ほんとにややこしい著作権問題

自分の場合専門家(弁護士)ではないので
多かれ少なかれ間違いや解釈違いがある場合もあるので
ご了承下さい

仕事で著作権に関わることが少なからずあります。その中で聞かれるのが引用と著作権侵害の違い。ですが、いろいろと調べる中で弁護士であっても解釈の仕方次第で著作権侵害になったり引用であったりして、明確な線引きが難しい状態になっているよう。

その中でも一番のポイントが
著作権は親告罪である
というところ。
ただし平成10年の法改正で非親告罪になる部分が追加されていて、

1) 行為の対価として財産上の利益を受ける目的
2)(有償著作物等の提供若しくは提示により)著作権者等の
  得ることが見込まれる利益を害する目的

という法律の文章らしい直ぐにはわかりにくい文章で表現されている。

できるだけわかりやすく言うと

映画「A」があるとしよう
1)「A」の映像を編集し自分のYouTubeチャンネルに「Aの紹介動画」などにアップすることで利益/収益が発生したら明確な著作権違反。

2)「Aの紹介動画」を観たことでユーザーが「A」のDVDやBD。配信データの購入を止めることになる

と著作権侵害/非親告罪になるということ。

この場合の立証は難しいが、
「A」という映画の本編動画をネットに上げている時点で「NG」。


ちょっと前に「ファスト映画」が問題になったが、あれは正しくこの事案に当てはまる。

もっとも 1)の場合、他者が作成した動画を切り貼り(編集)をした時点で明確な著作権違反なんですがね
なので、動画はすべてNGと思うほうが良いかもしれません。


写真の場合

写真はちょっとゆるく(?)なっていて、引用を使うことでグレーゾーンというか認識的に問題ないという解釈ができる場合がありそう。

これは著作権法48条に記載されているもので、サイトのどこかに引用元を記載しておけばOKというもの。

ただしWeb掲載されている写真単体を勝手に掲載するのはNGとなります。
なので、

Webサイト全体のスクリーンショットは引用としてOK
Webサイト内の個別の写真をスクリーンショットするのはNG

という解釈になると思われます。

なので、映画の紹介サイト、動画などで、個別の写真を掲載、映し出すのは「基本的にはNG」ということになります。


結局は著作権元の判断による

YouTubeサイトの多くで、公式サイトやシネマトゥデイなどの専門サイトに掲載されいてる映画のワンシーンの写真などを使って映画紹介をしていますが、実際問題として
写真掲載の(厳密にいうと)殆どのサイトが著作権違反をしている。
ということになるといえそう。

なぜ訴訟されないのか?というと一人ひとりに訴訟をするだけの手間と時間とお金をかけられないから
ということになる。

しかしAIが認識識別。訴訟への手間の軽減などが行われるようになると、その様相は大きく変わるかもしれない


引用を適用できる場合は?

別の側面で言うと、
「一定の場合には、著作権者の許諾を得ないで著作物を利用しても著作権侵害にならない」と「権利制限規定」として著作権法で規定している。

これは引用としての解釈であって、著作権の侵害とは別になる。
例えば下の家が写っている画像の場合


これがとある映画のワンシーンだったとして、
このワンカットの写真に込めらている論評であったり、写真を研究素材として使用している場合は引用元を記載することで著作権侵害ではなく
引用として認められる

となります。

引用の規定は明確にされていて、簡単に言うと
a)引用物の掲載が従者側であること
b)引用の必要性があること
c)引用されたものと引用者の独自コンテンツが明確に違うこと
d)引用元が記載されていること
e)引用物を勝手に修正していないこと
となる

公共物と展示物

また公共物、公共性の高いものの場合は著作権としての解釈のふり幅が大きくなります。
例えば、無料で配布しているチラシなどのアイテムの場合、
「誰もが入手することができる」
という点から公共性が高いもの…と解釈をできる場合もある
(ただし、明確に侵害ではないとは絶対にいえない)

でも、劇場前に展示してあるポスターなどである場合は、
「そこに行かなければ観ることができない」
となる
でも
・街なかにある看板
であると公共性が高い…となる。
となって、どこからが看板でどこからな展示なのか?という解釈がややこしいし、弁護士の弁護しだいで解釈がいろいろ拡大できる可能性があってややこしい

結局は守る側の意識の問題


黙認をしてもらえるのだから良いだろう。
作品のためにしているから良いだろう。
という考えの人も多いかもしれないが、いずれにしても

Web上にある写真などを勝手に2次利用をするのは
すべて著作権違反。

YouTubeで1000人以上のフォロワーがいて宣伝費が稼げるサイトであってもフォロワーが数名の場合であっても、動画を使っている場合はすべて著作権違反。

NOTEのようにお金を支払うことで読める記事に映画の画像や動画をリンクしている場合も著作権違反。

という認識は必要とも言える。
現実的には「多くの場合で黙認をしてもらっている」と理解も必要。
でも黙認んしてくれるだろうから法律違反をして良いわけでもないし……。

映画を紹介するのであれば、キャラクターや見どころなどは映像付きで紹介したい…。それで多くの人に映画館に行ってもらいた…
というのもファン心理なわけで……

結局は、利用する側のモラルとマナーになるわけだが、時代的にはそろそろ変革が必要な時代とも思う。

ぜひ各配給会社にはYouTuber向けの著作権ルールを遵守する形での利用許可のシステムを作ってもらいたい…と思うこの頃です。

そのほうが地元のローカルTV局の映画紹介コーナーで、素人がパンフレットに書かれていることだけを棒読みする映画紹介よりもよっぽど未来があると思いますがねぇ……

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