世界の終りとハードボイルドワンダーランド
私がこの小説を目にした時、そこにはなぜこの題名なのかという大きなそして疑り深い疑問があった。小説を手に取ると重みがあり、上巻と下巻の2冊に分かれている。さて、読もうか読むまいか。村上春樹を初めて読んだのは20歳くらいのことだったと思う。「ノルウェイの森」か「風の歌を聴け」だったか、読んで初めにどうしてこの方はこのように比喩表現を多用し知らず知らずのうちにお洒落な世界を描くのだろうかと熱いラブコールを送らずにはいられなかった。その後も、「スプートニクの恋人」や「1980年代のピ