前味噌ながら思わずにはおれない感覚になります。
音のレベルも空間に最適な迫力を温存できる聴きやすさで調整していますが、これだけのダイナミズムを、例えばホームシアターで味わうには、広い地下室かスタジオを保有している方しか該当しないのではと大きなお世話的な思案をしたくなります。
映画に普通に求める非日常性の根拠が、私は視聴環境にあると考えます。
その前提をクリアした上での作品セレクトであり様々なホスピタリティではないかと思うのです。という意味ではホスピタリティで視聴環境の粗さを補完するのは提供する側の意識について勘案すると、それは違うのかもしれません。
シネマポストが22席の空間に最適な視聴環境を構築している前提として、仮に50席の視聴環境であれば、その空間に合わせた視聴環境を構築する必要が当然生じるという理屈になります。
シネマポストは、まさにトライアンドエラーを繰り返しながら開館から8ヶ月が過ぎました。ようやく運営のリズムらしき感覚が少しづつではありますが、備わりつつあるかもしれないと思います。
運営の中身も幅広く、1つ取り上げると、まだまだ広報も考える点、実行できていない点があります。なかなか心に余裕が持てない性分が災いしていますが、ライク・ア・ローリングストーン…転がる石のように、躓きながらも前に進んでいくことを是として、精進するのみと。
ぜひ一度シネマポストに足をお運びいただけましたら幸いです。
【インフォメーション】
株式会社cineposが配給宣伝を担っている映画『幽霊はわがままな夢を見る』の東京公開が6月29日(土)渋谷・ユーロスペースで決定しております。
全国共通券をムビチケとユーロスペース窓口で取り扱っております。購入特典にポストカードが付きます。
初日は主要キャストとグ スーヨン監督登壇による舞台挨拶もございます。
ユーロスペースホームページと最新情報は映画公式Xをご参照ください。
皆さまのお越しをお待ち申し上げます。