あけましておめでとうございます&映画初めの『天井桟敷の人々』&緊急事態宣言再発令
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。もっと早くに書きたかった映画初めの『天井桟敷の人々』。昨年、パントマイムパフォーマーのいいむろなおきさんによる「マイムの歴史」座学レッスンで、『天井桟敷の人々』が描かれた1800年代前半のフランス演劇界のことを知り(当時、大勢の人が集まり世論を先導できるのが劇場であったことから、政情がまだ不安定だった1807年にセリフの入った演劇は政府直営の8劇場のみとされ、それ以外の劇場ではセリフ禁止、演者は2~3人になど、様々な規制が行われ、表現の自由が抑えられた時期を迎えた。その中で大ヒットしたのがパントマイムだったという)、前から観たかったけど機会のなかったこの作品への興味が急に溢れ出し、ステイホーム期間中にAmazonプライム・ビデオに登場したのでまずはオンライン鑑賞。
ザジフィルムズ配給で『天井桟敷の人々 4K修復版』が昨年秋に公開されると知り、ずっと楽しみにしていた。正月興行として組んでいた元町映画館での鑑賞は4Kではなかったけれど、それでもガランスの衣装が星のようにキラキラと輝き、バチストとの儚い恋が、当時の民衆たちの熱気と共に、実にリアルに伝わってくる。犯罪大通りと呼ばれる大通りで大道芸やマーケットに群がる人々の活気や、ラストのカーニバルでの人、人、人の熱気ぶり。蜜、蜜、蜜な映画史に残る華やかなのに切なすぎるラストの迫力も、殊の外強い印象を残した。
そんな今年も!という気持ちにさせられてから1週間後には首都圏に緊急事態宣言が再発令。飲食店は保障ありの営業時間短縮要請、映画館などは保障なしの実質的な営業時間短縮要請が出され、いずれは出るであろう関西も含め、上映時間を20時までにする方向で、レイトショー作品が公開延期になってきている。席数制限も具体的な要請はないようだが、こちらもすでに半席に戻している劇場が出てきた。シネコンでも、TOHOシネマズのように舞台挨拶の回のみ半席とするケースもある。とはいえ、実際に舞台挨拶もリモートに戻りつつあるわけだが。
そんな中で3月に開催する映画祭も含め、各所で難しい舵取りが迫られている。もちろん、それよりも何よりも、医療機関の崩壊を避けることが最優先であることは間違いないのだが、その舵取りを政府ができていない以上、昨年以上の思慮深さや判断が個々に求められる一年となりそうだ。人生初の本の執筆に携わるというプロジェクトもあり、とにかく集中して、今年もコロナ禍の映画界から、未来につながるものを取り上げていきたいと思う。