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道は遠いなぁ/医療英語の必要性

なんだかんだカナダで働いて2年以上になります。
日本で学んだ医療知識を活かして、人の役に立ちたいなと思うのですが、言葉の壁が大変です。日本語だったら簡単に説明できることが英語だったら本当に言葉が出てきない。

純ジャパでカナダで看護師になった人を数名知っていますが、大したもんです。

例えば、先日こんなことがありました。
同僚の親戚が心臓の調子が悪いようで、薬や吸入を処方されました。
「この薬はどのくらい重症の人に使うんだ?」
と私たちに聞いてきました。
内容を見ると、
ジゴキシン、フロセミド、アロプリノール、抗凝固薬、いくつかの高血圧の薬など。
既往はよくわからないけど、心不全の人に使う薬のようです。
それほど大量でもないので、元RNの同僚も「普通の量だと思う」と答えていました。
親戚の症状も、自分で車の運転ができるぐらいなのだが運転しても良いか?という質問。まあ、急に使い始めたなら低血圧とかに気をつければ大丈夫なんじゃない?と。

ところが、こんどは専門医にかかるために病院に付き添わなきゃならないというのです。よくよく聞くと。呼吸苦があって、苦しくて寝られない。肺の病気じゃないけど、苦しいから吸入を使ってる。というのです。

それって、心不全で肺に水溜まってない?
聞くと、先日病院で胸水抜いてきたようなのです。それも、日帰りで・・・
「えー?胸水抜いて、日帰り?肺に水溜まって呼吸が苦しいって結構重症の心不全だよ。その親戚、自分で動いちゃダメだよ。」

カナダの病院は、心不全でも入院させてもらえないそうです。
重い心不全の患者さんは、心臓のポンプ機能が十分働かないので肺に水が溜まってしまいます。それで呼吸が苦しくなるのです。血中酸素濃度が低い時は酸素の投与も必要になってきます。

私は循環器専門ではないので重症心不全の方は滅多にみたことはありませんが、白内障か何かの軽めの手術のために入院してきたけど、浮腫んでてゼーハーして歩くのも不可能なぐらい弱ってる患者さんに出会ったことがあります。もともと心不全だったのが悪化していてたけど、なんとか一人で這って暮らしていたらしい。もちろん、眼科の手術どころではない・・・酸素ボンベで酸素大量に流しながら車椅子で循環器科に即連れて行って、診察待ってる間に酸素ボンベの酸素が無くなった!ぐらいやばかった。おまけに患者さん低カリウム血症になってて、自分史上最大容量のカリウムの点滴を投与したんだった。あれは、指示した医師に2回確認しました。点滴を払い出した薬剤師にも「この量で本当にいいの?僕からも医師に確認していい?」と言われましたし。

カナダでは入院させてもらえないとなると、家で安静にする、上体を起して寝る、水分制限をする、塩分制限をするなどの対策が浮かびます。
専門医を受診したところで、利尿剤を使いながら自宅療養の可能性大ですよね。

といったお話を、パパパッと英語でできないのが心苦しいですね。
しかも、それほど高齢ではないのに心不全になったという経緯も気になります。心臓の持病があったのか、癌なのか、ものすごい肥満なのかetc。

水分制限や塩分制限も、カナダの基準は日本よりもずっと緩いです。
入院しないので、日本の病院のように医師の回診や看護師の巡回で症状を訴えたり話をしたりする機会もない。必要ならオンラインで情報を調べたり電話(811)で看護師に症状を相談することもできますが、医療へのアクセスの機会が日本に比べて圧倒的に少ない。

そういえば、がんの治療のためにメキシコに行くって話を聞いたことがあります。
単純に安いからかな?って思ったけど、きっと早く治療してもらえるんでしょうね。

しかし、高齢で独居、自力で動けないほど弱ったらケアギバー雇って身の回りの世話をしてもらうしかないんだなぁ。(老人ホームもあることはありますが、順番待ち)

■ 心不全の英語
心不全:heart Failure
呼吸苦:Breathing difficulty
胸水:Pleural effusion
利尿剤:Diuretic


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