細かすぎる仕様書をあまり書かなくなった話

ゲームプランナーの仕様書にもレビュー(内容確認し、必要ならリテイク指示をする作業)という工程がある。

プランナーが書く仕様書というのはその人の経験値がかなり反映されてしまう部分があって、それは主に粒度、詳細さ、どれくらい先(周り)のことまで考慮に入れているかという点に表出する。

レビューワー(大抵の場合、経験豊富なベテランプランナー)からすると「ここの記載が曖昧だからプログラマがどう実装すべきか困ってしまう」とか「~について考慮していないから、これを元にデザイナーがデザインすると実用に耐えられなくなりそうだ」とか、色々気づくわけだけど、レビューワーが気付いて指摘をすること事態は良いことである。むしろレビューして何も返せない先輩プランナーが居たら、勉強し直すか立場入れ替えたほうがいい。通常、同等のスキル・経験を持っている2人が仕様作成と仕様レビューに分かれて作業した場合、問題点に気づきやすいのはレビューワーの方であるのだから。傍目八目と言っていいのかな、これは。

だけれど、ゲーム仕様のレビューって簡単なようで簡単ではない。

文字で説明されたゲームの仕組みや仕掛けについて、レビューワーはどれだけその内容を頭で再現できるだろうか?

まず仕様に書かれた情報は完全ではない。それなりに詳しく書いてあるようでも、「誰が見ても間違いなく同じ理解に至る」ような記述は現実的に不可能である。レビューする側もされる側も、この点は踏まえておきたい。

では、仕様から不足している情報をどうするかというと、(書いた人に聞く、、、というのはやったとして、それでも曖昧なままのもの)経験と想像で補うしかない。

多分、この部分はあの会社のあのゲームを念頭においているんだな、だったら、こういう事が起きたら・・・こう処理することになるだろう。みたいな。

上の例は、聞いたほうが良いレベルかもしれないが、仕様に書かれていないものには「聞く手間が無駄だと思うくらい我々としては自明(と思い込んでること)」みたいな細かいことが沢山ある。ここの誤解が積み上がると大変なことになるけど、一つ一つは些細なことで普通はあまり考えない。

かつてはそういう部分まで出来るだけ文書化しておこうとしていたのだが、「細かすぎる仕様書はプログラマもデザイナーも(ディレクターも)ほとんど読まない」ということに気付いたのでやめてしまった。

代わりに最近は実務者の頭に入れられるキャパを考慮し、時間を取りながら仕様の内容を詳細化するようにしている。具体的には「この細かい部分は後で決めます」としてわざと空白地を作っている。

データも触らない、プログラムも触らない、デザインもしない純然なゲームプランナーだ、という人はそんなことを少し考えてみるといいかもしれない。





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