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「女帝 小池百合子」と合わせ鏡の『なぜ君は総理大臣になれないのか』
今日から宝塚歌劇も再開したが、劇場クラスター騒ぎの余波か、近くを通ってもあまり騒々しさを感じなかった。GO TOキャンペーン、突然の東京外しも、そこまでして今やるのかと思いながらニュースを見てしまう。記者会見する小池さんの苦々しそうな表情を見ながら、思い出したドキュエンタリー映画がある。
最近取材させていただいた大島新監督(『園子温という生きもの』)の、『なぜ君は総理大臣になれないのか』。観客からは今ベストセラーになっている「女帝 小池百合子」と合わせて観るといい!という感想が寄せられているのだとか。それはなぜかといえば、本作の主人公で衆議院議員の小川淳也さんは、まさに小池さんが希望の党と民進党が合流する際に「選別」発言で、踏み絵をふまされるような、非常に厳しい選挙戦を戦わざるを得なくなった政治家だからだ。
大島監督はインタビューで、都知事にまで上り詰めた小池さんと本作の小川さんについて、
小池さんのノンフィクションに対し、この映画は小池さんに振り回された、ある政治家の長い闘いです。小池さんの今までの軌跡を見ていくと、細川護煕さん、小沢一郎さん、小泉純一郎さんとそれぞれの広報担当者のようになり出世していくのですが、この3人は全く違う政治ポリシーを持っているので、有権者からすれば、(出世のためなら)なんでもいいのかと思ってしまう。私が取材した小川淳也さんは、やりたいことが明確で、そのために政治家になりましたし、それを曲げたくないという強い意志があります。まじめで誠実だけど、出世ができない。それだけが理由ではないでしょうが、誠実さが政治家としてうまく行かない一つの原因になっているのです。ある種、皮肉でもあるのですが、小池さんと対比することで、どちらの政治家の特徴も言い表しているのではないでしょうか。
と語っている。ひたすら上昇志向の欲はあるものの、政治家として何を成し遂げたいのかが一向に見えない小池さんと、私利私欲はまったくないが、日本をよくするという強い一念で、統計不正にも鋭く切り込む小川さん。さて、有権者の私たちが本当に選ばなければいけないのは、どちらなのだろうか。政権を狙いながら、なかなか手が届かない野党目線で日本の政治を省みる作品、それこそ森友学園に関する財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した元近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻、雅子さんが国や財務省の佐川元理財局長に賠償を求めた裁判の第1回口頭弁論が行われたばかりだが、かの有名な安倍総理の「もしそれが真実なら、私は総理を辞めます」宣言も、映画に収められている。コロナ禍での政治の迷走ぶりですっかり忘れさせられている、ここ10年の日本の政治を今こそ見つめ直すべきかもしれない。