あっという間の4時間、巻き込まれ型サスペンスラブストーリー『本気のしるし』
カンヌ国際映画祭では、深夜ドラマ発としては異例のオフィシャルセレクション2020に選出された、ミニシアター・エイド基金発起人としての活動も記憶に新しい深田晃司監督最新作『本気のしるし』。実はちょうど1年前、メ~テレ深夜ドラマとして放映されていた時に、期間限定で見逃し全話配信をしていたことがあり、Twitterで「今日の24時まで」と流れてきたのを見て、やおらスマホで鑑賞し始めたら、えっ、えっ、なんなんだこのヒロインは・・・、一体どうなるんだ・・・、と30分弱の1話が終わると、もうやめられない止まらない。全8話を一気に見切り、男性に付け込まれた末、悲壮な運命を背負ってしまったヒロイン浮世の立ち上がる姿と、困っている浮世を見ると助けざるを得ない辻の、愛を知ったが故に堕ちていく姿が交差し、見始めた頃の二人への印象が180度転換する面白さがあった。
辻を演じる森崎ウィンの爽やかさも相まって、社内で先輩、後輩女性社員と二股をしているゲスな部分も若干薄まってしまうし、浮世を演じる土村芳の「ごめんなさい」と言いながら無茶振りをする天然ぶりが、むしろイラっときたりするのだが、これも計算されたキャスティングで、99.9%共感できない登場人物たちで成り立つドラマがこんなに面白く、そして、人間の業を浮き彫りにするのかと、またしても深田監督にしたやられた感満載だった。現在絶賛上映中!
©星里もちる・小学館/メ~テレ
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