『侍タイムスリッパー』感想(冨家ノリマサ編)
兄の影響で小学生の頃から吉川晃司のファンだった。
バンドブーム直撃世代だから中学生の頃からBOOWYも好きだった。
だからCOMPLEXの結成には宮沢りえの『サンタフェ』よりも興奮した。
2024年6月で、不振ながらも独立開業から10年を生き延びた。
その「これまでの10年おつかれさま」のご褒美と「これからの10年がんばれよ」の景気づけとして、5月に開催された『COMPLEX LIVE 日本一心』を観に行った。
やっぱり吉川晃司はいつでもカッコイイし、
吉川晃司の横でギタリストをしている布袋寅泰が一番好きだ。
「ユニットのボーカリストとギタリストの共演」ではなくて、
「独立したボーカリストと独立したギタリストの競演」という感じか。
『1990』のサビを叫びながら感動に泣き崩れたなぁ。
さて、話題の映画『侍タイムスリッパー』の話である。
ウケにウケ、売れに売れて、全国公開館も100を超えたようだし、
シッチェスなど海外の映画祭にもいくつも呼ばれているようだし、
ニュースZEROでも取り上げられているし、もう立派に「大ヒット映画」。
『侍タイムスリッパー』がヒットしてうれしい。
それは前から安田監督や沙倉ゆうのを応援してきたからというのもあるけど、それ以上にこういう『侍タイムスリッパー』みたいな作品が評価されるのは、いち映画ファンとしてうれしい。
東に西に、昔に今に、“良い映画”はたくさんある。
巨匠が撮り名優が演じる大作
社会の今を鋭く描く問題作
作り手の才能が光る芸術作
いろいろな名作が先週も来週にも公開されている。
そんな中でも『侍タイムスリッパー』というド直球の娯楽作
「解釈は観客の皆さんにお任せします」じゃなくて、
笑わせるよ!泣かすよ!ハラハラさせるよ!つまり楽しませるよ!と
真正面からエンタテインメントとして勝負してくる“面白い映画”。
「この映画を何度も観たい」というよりも
「こういう映画を何本も観たい」と思わせてくれる映画だ。
この映画が大ヒットして、これから“こういう映画”が何本も作られていくといいなと思う。
『侍タイムスリッパー』の大きな魅力として、主役高坂新左衛門を演じる山口馬木也の「愛され度」が語られる。主人公が愛される映画は、愛される。
それは間違いないんだけど、僕は『侍タイムスリッパー』を観ている間、何度もCOMPLEXを思い出していた。山口馬木也が吉川晃司だとすれば、風味恭一郎を演じる冨家ノリマサが、とても布袋寅泰なのだ。そしてカッコよく渋い。『侍タイムスリッパー』は“主役一強”の物語ではなく、“ライバル萌え”としての評価はもっとあって欲しいなと思う。アムロはシャアがいてこそのガンダムだし、矢吹は力石がいてこそのあしたのジョー。
ラストバトル開始の“間”、中打ち上げやバーカウンタやラストバトル後の“新左衛門に対する笑顔”、真剣勝負を提案された時の“涙”、カットがかかった後の“頬を膨らましてする溜め息”、釣りのシーンやラストバトル撮影待機の“並んで座るライバル同士の背中”とか。冨家ノリマサにグッとくる場面は多い。
全国公開され、気軽に見やすくなった『侍タイムスリッパー』。複数回観るなら、一度は冨家ノリマサに注目して、“熱きライバルの競演映画”として楽しんでもらえたらなと思う。
COMPLEXのライブは、2024年5月15日と16日の2DAYSだった。両日東京ドームを満席にしたから、動員数は12万人くらいか。
『侍タイムスリッパー』は2024年8月17日から1館、2館、そして100館超え。累計動員数12万人もそう遠くないうちに超えていくだろう。
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